2024年03月24日(日) |
革命する大地、東京カウボーイ、劇場版おいしい給食 Road to イカメシ |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『革命する大地』“La revolución y la tierra” 1982年ペルー・リマ生まれのゴンサロ・ベナベンテ・セコ監 督が、1969年にファン・ベラスコ・アルバラード軍事政権が 行った農地改革を含む様々な改革について検証したドキュメ ンタリー。 南米のペルーは元々はインカ帝国の中心地だった。ところが 16世紀にスペインが侵略。侵略者は先住民を奴隷化して大農 園経営を開始する。そこでは先住民には僅かな土地を与えて 賃金は支払わず、先住民には教育もなされなかった。 そんな時代が約3世紀続いた19世紀初頭。ペルーでも独立闘 争が起き、国家は独立して共和国となるも先住民の環境は変 わらなかった。そしてこの間に最盛期には1600万人いたとさ れる先住民の人口は 108万人に激減していたという。 そんな状況は20世紀中葉まで続いていたが、遂に1968年に軍 によるクーデターが勃発。国権を掌握した軍事政権は圧倒的 な国民の支持の許に農地改革を断行。さらには先住民の参政 権制限の撤廃など、様々な民主化の施策を実行する。 ところが同時に行った米国資本に支配されていた石油産業の 国有化やメディアへの統制が国家の国際的な信用を失わせ、 さらに経済情勢が悪化。政権内部のクーデターによって改革 を指導してきたベラスコ大統領は失脚することになる。 そんなペルー共和国の民主化の歴史が、様々なアーカイヴの 映像や音声、社会学者や政治学者、運動のリーダー、さらに は元ペルー共和国大統領など30人を超える各界の証言者への インタヴュー。そして2022年6月紹介『アンデス、ふたりぼ っち』など新旧37本の映画の映像と共に綴られる。 正直に言ってペルーの歴史など知らなかったから、ペルー革 命とまで呼ばれるこの時代の改革のことも知らなかった。そ れは企業の国有化など共産主義に近い感じもするが、本来軍 事政権は右派的な要素が強いから、それらが巧みに融合して いたとも言えそうだ。 しかしそんなある種の真っ当とも言える民主化の施策が、紆 余曲折によって頓挫してしまう。軍事政権を指揮したベラス コにとっては健康上の問題などがあったとは言え正に道半ば にした失脚だったのであろう。 そんな事実関係が語られるが、作品は現政権から公開自粛の 要請があったものの、ペルー本国では2019年の公開で9万人 を動員。ドキュメンタリーではペルー映画史上最大のヒット を記録したというものだ。 公開は4月27日より、東京地区は新宿K's cinema他にて全国 順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ブエナワイカの招待で試写を観 て投稿するものです。
『東京カウボーイ』“Tokyo Cowboy” 2023年12月紹介『青春ジャック止められるか、俺たちを2』 などの井浦新が、アメリカ映画デビュー&初主演を果たした 作品。 井浦が扮するのは食品関連の商社の営業マン。ブランド農家 の出身を自称して農業や畜産業の改革を勧めているが、その 一方では効率化や不採算部門の切り捨てなども進めているよ うだ。 そんな主人公は社内結婚も考えているが、その相手は自分の 上司。それは上昇志向もある主人公にはなかなか越えられな い壁にもなっている。そんな主人公は彼女が開発中止を提案 した案件に、果敢に挑むことを逆提案する。 そこはアメリカモンタナ州にある家族経営の牧場。その牧場 を含む畜産企業を買収した彼の会社は不採算部門のその牧場 を再開発業者に転売する提案だったが、彼はそこに和牛ブラ ンドを立ち上げる画策をする。 こうして和牛飼育の名人をリクルートしてその地に乗り込ん だ主人公だったが、さっそくアクシデントに見舞われ、さら に牧場で働くカウボーイたちの反感も買ってしまう。しかし その牧場にはある秘密があった。 共演は本作の脚本にも名を連ねるアメリカ在住の藤谷文子。 主にインディペンデンス映画で活躍するラテン系のゴヤ・ロ ブレス。2009年8月紹介『脳内ニューヨーク』などのロビン ・ワイガート。それに國村隼らが脇を固めている。 監督と原案はUCLAで映画監督の修士号を取得し、一時期 日本に滞在して山田洋次監督の『寅次郎心の旅路』で撮影現 場に参加したこともあるというマーク・マリオット。普段は ドキュメンタリーを手掛ける監督の初の長編劇映画だ。 それにプロデューサーと原案で、ウォルト・ディズニー・ス タジオ所属で実写作品の製作総指揮などに名を連ねるブリガ ム・テイラー。本作は彼にとって初のインディペンデンス映 画と位置付けられている。 そして脚本は、 Netflix作品『忍びの家 House of Ninjas』 の脚本・監督などを務めたデイヴ・ボイルが藤谷と共に手掛 けている。因に藤谷にも短編映画の脚本・監督などで実績が あるものだ。 台詞には日本語と英語、それにスペイン語が入り混じって、 かなりの文化の輻輳が表現されている作品。そんな中である シーンのスペイン語の長台詞が字幕なしで提示される。それ が何とも心に突き刺さって、これは見事だった。 その他にもテキーラの現地風の飲み方や謎の穀物など、いろ いろ知らなかった文化にも触れられる作品だ。 公開は6月7日より、東京地区はYEBISU GARDEN CINEMA、ヒ ューマントラストシネマ有楽町他にて全国順次ロードショウ となる。 なおこの紹介文は、配給会社マジックアワーの招待で試写を 観て投稿するものです。
『劇場版おいしい給食 Road to イカメシ』 過去には2019年12月29日付題名紹介『劇場版 おいしい給食 Final Battle』と、2022年4月紹介『劇場版おいしい給食🌸 卒業🌸』を掲載してきたシリーズのseason3の完結編。 season1、2は共に北関東と思しき田園地帯に建つ中学校が 舞台だったが、season3の舞台は北海道函館市。その港町に 建つ中学校で物語は繰り広げられる。その経緯はseason2及 びその劇行版で描かれているが、特に問題はない。 ただし、甘利田先生にとって本来はその転勤の目的であった はずのイカメシは、何故か給食に出ていなかったようだ。そ んな訳で今回の劇場版はそのイカメシに辿り着くまでが描か れる。そしてもちろんその食べ方もだ。 その一方で、劇場版には必ず絡んでくる校外の動きは、今回 は選挙出馬の政治家が給食の在り方に絡んでくるところから 問題が発生する。それを甘利田先生が論破するところが見ど ころになるものだ。 その他にも甘利田先生脚本・演出によるクラス演劇なども挿 入され、いろいろ盛り沢山の作品に仕上がっていた。 出演はseason1から連続出演の市原隼人、いとうまい子に加 えて大原優乃、田澤泰粋、栄信、六平直政、高畑淳子、小堺 一機らのシリーズのレギュラー陣。それに劇場版では石黒賢 が新登場している。 企画・脚本の永森裕二、監督の綾部真弥も3シリーズ通して 登板の作品だ。 ただ、前2作の劇場版ではいずれも甘利田先生の任地が替わ ることがテーマになっていたが、今回はそのような問題には 発展していない。それは次のseason4も函館が舞台というこ となのかな。 話の途中では沖縄の食材の話なども出ていたが、そちらに行 くという話はないのかな。そんなことが少し気になった。い ずれにしても人気シリーズのようで、今後も続くことは期待 したい。 それにしても教室の窓の外には雪が舞っているシーンも多く あり、さすが北海道という感じの作品でもあった。 公開は5月24日より、東京地区は新宿ピカデリー他にて全国 ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社AMGエンタテインメントの招 待で試写を観て投稿するものです。
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