h※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『胸騒ぎ』“Gæsterne/Speak No Evil” 2007年8月紹介『アフター・ウェディング』に出ていたとい う俳優のクリスチャン・タフドルップが脚本と監督も務め、 すでに米ブラムハウス社でのリメイクも進行中という2022年 製作のデンマーク映画。 始まりはイタリアの保養地。そこで娘を連れてデンマークか ら来た3人家族と、息子を連れてオランダから来た3人家族 が出会う。互いに母国語では通じ合わない2家族だったが、 何となく意気投合して再会を誓いあった。 それから数か月後、デンマークの一家の許にオランダの一家 から、無沙汰への詫びと共に田園にあるという自宅への招待 状が届く。その招待に二つ返事で応じることにしたデンマー クの一家だったが…。 再会した2家族の間で少しずつ行き違いが生じ始め、それは やがて想像を超えた恐怖へと繋がって行く。 出演は共にデンマーク出身のモルテン・ブリアンとスィセル ・スィーム・コク、それにオランダ出身のフェジャ・ファン ・フェットとカリーナ・スムルダース。いずれも舞台を中心 に活動する俳優で、オランダ人の2人は実の夫婦だそうだ。 作品は、2022年のサンダンス映画祭Midnight部門でワールド プレミアされて評判になったようだが、海外の論評を観ると 2008年9月にリメイク版を紹介したミヒャエル・ハネケ監督 の『ファニー・ゲーム』と比べているものが多いようだ。 それはまあ後味の悪さという点に関しては比肩するものでは あるが、ハネケ監督作品のスタイリッシュさというか芸術性 に比べるといかがなものかな。正直に言って泥臭さというか 稚拙さは感じてしまった。 でもまあ最近流行りのYouTuber的なノリで言えばこんなもの かなあという感じもするし、それが多分若い人に受ける要素 にはなっているのだろう。でも全体的に底の浅さは感じてし まう作品だった。 もっとも『ファニー・ゲーム』にしても今思うとYouTuber的 なノリではあったのだが、それが1997年に描かれたという先 見性はあった訳だし、何より実行者たちに目的が全く感じら れないことも驚きだった。 それに比べると本作では、何となく結末では実行者たちの目 的が見えてくるようで、その辺が不満にもなった。とは言え リメイクはジェームズ・マカヴォイの主演で行われるとのこ と、それは観てみたいものだ。 公開は5月10日より、東京地区は新宿シネマカリテ他にて全 国順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社シンカの招待で試写を観て投稿 するものです。
『人間の境界』“Zielona Granica/Green Border” 1990年『ヨーロッパ、ヨーロッパ〜僕を愛した二つの国〜』 などで3度の米ア賞ノミネートを誇るポーランドの名匠アグ ニエシュカ・ホランド監督が、ベラルーシ/ポーランド国境 を成す森林地帯で、今起きていることを描いたドラマ作品。 物語の始りはベラルーシに向かう旅客機の機内。そこには乳 飲み児に子供、老人も含めてシリアからスウェーデンを目指 す難民一族や、アフガニスタンを脱出して知人のいるポーラ ンドでの亡命を願う女性教師らの姿があった。 そんな人々を載せた旅客機はベラルーシの空港に到着。そこ からポーランド国境に向かう車に乗り換える。ところが国境 を目前にした車は国境警備隊に止められて金銭を要求され、 そこは女性教師が持っていたユーロで何とかするが…。 やがて国境に辿り着いた人々は鉄条網を潜り抜けてEU加盟 国であるポーランドに入国。しかしすでに難民問題が政治化 しているポーランド側は彼らをロシアが送り込んだ人間ミサ イルと称してベラルーシに押し戻す策に出る。 こうして国境の森林地帯で行き場を失った人々の姿を、当事 者である難民たちと、難民の支援活動を行っている活動家や 地元の人々、それに国境警備隊の若い隊員らの行動を通して 描いて行く。 出演は、シリア生まれの俳優で2011年のシリア革命で逮捕・ 投獄・拷問を経験して西側に亡命したというジャラル・アル タウィル。ポーランド生まれで2017年5月紹介『君はひとり じゃない』などのマヤ・オスタシェフスカ。 さらにイラン生まれで2018年11月11日付題名紹介『バハール の涙』などのベヒ・ジャナティ・アタイ、シリア生まれで現 在はダマスカス国立劇場の舞台俳優としても活動しているモ ハマド・アル・ラシ。 他にダンサー・振付師としても活動するフランス系レバノン 人のダリア・ナウス、2016年アンジェイ・ワイダ監督の遺作 『残像』に出ていたというトマシュ・ヴウォソクらが出演し ている。 映画の中にも中東やアフリカから西欧を目指した難民の内で 3万人が目的地までたどり着かずに亡くなったという台詞が 出てくるが、国境線に設置された難民キャンプなどの惨状は 既にドキュメンタリーなどで知られていたものだ。 しかし本作はメディアも入れない立ち入り禁止区域での話。 その区域は真実を知られたくない執政者が定めたものなのだ が、監督らはその規制を掻い潜って証言を集め、闇の中の真 実を暴き出した。 いやはや、正しく人間性を疑う悪夢のような所業が展開され る。その中には必死に善を行おうとする人たちもいるが、こ れが今の現実だということも我々は知らなくてはいけない。 正しく人間の境界の彼我の問題だ。 公開は5月3日より、東京地区はTOHOシネマズシャンテ他に て全国順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社トランスフォーマーの招待で試 写を観て投稿するものです。
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