井口健二のOn the Production
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2009年08月23日(日) PUSH、男と女の不都合な真実、アンを探して、副王家の一族、携帯彼氏、脳内ニューヨーク+製作ニュース

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『PUSH−光と闇の能力者』“Push”
2003年4月に紹介した『ギャングスター・ナンバー1』や、
2006年11月紹介の『ラッキーナンバー7』などのポール・マ
クギガン監督が、現代の香港を舞台に超能力者同士の戦いを
描いたアクション作品。
ナチスによる超能力研究が密かにアメリカ政府によって継承
され、超能力を持つ者が拉致されては研究材料として過酷な
実験が繰り返されてきたとする設定で、その研究施設から逃
亡した者たちと、それを追う政府、そして中国人組織が三つ
巴の戦いを繰り広げる。
主人公は、ギャンブルのダイスもまともに操れないほどのし
ょぼい念動力の持ち主。彼は幼い頃に父親と共に拉致されて
いた施設を、父親の犠牲と引き換えに逃亡したが、その際に
父親からは「花を持った少女が現れたら協力するように」と
遺言されていた。
そんな主人公は、政府の追手に所在を把握されることもある
が、能力のしょぼさ故か野放しとなっている。街にはそんな
超能力者も多数隠れ住んでいるようだ。そしてその街=香港
には中国人の超能力者組織も暗躍していた。
そして1人の女性が新たに組織から逃亡する。彼女は施設の
重要な秘密を握っており、彼女に協力すれば施設に拉致され
た人々を救出できるかもしれない。そんな期待を持って主人
公たちは動き出すのだが…
念動力や未来予知、他人に思念を押しつける能力など、さま
ざまな超能力が交錯し、互いに裏を掻きながらの闘争が始ま
る。
そんな物語が、『ファンタスティック・フォー』のクリス・
エヴァンス、『宇宙戦争』のダコタ・ファニング、『紀元前
1万年』のカミーラ・ベル、『ストリートファイター』のミ
ンナ・ウェン、『ブラッド・ダイヤモンド』のジャイモン・
フンスーらによって演じられて行く。
超能力者同士の闘いというと、最近ではVFXのお陰でいろ
いろな超能力の映像表現が可能になったためか、テレビシリ
ーズの『ヒーローズ』や、映画では2008年『ジャンパー』な
ど一種ブームのようにもなっている感じだ。
それで観る方もいろいろな超能力が楽しめる訳だが、そこは
やはり物語にも捻りが無いと面白くない。その点で言うとこ
の作品は、超能力者同士が裏を掻き合うということでは捻り
も見事だし、結末も満足できるものになっていた。
多彩な超能力が発揮されるアクションシーンも見事だし、そ
れに上記の若手中心の出演者たちの演技も楽しめる作品だっ
た。

『男と女の不都合な真実』“The Ugly Truth”
主人公は、硬軟取り混ぜた朝のニュースショーを取り仕切る
女性プロデューサー。しかし彼女自身は仕事に追われて恋も
ままならず、しかも番組は、出演者間の不和などもあって視
聴率も下がり気味で…そんなストレスの塊のような女性の恋
愛事情を描いたコメディ。
そんな彼女が、ある日お見合いデートに失敗しての深夜帰宅
で、1人の男が担当している生放送の恋愛相談番組を観てし
まう。しかも男の言い様に立腹した彼女は、思わず番組に電
話を掛けて男と対決してしまうのだが…
その翌日、企画会議を始めた彼女の前に番組の梃入れと称し
てその男が現れる。そして番組に登場した男は出演者の心理
なども読みまくって番組を席巻し、視聴率も押し上げてしま
う。その上その男は、主人公の恋愛事情にもちょっかいを出
し始め…
この主人公を『ロズウェル』や『幸せになるための27のドレ
ス』などのキャサリン・ハイグルが演じ、彼女の恋にちょっ
かいを出す男に、『300』『P.S.アイラヴユー』などの
ジェラルド・バトラーが扮する。
『P.S.…』ではヒラリー・スワンクの恋を操ったバトラー
が、今度はハイグルの恋を演出する…という感じだが、メデ
ィア業界に生きる女性の恋愛事情ということでは前々回に紹
介した『あなたは私の婿になる』も髣髴とさせる作品だ。
実は、本作の試写を観る直前に『あなたは…』の宣伝担当者
から電話で同作の意見を聞かれたのだが、そこで『あなたは
…』の男性主人公が、元々女性主人公を好きだったという持
論を述べたら、女性の担当者は意外という反応だった。
しかし『あなたは…』の彼は、元々恋愛感情がなければ彼女
に3年も従っている訳はないし、すでに彼には恋心があった
と観るのが男性の心理だろう。その辺の感覚が、多分男性の
脚本家ピーター・チアレッリによって見事に描かれていたも
のだ。
それに対して本作の脚本家はニコール・イーストマンらの女
性陣。実は僕自身、バトラーの演じたキャラクターの心理に
は多少の違和感を覚えるのだが、その辺が女性の眼なのかと
思うと、ちょっとニヤリとするところだ。
つまり本作と『あなたは…』は、良く似たシチュエーション
でありながら真逆の描き方がなされているもので、それぞれ
は男性の心理と女性の心理を見事に描いているようだ。それ
を比較してみるのも面白い。
因に、『あなたは…』の監督は女性で本作の監督は男性とい
うところにも、その特徴が明確に現れたようだ。

観るなら両方観るべし、そして異性と意見を述べ合ってみる
のも面白そうだ。

『アンを探して』
『赤毛のアン』の舞台プリンス・エドワード島を訪れた日本
人の少女と彼女を取り巻く人間模様を描いた作品。
少女は、祖母がインターネットで知り合ったという島在住の
女性を訪ねて1人でやってくる。その女性は日本人の建築家
と結婚してその場所に住んでいるが、その夫はすでに亡く、
女性は亡夫以外の男性を敬遠しているようだ。
そして少女は、島を訪れた目的として50基以上あるという灯
台を順に見に行き始めるが…実は彼女には隠した別の目的も
あった。それは一緒に来るはずだった祖母が心に秘めていた
人生の1頁を捲るものでもあった。
物語の中では、村岡花子訳の『赤毛のアン』の一部が朗読さ
れるなどモンゴメリの作品を意識したものになっているが、
『アン』の現代版は作らないというコンセプトで、第2次大
戦にまで遡るいろいろな出来事が織り込まれる。
そんな物語が、6月に公開された『はりまや橋』などの新人
女優穂のかが演じる主人公を中心に、ロザンナ、吉行和子、
さらにジョン・ウェインとの共演歴もあるというカナダ人俳
優ダニエル・ピロンらの共演で描かれる。
因に、とんねるず石橋貴明の娘で子供の頃はハワイで成長し
たという穂のかは、自身の英語は堪能だそうだが、映画では
たどたどしい英語でシャイな少女を好演していた。
物語の原案と製作は、『KAMATAKI』などクロード・
ガニオン監督のパートナーとして知られるユリ・ヨシムラ・
ガニオン。脚本と監督は、『KAMATAKI』で助監督を
務めた宮平貴子。
僕自身は『赤毛のアン』に思い入れのある人間ではないが、
映画では小説に書かれたアンの言葉が主人公たちを導いて行
く。そんな物語が、現地ロケされたプリンス・エドワード島
の自然の中で丁寧に描かれていた。
また物語の背景には第2次大戦が存在するが、戦争を美化す
ることなく描いていることにも好感が持てた。
なお、劇中でロザンナ扮する未亡人が亡き夫について語るシ
ーンがあり、それはロザンナ本人の思いにも重なって感動的
なシーンになっていた。ずるいと言えばずるい仕掛けかもし
れないが、それも映画というところだろう。

『副王家の一族』“I vicerè”
19世紀後半から20世紀初頭のイタリア、シチリア島を舞台に
した歴史ドラマ。
当時のイタリアはまだ国家統一が成されておらず、その中で
のシチリア島はスペイン・ブルボン家の領地としてスペイン
国王に任命された副王によって統治されていた。
主人公はそんな副王家に長男として生まれる。しかし厳格な
父親のしつけは厳しく、常に拷問まがいの心身の鍛練に明け
暮れていた。そしてそんな主人公は、父親の弟で旅行などに
自由を享受している叔父の暮らし振りに憧れていた。
一方、時代の流れの中でイタリアにも貴族を排除して民主化
を求める民衆の声が高まってくる。ところが父親は、「王の
治世には王の友。貧民の世には貧民の友」と言い放ち、貴族
社会が終焉した中でも巧みに世渡りを続けて行く。
そのやり方は奸計や策謀を弄し、家族や子供をも道具に使う
悪辣なものだった。
そんな父親に反発しながらもその呪縛から逃れられない主人
公。そして国王の名の許に行政から宗教まで支配する父親。
その父親に勘当された主人公は修道院に送られるが…、そこ
に観た修道院は修錬とは名ばかりの淫行に明け暮れていた。
原作は1894年に発表された小説だそうで、実際に当時の状況
を生々しく描いたものなのだろう。そしてこの原作からは、
1963年にルキノ・ヴィスコンティが映画化した『山猫』の原
作者も影響を受けたとされている。
ただし、この映画では1912年第1回イタリア国会開催までが
描かれ、つまりその部分は映画化の際の加筆であるようだ。
しかしその加筆部分に描かれる内容はかなり辛辣で、結局は
何が起きても何も変わらないイタリア政治の悪夢が描かれて
いる感じもした。
それがイタリア人にとっての政治意識なのかも知れないが、
今まさに日本でも政権交代が成されようとしているときに、
この結局は何も変わらないという感覚は皮肉にも取れるとこ
ろだ。
監督は1983年“Copkiller”というSF風作品もあるという
ロベルト・ファエンツア。衣装を『時計仕掛けのオレンジ』
や『バリー・リンドン』などを手掛け、後者でオスカーを受
賞したミレーナ・カノネロが担当している。

『携帯彼氏』
携帯ゲームが引き起こす死の恐怖を描いたホラー作品。
「携帯彼氏」それは女性向けの携帯電話を利用した恋愛ゲー
ム。ゲームのサイトで自分の好みの男性のキャラクターを作
成し、そのキャラクター相手にメールのやりとりをして、そ
の内容に応じてポイントが上下する…もののようだ。
ところが、主人公の友人の1人がゲームに填って家に閉じ籠
もり、挙げ句の果てに自殺するという事態が発生する。しか
も、その携帯電話からキャラクターを転送した人物も死に追
い込まれる。
そしてその2つの死の現場に居合わせることになった主人公
は、警察の事情聴取の際にそのことを訴えるのだが、当然警
察は取り合ってくれない。その上、主人公の親友や主人公自
身の携帯にもそのゲームが侵入して…
2004年に公開された『着信アリ』は、整合性のまるでない物
語のあまりのいい加減さに呆れ果て、虚仮脅かしのショック
シーンの羅列にも辟易して、試写は観たもののサイトでは紹
介しなかった。だからその亜流に観える本作にはあまり期待
もしなかった。
しかも、原作が携帯小説と聞いて一層退いた気分にもなって
いたのだが…。でも本作を観終えた時には、世の中にはこう
いう作品にも真剣に取り組んでくれる人がいることが判って
本当に嬉しくなったものだ。
2004年の作品の時には、主人公を含む不特定多数が襲われる
理由付けなどがまるで無く、それでよくもまあ物語を発表す
るものだとも呆れたものだったが、本作ではその経緯が見事
に物語として成立している。
しかもそこには主人公自身が深く関っているという展開も見
事だし、さらにその現象が起きた仕組みや、その解決方法ま
でもが理路整然と描かれている。勿論それはフィクションの
ものではあるが、それなりの納得のできる展開となっていた
ものだ。
さらにその背景となる話が、それなりに社会性のあるものに
なっているなど、本当に感心する物語が展開されていた。原
作は読んでいないが、携帯小説にもこれだけのものを書ける
作家が出てきたということなのだろう。
さらにそれを真面目に脚色し映画化できる脚本家、監督も育
ってきたということだ。その脚本は、『リアル鬼ごっこ』の
柴田一成、監督は、黒沢清の推薦で抜擢され本作が長編デビ
ュー作という船曳真珠が担当している。特に女性監督の手腕
は今後も期待できそうだ。
出演は、テレビドラマ『ブラディ・マンディ』などの川島海
荷、同『ゴッドハンド輝』の朝倉あき、さらに『ごくせん』
の石黒英雄。その脇を、小木茂光、星野真理、大西結花らが
固めている。
過去の名作から引いてきたようなシーンも随所にあるが、そ
れがちゃんと作品に填っている点も感心した。特に『P.S.
アイラヴユー』の名台詞が見事に再現されているのも嬉しか
った。

『脳内ニューヨーク』“Synecdoche, New York”
スパイク・ジョーンズ監督で2003年5月に紹介した『アダプ
テーション』や、ミシェル・ゴンドリー監督で2005年1月紹
介の『エターナル・サンシャイン』などを手掛けた脚本家の
チャーリー・カウフマンが満を持して挑んだ初監督作品。
物語は、仕事には恵まれているが家族関係に問題を抱えるブ
ロードウェイの舞台監督が主人公。彼には家族関係が破綻し
たところに名誉ある賞の受賞が知らされる。そこで主人公は
その賞金を使って巨大な倉庫の中に実物大のニューヨークの
セットを建設し、そこに彼自身のニューヨークを再構築しよ
うとする。
その舞台には彼の構想に賛同する多数の俳優が参集し、そこ
には彼自身の配役もあって、虚実が混交する舞台が作られて
行く。ところが彼の頭の中で膨らむ一方の作品には方向性が
見出せず、リハーサルばかりの状態が17年も続いてしまう。
そして虚実が混ざり合う中で出演者が死ぬ事態も発生し…
それに並行して主人公自身の姿も描かれて行くが、それもま
た壮絶な物語になって行く。
カウフマンの脚本は、先に紹介した作品でも虚実の境が曖昧
というか複雑な構成を採っているが、本作のそれはさらにそ
の世界が拡大している感じのするものだ。そこには前作以上
に多くの人物が関り、より壮大な物語となって行く。
しかし物語の本筋は主人公に関るものであり、その部分では
紛れもない男の人生のドラマが描かれる。その部分の明確さ
で観客は物語について行けるし、物語に違和感も感じさせな
いものになっている。物語の中で主人公は「天才賞」と呼ば
れる賞を受賞するが、正にこの脚本と演出もそれに値する作
品と言えるものだ。
出演は、主人公の舞台監督にフィリップ・セーモア・ホフマ
ン、彼を取り巻く女性たちに『マイノリティ・リポート』の
サマンサ・モートン、『ブローバック・マウンテン』のミシ
ェル・ウィリアムズ、『カポーティ』のキャスリーン・キー
ナー。
さらに『ウォーター・ホース』のエミリー・ワトスン、『パ
ッセンジャーズ』のダイアン・ウィースト、『未来は今』の
ジェニファー・ジェースン・リー、『アトランティスのここ
ろ』のホープ・デイヴィス、『ラスト・アクション・ヒーロ
ー』のトム・ヌーナンらが脇を固めている。
なおこの作品に関しては、今年2月1日付第176回のVES
賞候補の紹介の中でも触れている。残念ながら本作は受賞を
逃したが、再現されたニューヨークの景観などは流石に見応
えがあった。因に、これで同賞の今年の実写映画部門の候補
作品は全て日本公開されたことになるようだ。
        *         *
 製作ニュースは前回に引き続きリメイクの話題を2つ。
 まずは、前回も別の計画を紹介したばかりのブライアン・
シンガー監督で、1981年ジョン・ブアマン監督によるアーサ
ー王物語“Excaliber”をリメイクする計画が発表された。
 オリジナルは、岩に刺さった伝説の剣エクスカリバーを引
き抜いた少年が、やがて円卓の騎士を集めて国を治め、最後
は王の命を救わんとする魔法使いマーリンによる聖杯捜しか
ら死出の旅路に至る、正にアーサー王の生涯を描いた作品だ
った。しかもこの作品には、リーアム・ニースン、パトリッ
ク・スチュアート、ヘレン・ミレンらが出演していたことで
も今更ながら話題になっているようだ。
 そんな作品のリメイクだが、実はこの計画はシンガー監督
がニューラインで“Jack the Giant Killer”の企画を進め
ていたときに挙がってきたものだそうで、その際の共同製作
だったレジェンダリー・ピクチャーズが話をワーナーに持ち
込み、両社が権利の獲得に動いて実現の運びとなったという
ことだ。ブアマン監督の映画化はかなり重厚だった記憶があ
るが、シンガー監督がそれをどのように料理するか、製作開
始までにはまだ少し時間は掛かりそうだが楽しみな作品にな
りそうだ。
 因にシンガーとワーナー+レジェンダリーでは、2006年の
“Superman Returns”の興行成績が少し期待に届かなかった
とされているものだが、今回の計画には当時のワーナーの首
脳だったポリー・コーエンが製作者として名を連ねており、
シンガーへの期待値はまだまだ高いようだ。
 なおシンガー監督の予定では、前回紹介した“Battlestar
Galactica”や“X-Men: First Class”などの計画も発表さ
れているが、実は上記の“Jack the Giant Killer”が次回
作としては最有力とのことで、今年1月15日付第175回では
J・D・カルーソ監督の計画として紹介した童話「ジャック
と豆の木」の大人版と称する作品が次に観られることになり
そうだ。
        *         *
 もう1本は、1981年公開、ピーター・ハイアムズ監督、シ
ョーン・コネリー主演の“Outland”が、2007年“Shoot'Em
Up”などのマイクル・デイヴィス監督でリメイクされること
になった。
 オリジナルは、西部劇の『真昼の決闘』を木星の衛星イオ
を舞台に再話したとされるものだが、荒くれものが集まるチ
タン鉱石の採掘場やそこに併設された酒場、さらにそこには
娼婦がいるなどの描写が、SFファンには多少首を傾げたく
なる作品ではあった。しかし、最後に映る木星には微かに輪
が描かれているなど、最新の科学情報も取り込まれていたも
ので、その製作者の姿勢には納得したものだった。
 その物語がリメイクされるものだが、今回はその脚本を、
昨年12月1日付の第172回で紹介した“The Day Before”の
チャド・セントジョンが担当するとのことで、この脚本家は
以前紹介の時にも一緒に西部劇に企画が挙がっていたから、
SF+西部劇の本作にこれは適任かも知れない。
 そして監督のデイヴィスは、2008年4月に前作『シューテ
ム・アップ』を紹介したときにもほとんど手放しの高評価を
したが、この監督の作品には本当に期待したいものだ。
 なお、オリジナルの公開当時に僕は小松左京監督の『さよ
ならジュピター』に関っていて、最後に木星の輪を観たとき
には「ああ、先を越された」と思ったものだ。そしてその頃
に、製作者のアラン・ラッドJr.が『ジュピター』の脚本を
買いに来たという話を聞いて凄いとも思ったものだが、今に
して思うと、それは“Outland”の製作中だったラッドJr.が
その補強用に脚本を欲しがったということはありそうで、そ
の映画製作の貪欲さも理解したところだ。
 今回のリメイクにもそんな貪欲さを見せてもらいたいもの
だ。


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井口健二