※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『フィリップ』“Filip” 1920年生まれで1985年に没したポーランド人作家が、1961年 に発表した自伝的とされる小説の映画化(2022年製作)。なお 原作は共産党政権下の検閲の許で発表されたが直後に発行禁 止処分となり、61年後にようやく正規版が出版された。 物語の始りは1941年。主人公はポーランド・ワルシャワのユ ダヤ人居住区(ゲットー)で生まれ育ったユダヤ人の若者。彼 は恋人とのコンビでプロのダンサーとしての道を歩みだそう としていた。 ところがそのダンス会場をナチスが襲い、恋人も家族も惨殺 されてしまう。それから2年後、襲撃を偶然逃れた主人公は フランクフルトの高級ホテルでボウルルームのウェイターと して働いていた。 それはフランス人に成りすましてユダヤ人の出自を隠すとい う危険な暮らしぶりだったが、彼にはある手段でナチスに復 讐するという目的もあった。そんな中で主人公は自分を無と して人に恋することも無かったが…。 1人のドイツ人女性が彼の心に迷い込んで来てしまう。 出演は、監督に彼しかいないと言わしめたポーランド北部ポ モージェ県出身のエリック・クルム・ジュニア。相手役にド イツ出身でロサンゼルスで演技を学んだというカロリーネ・ ハルティヒ。 他にフランス生まれで多くのテレビシリーズに出演のヴィク トール・ムーテレ。オーストリア出身で歌手でもあるゾーイ ・シュトラウプ。ポーランド出身で2023年2月紹介『EOイ ーオー』などのサンドラ・ドジマルスカ。 さらに2013年『ワレサ連帯の男』などのロベルト・ヴィエツ キーヴィッチ。イタリア出身で本作映画デビューのジョゼフ ・アルタムーラらが脇を固めている。 脚本と監督はワルシャワ国立高等演劇学校演出演劇科卒業で ポーランド文化功労章受章者のミハウ・クフィェチンスキ。 本作では配役がヨーロッパ各地から集まったため、撮影現場 はバベルの塔のようだったとのことだ。 僕は原作本の検閲版も正規版も読んでいないし、作者の意図 がどこにあったかも判らないが、映画はR15+指定になるよ うな描写の作品になっている。ただそれが狙いでないことも 明らかな作品だ。 とは言うものの、後半はかなりメロドラマチックな展開で、 これが原作者の意図通りかは多少疑問には感じた。まあ映画 的にはこれで正解なのだろうが。原作者はもっとナチスへの 抵抗が描きたかったのではないのかな。 特に最後の主人公の行動には違和感を持ったところだ。 公開は6月21日より、東京地区は新宿武蔵野館、シネスイッ チ銀座、UPLINK吉祥寺、キノシネマ立川高島屋S.C.館他にて 全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社彩プロの招待で試写を観て投稿 するものです。
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