井口健二のOn the Production
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2009年05月24日(日) 縞模様のパジャマの少年、幸せのセラピー、エル・カンタンテ、愛と青春の宝塚、セブンデイズ、アイカムウィズザレイン+製作ニュース他

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『縞模様のパジャマの少年』
          “The Boy in the Striped Pyjamas”
この作品は、何の予備知識も持たずにまっさらな状態で観て
もらいたい。残念ながら僕は立場上それは出来なかったが、
でもできる限り余計な情報は持たないようにして試写会に赴
いた。そして映画の1シーン、1シーンを心に染みるような
感じで観ることが出来た。
従って、出来れば以下の文章は読まずに映画を観てもらいた
いものだ。
時代は第2次世界大戦の最中。舞台はドイツ。主人公は8歳
の少年。そして主人公の父は軍の将校。戦争中であっても元
気な子供たちは、両手を広げて戦闘機の真似をしながら街を
走り回り、何の屈託もなく暮らしていた。
そんな主人公の父親に地方への赴任命令が下る。それは都会
を遠く離れたある場所での所長という役職だった。やがて引
っ越しをした一家には大きな屋敷が用意され、そこにはメイ
ドや下男もいて何不自由ない暮らしがスタートする。
しかしその場所は、まだ子供の主人公には友達もいないつま
らない場所だった。ところがある日のこと、冒険を求めて親
には禁じられた林の向こうに行ってみた少年は、鉄条網に囲
まれた場所に住む1人の少年と巡り会う。そして彼との友情
を結ぶ主人公だったが…
これだけで題名の意味しているところは判ると思うが、映画
はナチスによるユダヤ人強制収容所について描いたものだ。
しかもその物語をドイツ人の側から描いている。そして主人
公は、まだ遊びたい盛りの、世間の情勢も全く判っていない
少年の物語だ。
さらに判っていないのは少年だけではない。人形遊びに夢中
だった少女から、あっと言う間にナチスのプロパガンダに染
まって行く12歳の姉や、夫が収容所の所長であることは知り
ながらも、そこで実際に起きていることに気付かない母親な
ど…

原作は、アイルランドの作家ジョン・ボインが2006年に発表
したもので、すでに日本を含めて各国語に翻訳され、各地で
ベストセラーを記録しているそうだ。その作品から、『ブラ
ス!』『リトル・ヴォイス』『シーズンチケット』などのマ
ーク・ハーマンが脚色・監督・製作総指揮で映画化した。
主演は、1997年生まれだがすでにテレビなどで活躍している
エイサ・バターフィールド。青い目が印象的な彼は、2005年
に公開されたエマ・トムプスン主演“Nunny McPhee”の続編
への出演も発表されている。
共演は、1998年生まれで本作でデビューを飾るジャック・ス
キャンロン。主人公の父親役に『ハリー・ポッター』でルー
ピン先生役を演じるデイヴィッド・シューリス。母親役には
『ディパーテッド』『こわれゆく世界の中で』などのヴェラ
・ファーミガが扮している。
ホロコーストの問題には日本人はよその国のことと考える人
が多いかとも思うが、日本がその同盟国であったことは忘れ
てはいけないことだし、日本軍が中国人に対しそれに近いこ
とをやったことも間違いないことだ。
そんな歴史上の悲劇について加害者の側から見ることを、こ
の作品は可能にしてくれる。一部の人間の扇動によって事が
動かされて行く、それを見て見ぬ振りをする人々。それはホ
ロコーストの問題だけではない。


『幸せのセラピー』“Meet Bill”
『ダークナイト』に出演のアーロン・エッカート、『シン・
シティ』のジェシカ・アルバ、『スパイダーマン』のエリザ
ベス・バンクス共演による男の自立(?)コメディ。
主人公のビルは、銀行頭取の娘と結婚して重役の座を与えら
れた男。銀行の屋上にある大きなビルボードには、義父と義
弟と一緒に彼の顔写真が掲げられているが、彼自身にとって
その座は居心地の良いものではない。
実際、大事な顧客の応対には義弟がしゃしゃり出てくるし、
与えられた役職だって、実は娘婿のために無理矢理作られた
ようなもので実際の権限なんて殆ど無い。しかも、妻の不倫
の証拠を掴んでも頭取の娘は全く動じず、逆切れされてしま
う始末。
そんな彼は、密かに自立を目指してドーナッツのフランチャ
イズチェーンの出店審査に応募していたが…
ところが、町の名士でもある義父の提案で地元の高校が始め
たメンター制度に1人の学生が応募、しかも彼を指導者に指
名してきた。そしてちょっとおませなその学生が彼の行動に
いろいろとちょっかいを出し始める。
この主人公に本作の撮影のために体重を10kg増量したという
エッカートが扮し、その妻をバンクス。また、学生の仲介で
彼と関わりを持つ若い女性をアルバが演じている。他に『ナ
ンバー23』のローガン・ラーマン、『ダイ・ハード4.0』
のティモシー・オリファント、『D-WARS』のホームズ・オズ
ボーンらが共演。
逆玉の輿の主人公に何の不満があるのかというお話ではある
が、つまり男というのはそんなものなのだろう。しかも焦れ
ば焦るほど事はうまく進まなくなってしまう。そんな主人公
をエッカートがちょっと切なくも演じている。
実は本作は、アメリカでは2007年の公開作品で、従って製作
の時期は『ダークナイト』と前後していたと思われるが、何
となくハーヴェイ・デントの境遇がオーヴァラップするとこ
ろもあって、そういう興味で見るのも面白かった。
なお原題は、アメリカ公開では“Bill”だけだったようだが
その後に改題されており、今回の上映フィルムでは上記のも
のになっていた。

『エル・カンタンテ』“El cantante”
1960年代後半から始まった音楽シーンのサルサ・ムーヴメン
トの中で、その立て役者の1人となったプエルトリコ出身の
歌手エクトル・ラボーの生涯を描いた作品。
その作品を、ニューヨーク・ブロンクスの生まれだがプエル
トリカンの血を引くとされる女優で歌手のジェニファー・ロ
ペスが、夫で現代のサルサ界の立て役者とも言えるマーク・
アンソニーと共に、自ら設立した製作会社ニューヨリカンの
第1作として製作した。
エクトルはプエルトリコで歌手の道を歩み始めたが、ショウ
ビズ界での成功を夢見、育ての親の反対も押し切ってニュー
ヨークへとやってくる。そしてラティーノ地区のナイトクラ
ブでステージに立ち、レコード会社の目にも留まってスター
街道を歩き始める。
やがて次々に大ヒットを飛ばし、スターダムに伸し上がって
行くエクトルだったが、その私生活は麻薬や女性にまみれ、
出演を約束したステージも遅刻するなど乱れたものになって
行く。それでもレコード歌手としては成功を続けるエクトル
だったが…
そんな男の人生を、彼の妻であり1人息子も授かった女性の
回想で綴って行く。それは彼女にとっても悔恨に充ちたもの
となっている。
とまあ、お話は一昔前の芸能界を描いているという点では、
「ありそうな話かなあ」と思わせるものだ。それを本作では
アンソニーの見事な歌唱によるエクトルのヒット曲の数々と
共に再現して行く。
ただし、僕自身はエクトルの本物がどんなだったかは全く知
らないのだが、その分、余計なことは気にせずにアンソニー
の歌を楽しむことができた。しかもそれがテンポの良いラテ
ン系の音楽だから、これは存分に楽しめた。
監督は、2003年10月に同じくプエルトリコ出身の芸術家を描
いた『ピニェロ』という作品を紹介しているレオン・イチャ
ソ。本作でも、よく似た生涯を辿る歌手の人生を巧みに描い
ている。
なお、主人公の名前は字幕でもエクトルとなっているが綴り
はHector。これをスペイン語でHを消して発音しているもの
だが、映画の中ではニューヨーク生まれとされる妻だけがH
を残して発音しているのも面白かった。

『愛と青春の宝塚』
昭和14年、戦時色が次第に強くなって行く時代背景の中で、
宝塚の舞台に立つ乙女たちの苦難と彼女達を取り巻く人々の
姿を描いた作品。
2002年の正月にスペシャルドラマとしてテレビ放送された物
語が、2008年12月に新宿コマ劇場のファイナル公演として舞
台ミュージカル化され、宝塚歌劇団の卒業生たちの共演によ
り上演された。本作はその舞台面をHDTVで撮影した作品
となっている。
いろいろな事情を背負いながら宝塚音楽院の門をくぐった女
性たちが、やがて舞台に立ちスターへの道を歩んで行く。し
かし戦況は厳しさを増し、ついには宝塚大劇場の閉鎖。そし
て彼女たちは、満州など最前線への慰問に駆り出されて行く
が…
物語の中心となるのは、音楽院に同期で入った3人と、当時
の雪組で男役トップの座に君臨する嶺野白雪。その同期生の
1人は、最初は宝塚に対し憎しみを露にしている。一方、自
信に満ち溢れたトップの嶺野は後輩団員の人望も厚く組を率
いている。
そんな女性たちが、密かに思いを寄せる男性への恋心や戦時
の絶望的な環境の中で成長して行く姿が描かれる。そしてそ
こには劇団の脚本家や宝塚に理解を示す海軍の将校、また、
宝塚在住でオサムという名の漫画家志望の少年も登場する。
ところで本作では、巻頭に宝塚歌劇のフィナーレシーンの再
現が登場するが、そこでの大階段の段数の少なさに愕然。僕
は宝塚の舞台は子供の頃に1度観ているだけだが、上述のテ
レビ放送に出てきた大階段の印象は全く違うものだった。
しかし本作にはコマ劇場の最終公演という側面も持たされて
いるのだから、これは仕方がない面でもある。後は割り切っ
て観るしかないとはこの時に気付かされた。その意味ではこ
の構成は、作品の性質を判りやすくするものだったのかも知
れない。
そんな作品だが、戦時中の軍隊以外の生活を描いているとい
う点では日本映画では珍しい作品とも思えた。日本の戦争映
画では、どっちが負けたか判らないような軍隊生活を描いた
作品が多いが、本作では戦時下の人々の苦難や絶望が丁寧に
描かれている。
その意味では、反戦映画としても優れているようにも感じら
れた。そして、そんな状況の中でも生き抜いて行こうとする
人々の強さが描かれていた。
因に本公演はwキャストで行われたもので、僕が観たのは、
その内で湖月わたる、貴城けい主演による版だったが、一般
公開では紫吹淳、彩輝なお主演による版と2作品が上映され
ることになっている。
さらに本作では大鳥れい、映美くららが共演。その他に本間
憲一、石井一孝、佐藤アツヒロらが脇を固めている。
なおHDTVで舞台面を撮影した作品では、松竹系で歌舞伎
の公演がすでに定期的に上映されているが、関西テレビでは
以前から宝塚大劇場の舞台面のHDTV撮影も実施してきた
はず。今後はそれらの作品の劇場上映も期待したいものだ。

『セブンデイズ』“세븐 데이즈”
愛娘を誘拐され、不利な裁判での逆転無罪勝ち取りを強要さ
れた女性敏腕弁護士の行動を描くサスペンス作品。
主人公は無罪獲得率99%を誇る敏腕弁護士。その依頼人は殺
人犯からヤクザまでいろいろだが、常に見事な弁論で検察に
付け入る隙を与えない。しかし、シングルマザーでもある彼
女は、その活躍と引き換えに愛娘と過ごす時間もままならな
い生活だった。
そんな彼女の娘が誘拐される。さらに誘拐犯には警察の動き
も見透かされ、犯人の指示通りに警察を捲いた彼女は、孤立
無援で事に対処しなければならなくなる。そして誘拐犯から
の真の要求は…
1週間後に二審の公判を控える婦女暴行殺人死体遺棄事件。
その現場には前科者でもある被告人の指紋や足跡が多数残さ
れ、被告人の犯行は疑いようが無かった。しかし誘拐犯の要
求は、その被告の無罪放免させること。
そんな状況下で、主人公はたった1人で事件に立ち向かうこ
とになる。もちろんそこには協力者の存在もない訳ではない
が、彼女の真の目的を知る者はいない。そして捜査が進むに
連れて事件は思わぬ方向に展開して行く。

映画は最初から緊張感に溢れる描き方で、その緊張感が2時
間5分の上映時間の最後まで途切れることがない。そしてそ
の緊張感に観客も巻き込まれて、観客はあっという間に観終
えてしまった感じになるだろう。
その演出の緻密さは見事なもので、これを撮れる監督の手腕
には敬意を表したいくらいの作品だ。正直、観る方も相当に
疲れる作品だが、その疲労感も堪らない感じのもの。正に映
画を観たという感じがしてくる。
監督は2006年7月に『鬘』という作品を紹介しているウォン
・シニョン。前作のときにはちょっと批判的に書いたが、今
回は物語も含めて見事に完成されていた。
主演は、1999年のヒット作『シュリ』や2002年6月に紹介し
た『燃ゆる月』などのキム・ユンジン。最近ではアメリカの
テレビシリーズ『LOST』でも人気の韓国人女優が、その
合間に帰国して撮った作品とのことだ。
他に、2005年『南極日誌』などのパク・ヒスン、2005年『マ
ラソン』のキム・ミンスク、2006年『王の男』のチャン・ハ
ンソン、2月に紹介した日本映画『今度の日曜日に』に出演
のヤン・ジヌらが脇を固めている。
なお映画の中で、登場人物の1人がマザーグースに言及する
シーンがあって、それが気になった。これは単に引用しただ
けのものかも知れないが、何か特別な意味が持たされている
ような感じもして引っ掛かっている。真相は調べ切れなかっ
たが。

『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』
               “Je vien avec la pluie”
アメリカのジョッシュ・ハートネット、日本の木村拓哉、韓
国のイ・ビョンホン共演によるちょっと不思議な雰囲気の漂
うドラマ作品。
主人公はハートネット扮する元刑事の私立探偵。その探偵が
行方不明になった1人の若者の捜索を依頼される。その若者
はフィリピンで孤児の収容施設を運営していたが、ある日、
ゲリラに拉致されて行方不明になったという。
一方、香港ではイ扮するヤクザのボスが権勢を振るっていた
が、彼の子分の1人が現金とボスの女を連れて逃亡する事態
が発生する。そして、香港に現れた探偵の前で2つの事件が
交錯し始める。
と書いていると、何だか香港が舞台の暗黒街もののような感
じがしてくるが、物語はこの後、実は探偵には犯罪者の心理
に同化してその行動を先読みする能力があり、一方、行方不
明の若者は各地で奇跡を起こし始め…という展開になる。
しかも物語には、ポスターなどにも示されるように、十字架
が重大な意味を持ってくるような作品なのだ。もしかすると
題名にも特別な意味があるのかも知れない。
僕自身は宗教には何の思い入れもないし、この作品を観終え
ても、だからという特別な感想を持つものでもないが、これ
が宗教を信じている人にはどのように映るものか、ちょっと
気になるところだ。
その一方で映画には、かなりグロテスクなオブジェが登場し
たり、いろいろ凝ったところもあって、無宗教の自分にもそ
れなりに楽しめた。だからと言って宗教的な意味までは理解
できるものではないが、上っ面を撫でただけでも気の済むよ
うな作品でもある。

脚本監督は、ヴェトナム生まれだがフランスで教育を受けた
というトラン・アン・ユン。デビュー作の『青いパパイヤの
香り』から映画祭常連監督による4作目で、監督は次回作に
は村上春樹原作の『ノルウェイの森』を撮る予定だそうだ。
なお木村とイは、日本映画の『HERO』に続いての共演。
その木村は2004年『2046』に続く海外進出だが、消化不
良気味だった前作に比べて今回は、監督にいろいろアイデア
を出すなど、かなり積極的に映画づくりに関ったようだ。
特定の部分は抜きにして観ても、『2046』よりは解り易
い作品に思えた。
        *         *
 製作ニュースを1本。
 昨年10月1日付第168回などで紹介したマーヴェルコミッ
クス原作“Thor”の映画化に関して、主人公のThor役にオー
ストラリア人俳優のクリス・ヘムスワースと最終交渉に入っ
ていることが発表された。
 ヘムスワースは、今週日本でも公開される新版『スター・
トレック』にカークの父親役で出演している俳優だが、本作
のアメリカ配給もパラマウントであることから、そんな流れ
もあっての起用となったようだ。物語は、北欧神オーディン
によって地上に派遣された主人公が、医学生として人間につ
いて学びながら、一旦ことが起きるとヒーローThorとなって
活躍するもの。そしてその宿敵Loki役には、イギリスのテレ
ビ俳優トム・ヒデルストンの出演も発表されている。
 脚本は、『アイ・アム・レジェンド』などのマーク・プロ
トセヴィッチ。それにテレビの『ターミネーター:サラ・コ
ナー』を手掛けたアシュレー・ミラーとザック・ステンツが
参加しているようだ。監督は、以前にも紹介したようにイギ
リス演劇界に重鎮ケネス・ブラナーが担当。撮影は今秋開始
してアメリカ公開は2011年5月20日となるものだ。
 また主人公のThorは、マーヴェルのヒーローチーム“The
Avengers”の一員でもあり、ヘムスワースの出演交渉には、
2012年に公開が計画されているその映画化の分も含まれてい
るようだ。
        *         *
 ところで、ヘムスワースが出演している新版『スター・ト
レック』だが、僕のサイトではマスコミ試写で観た作品のみ
を紹介する建て前なので、同作品の紹介はしないでいた。し
かしこの作品に関しては一般試写を観ることが出来たのと、
周囲で気になる発言も耳にしたので、一応自分なりの感想を
書いておく事にする。
 その感想の一点目は、思いのほか良くやっていると感じた
ものだ。実際この作品の製作情報では、2007年8月15日付の
第141回でも書いたように、チェコフの登場などにいろいろ
と問題があったものだが、映画ではその点を見事にクリアし
ている。
 それはまあ、見事というよりはかなり荒っぽいやり方では
あるが、SFファンなら思わずニヤリとするところだろう。
そしてその解決法が今後のこの作品のシリーズ化にも展望を
開いているものだ。実際、この解決法にニヤリとできるのが
SFファンの冥利というものだ。ただ、そういうことにとや
かく言いたがる連中が多いのも、日本の映画ファンの狭量な
ところでもある訳で、実は昔からのファンと称しながら、そ
のようなことを言っているのを耳にしたので、敢えてここに
書くことにしたものだ。
 その他、スペースアカデミーの外観などの背景やチャペル
看護婦などの登場人物。さらに物語の展開などでも実に細か
く気を使って作られている。それは『スター・トレック』を
知っていれば知っているほど楽しめるものだ。
 そして極め付きは、最後に流れるテーマ音楽と、「宇宙。
それは…」のナレーション。これを聞いて感動しないトレッ
キーはいないだろう。惜しむらくはその声がレナード・ニモ
イだったことで、これはやはりウィリアム・シャトナーで聞
きたかった。日本語版はぜひとも矢島正明でやってもらいた
いものだ。

 この新版は間違いなくトレッキーのために作られている。
ぜひとも続編を期待したい作品だ。


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井口健二