| 2009年10月18日(日) |
ビッグ・バグズ・パニック、ミレニアム/ドラゴン・タトゥーの女、ソウ6 |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ビッグ・バグズ・パニック』“Infestation” 俳優/監督のメル・ギブスンが設立したIconプロダクション の製作で、突如巨大昆虫群に襲われた世界の終末を描くパニ ック/コメディ作品。 主人公は、ちょっとメタボであまり冴えない感じの若者。元 軍人で厳格な父親が居たことによる反動か、何事にも覇気が なく、亡くなった母親の伝でようやく採用された会社も遅刻 ばかりで仕事も満足に片付けられていない。 そんな主人公がいつも通りの遅刻で出社し上司に呼び出され ると、案の定の首切り宣告。ところがその瞬間、異様な音で 周囲が満たされ主人公は気を失ってしまう。そして目が覚め ると、身体は繭のように包まれその周囲を巨大な昆虫が徘徊 していた。 その繭を千切って脱出した主人公は、他の何人かも救出して ビルに立て籠る。しかし電話も通じず、ラジオやテレビの放 送も跡絶えて全く情報が掴めない。そこで状況を打破するた めの行動が開始されるのだが… そこには巨大昆虫群の驚異だけでなく、狂信的な自警団など の障害も待ち構えていた。その一方で巨大昆虫の弱点も掴め てくるが、さらに衝撃の事態も明らかになる。 脚本と監督は、第2回のProject Greenlightで“The Battle of Shaker Hights”という作品が選出されているカール・ラ ンキン。元々短編監督だったようだが、受賞後にも短編を手 掛けて、本作は久々の長編第2作となっている。 物語は典型的なBムーヴィだが、さすが製作をIcon社が手掛 けただけのことはあるしっかりした内容のもの。登場人物た ちの行動にもほとんど破綻は見られず、映画全体を納得して 鑑賞することが出来た。 また、続々と登場する人間大の巨大昆虫の描写も見事で、特 に俳優との絡みのシーンなどもよく出来ていた。因にVFX は、『スターシップ・トゥルーパーズ』なども手掛けたP・ J・フォーリーの担当で、つまり巨大昆虫はお手のものとい う感じのものだ。 主演は、今年5月に紹介した『ウィッチマウンテン』にも出 演のクリス・マークエット。他に、TVドラマ『4400』など のブルック・ネヴィン、『24』などのレイ・ワイズらが登場 する。 因に、本作のアメリカ公開は未定のようだが、日本では11月 28日から銀座シネパトスなどで劇場公開される。
『ミレニアム/ドラゴン・タトゥーの女』 “Män som hatar kvinnor” 本国のスウェーデンでは2004年に出版され、その後は全世界 40カ国以上で翻訳されて累計出版部数は1500万部を突破して いるという世界的ベストセラー・ミステリーの映画化。 鼻ピアスと背中にはドラゴンの刺青という過激な出立ちなが ら、その実体は天才ハッカーという新時代のヒロイン=リス ベット・サランデルと、敏腕ジャーナリストのミカエル・ブ ルムクヴィストのコンビが迷宮入りの事件に立ち向かう3部 作の第1話。 時事雑誌「ミレニアム」の看板記者ミカエルは、とある企業 の不正を暴くキャンペーンを仕掛けたが、彼が入手した情報 はガセネタで、被告席に立たされた名誉毀損の裁判にも敗訴 して窮地に陥れられる。 そして実刑の判決が出され、迷惑を掛けた出版社からも身を 退いて半年後の収監を待つだけとなった日、彼の許に40年前 に起きた女性の失踪事件を再調査して欲しいという依頼が舞 い込む。 それは財閥一族の末弟の娘が40年前の祭りの日に忽然と姿を 消したというもの。しかもその日は一族の住む島の唯一の出 入り口となる架橋が事故で閉鎖されており、島を出た形跡は ないとされる一方で、島及びその周囲からも遺体は発見され なかった。 そして再調査の誘いに乗ったミカエルはその島に赴き、警察 が40年間に集めた捜査資料など全ての資料の提供を受けて、 その中から真実を探し出す調査を開始するが…なかなか新事 実は発見できない。そんなとき1通のメールが重大なヒント を提供してきた。 40年掛けて集められて古い資料に、インターネットなどを駆 使して得られる新たな情報が組み合わされて、徐々に事件の 全貌が明らかにされて行く。そしてそれは驚愕の事実を炙り 出して行くのだ。 原作本は日本では上下巻で翻訳されているようだが、映画化 も上映時間2時間33分という堂々たる作品になっている。し かもこの長尺を全く飽きさせずにぐいぐいと引き付けて行く のだから。その物語の迫力は尋常ではないものだ。 主人公たちは決してスーパーマンではないけれど、自らの能 力を最大限に発揮してことに当って行く、その小気味よさ。 そして宗教やヨーロッパが未だに癒し切れない歴史上の悲劇 など、いろいろな事実が折り重なって壮大な物語が繰り広げ られて行く。 出演は、スウェーデンでは人気俳優というマイクル・ニクヴ ィストと、ほぼ新人女優のノオミ・ラパス。特に肉体改造し てまで役に挑んだラパスが見事だ。 なお、本作は本国の北欧では今年2月に公開されているが、 続く第2作の“Flickan som lekte med elden”(The Girl Who Played with Fire)もすでに9月公開されており、さら に第3作の“Luftslottet som sprangdes”(The Girl Who Kicked the Hornet's Nest)も11月公開予定になっている。 その第1作の日本公開は正月第2弾の予定だ。 また本作は、クエンティン・タランティーノがリメイクを熱 望しているそうだ。
『ソウ6』“Saw 6” 2004年以来、毎年1作ずつ製作されるソリッド・シチュエー ション・スリラーが第6作を迎えることになった。 今までも麻薬中毒患者など社会悪とされる存在に、その改心 の道を与えつつ鉄槌を加えてきたジグソウが、今回の矛先を 向けたのは保険会社の審査担当者。加入者に難癖を付けて保 険金の支払いを拒絶する連中がその対象となる。 そしてプロローグから、相手を出し抜き自分の身を文字通り 削ってでも勝ち抜かなければ生きては帰れない。そんな究極 のデスゲームが今回も展開される。 それに加えて本作では、ハリウッドで流行りのトリロジーの 2度目の区切りということもあってか、過去5作品の総集編 的な展開や、ジグソウから未亡人のジルに託された箱の中身 も明らかにされる。 出演は、第1作から登場してきたトビン・ベルとショウニー ・スミス、第3作からのコスタス・マンデラーとベツィ・ラ ッセル、第5作からのマーク・ロルストンとサマンサ・リモ ール。そして今回の標的役には、TV『リ・ジェネシス』の 人気者ピータ・アウター・ブリッジが扮している。 脚本は、第4作以降を手掛けてきたパトリック・メルトン、 マーカス・ダンスタンのコンビが今回も担当し、監督には過 去全作の編集を担当してきたケヴィン・グルタートが監督デ ビュー作として抜擢されている。 この他、撮影のデイヴィッド・A・アームストロング、衣装 のアレックス・カヴァナ、音楽のチャーリー・クロウザーら が再度結集している。因に、ヘヴィメタ・キーボード奏者の クローザーは、『ソウ』第1作が映画には初めての直接参加 だったようだが、その後に『バイオハザード3』などを手掛 け、本作でも強烈な音楽を鳴り響かせている。 なお“Saw 7”も、同じくメルトン、ダンスタンの脚本、監 督には『ソウ3』『4』の装置デザインと第2班監督を務め たデイヴィッド・ハッケルが起用され、来年1月撮影開始、 10月末の公開を目指して製作準備が進んでいるようだ。 (11月23日に掲載しました) * * 今週は前回にも書いたように東京国際映画祭の開催中で、 原稿を執筆する時間が取れないため、製作ニュースは割愛し ます。 また『ソウ6』に関してましては、今週行われた試写を観 ましたが、情報の公開が全米公開される11月23日まで規制さ れていますので、その後に掲載することにさせていただきま す。
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