井口健二のOn the Production
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2008年08月15日(金) 第165回

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※このページは、SF/ファンタシー系の作品を中心に、※
※僕が気になった映画の情報を掲載しています。    ※
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 今回は製作ニュースから。
 日本では『竜王伝説』などの題名で知られる故ロバート・
ジョーダン原作によるファンタシー・シリーズ“The Wheel
of Time”の映画化権を7桁($)の契約金でユニヴァーサル
が獲得したと発表した。
 物語は、中世のイギリスを模したとされる架空の世界を舞
台にしたもので、本作執筆以前には『英雄コナン』シリーズ
も手掛けたことのあるジョーダンが、コナンの様ないわゆる
ヒーローの出てこないファンタシーを目指して創作したとさ
れる作品。平和な片田舎に住む平凡な男性が生まれ育った村
を出なくてはならなくなり、その外界には怪物や強大な敵が
待ち構えているというものだ。
 この展開だけ読むと、『ホビット』や『LOTR』、『ナ
ルニア』などにも共通するイギリスファンタシーの香りがす
るが、基本的なアイデアでは、3000年前に男性が支配してい
た世界が崩壊し、以後は絶対力と呼ばれる特別な力は女性だ
けが持って、世界政治の実権を握っているという設定。その
世界で主人公は絶対力を持ったヒーローとして登場するが…
となっている。
 そして物語は、第1巻“The Eye of the Wotld”(竜王伝
説)から、“The Great Hunt”“The Dragon Reborn”“The
Shadow Rising”“The Fires of Heaven”“Lord of Chaos"
“A Crown of Swords”“The Path of Daggers”“Winter's
Heart”“Crossroads of Twilight”“Knife of Dreams”と
続いて、第12巻の“A Memory of Light”で完結予定とされ
ていた。
 ところが、昨年9月にジョーダンが闘病の末に他界。この
ままシリーズは未完に終わるかと思われたが、現在この作品
は“Mistborn”シリーズなどのファンタシー作家ブランドン
・サンダースンがジョーダンの遺稿や創作メモに基づいて執
筆しており、来年秋の刊行が目指されているとのことだ。
 因にシリーズは、総計で4400万部を売り切ったとされ、最
近の4作品はNYタイムズのベストセラーリストの第1位を
獲得。さらにPCゲームやトレーディング・カード、RPG
などにも展開され、Red Eagle Entertainmentという会社か
らはグラフィックノヴェルの刊行も行われている。そして、
今回の映画化は、このグラフィックノヴェルの出版元が製作
にも関わっているものだ。
 なお、この映画化権に関しては、一時期アメリカNBCが
ミニシリーズの製作を目指して契約していたことがあり、そ
のミニシリーズは作られなかったようだが、今回その権利が
ユニヴァーサルに移転されたものだ。
        *         *
 お次は、前に記事にも出てきた『英雄コナン』の計画で、
昨年9月1日付第142回で紹介したミレニアム+ライオンズ
ゲートで進められているロバート・E・ハワード原作の映画
化に、新たな脚本家の契約が発表された。
 新たに参加が決まったのは、2005年6月1日付第88回など
で紹介したヴァイキング時代を背景にして異星人が登場する
というSFアクション“Outlander”などを手掛けるダーク
・ブラックマンとハワード・マッケインのコンビで、彼らは
製作費1億ドルが計上され、ミレニアム、ライオンズゲート
では過去最高額の作品となる新“Conan”の脚本を、オリジ
ナルのハワードの原作に基づいて執筆するとしている。
 因にこの計画では、当初は『ダンシング・ハバナ』などの
ボアズ・イェーキンが脚色を契約し、次いで『サウンド・オ
ブ・サンダー』のトーマス・ディーン・ドネリー、ヨッシュ
ア・オッペンハイマーのコンビも契約したが実現に至らなか
った。そしてこの原作の映画化では、1982年公開オリヴァ・
ストーン脚色、ジョン・ミリウス監督作品が先行するものだ
が、今回はさらに血糊を多くRレイトを目指すとのことで、
新脚本家コンビへの期待も高まる。
 ただし、1982年公開の“Conan the Barbarian”は全米興
行収入約3900万ドル、1984年の“Conan the Destroyer”は
約3100万ドルだったもの。これに海外分も加えると1億ドル
は突破するが、異世界ファンタシーブームもちょっと過剰気
味のこの時期に、特にRレイトを目指すという製作計画での
勝算は如何にというところだ。
 なお同じ脚本家コンビの作品で、上記の“Outlander”は
TWCの製作ですでに完成しており、海外ではこの秋から公
開が始まるようだ。一方、スカーレット・ヨハンソン主演で
計画が進められている“Amazon”に関しては、現状は中断中
となっているようだが、ライオンズゲートで進められている
この計画に脚本家たちが呼ばれたことから、今回の計画への
参加が決まったようで、今回の“Conan”は、それに優先し
て進められるとされている。
 と言っても製作開始は来年となるものだが、すでに紹介し
ている“Red Sonja”、前回紹介の“Thulsa Doom”と合せて
ハワード・ブームの到来を期待したいものだ。
        *         *
 次も脚本家の契約の情報で、今年6月1日付の第160回で
紹介した往年のスーパー・ヒーロー“Flash Gordon”の映画
化計画に、マット・サザマ、バーク・シャープレスの脚本家
コンビの契約が発表された。
 この脚本家コンビの名前は、昨年7月15日付の第139回で
紹介した実録版“Dracula Year Zero”と、SFコミックス
の映画化“Cobalt 60”(核戦争後の未来を背景にした物語
だそうだ)にも挙がっていたが、これらの計画はいずれもユ
ニヴァーサルで進められていたもので、今回はそこを離れて
ソニーとの契約となっている。
 因に1930年代のオリジナルの物語は、若きポロ選手の主人
公フラッシュ・ゴードンが、遠征先のチベットからの帰国の
際に、仲間のデイル・アーデン、ハンス・ザーコフと共に誘
拐され、遠隔の星モンゴに連れて行かれる。そこで、ミン皇
帝と名告る敵を相手に様々な冒険を繰り広げるというもの。
チベット、モンゴ(蒙古?)、ミン(明?)というのは今の
時代にちょっと気にはなるが、どうするのだろうか。
 それに、主人公のやっているスポーツが1980年に映画化さ
れていたときには、アメリカン・フットボールになっていた
と記憶するが、今度はどんなスポーツになるかも楽しみだ。
 なお、ユニヴァーサルで進められている2つの計画はいず
れも中断中とのこと。一方、“Flash Gordon”も以前はユニ
ヴァーサルで進められていたものだが、実は製作のニール・
モリッツ、監督のブレック・アイズナーは、そのときから関
わっており、脚本家コンビもそのころから目を付けられてい
たのかもしれない。
 いずれにしても早期の実現を望みたいものだ。
        *         *
 『300』に続くギリシャ時代に書かれた古代戦記物で、
紀元前4世紀ごろにソクラテスの門人クセノフォンによって
記録された“Anabasis”の映画化を、ソニー=コロムビアで
行うことが発表された。
 物語の背景は、紀元前401年。ギリシャとペルシャの戦い
が続く中、ペルシャ国王に反旗を翻した王の弟を援護するた
め遠征した1万人のギリシャ軍傭兵が、王弟の戦死によって
敵国の只中に取り残される。しかし彼らは、そこから6000km
を踏破してギリシャ圏に帰還。その戦いの様子を傭兵軍に従
軍したクセノフォンが記録したものだ。そしてこの物語は、
1979年にウォルター・ヒルが映画化した『ウォリアーズ』の
基になったとも言われている。
 その映画化を今回は、ソニー傘下モザイク・ピクチャーズ
を率いるジミー・ミラーと、HBOの歴史シリーズ“Rome”
などを手掛けるロビー&ジョナサン・スタムプ兄弟の製作で
進めるとしたもので、脚本の執筆には、ピュリッツァー受賞
者の劇作家ロバート・シェンカンの契約が発表されている。
 因に、シェンカンとソニー・ピクチャーズCEOのマイク
ル・リントンは、共に大学時代に原作を読んだそうで、今回
はその想い出が共鳴し、『300』の大ヒットの余韻の残る
この時期に計画が立上げられたものだ。
 ただし原作では、当時その土地にいた蛮族の様子などが、
かなり詩的にファンタスティック(人狼とか、立って歩く熊
とか…)に描かれているようで、その辺をどう処理するかも
映画化に当ってのポイントになりそうだ。また、1万人の兵
士の行軍というのは、それだけでも絵になりそうだが、さら
にそれが戦闘やアクションを繰り広げるとなると、これはま
さに『300』の流れを継ぐ作品となる。
 なお、モザイク・ピクチャーズは、今までに“Talladega
Night”や“Step Brothers”などコメディのNo.1ヒット作を
連発してきたが、今回の作品を足掛かりに歴史物の分野にも
進出する計画だそうだ。
 またロビー・スタムプは、以前には『銀河ヒッチハイク・
ガイド』などの故ダグラス・アダムスのパートナーとしても
知られていた人物だそうで、この人脈も興味深いものだ。
 ジョン・ウー監督の『レッド・クリフ』でも見事な古代の
戦いが描かれているが、登場するいろいろな戦術はCGIを
使うことでようやく映像化が可能にされたもので、この分野
の作品はこれからも次々登場しそうだ。
        *         *
 2007年デンマーク製作のファンタシー映画“De Fortabte
sjaeles ø”のリメイク権がユニヴァーサルと契約され、オ
リジナルを監督したニコライ・アーセルの手でハリウッド映
画化されることになった。
 物語は、郊外に住むティーンエイジャーの少女が、彼女の
弟に18世紀の魔法使いの精霊が乗り移ったことから、自分が
何世紀も続く善と悪との戦いのキープレーヤーであることを
知って…というもの。典型的な若年向けファンタシーという
感じだが、このオリジナルから、2006年『トゥモロー・ワー
ルド』(Children of Men)などを手掛けたストライク・エ
ンターテインメントの製作でリメイクが行われる。
 また、今回のハリウッド版の脚色には、昨年のサミュエル
・ゴールドウィン脚本賞で第1位を獲得したジェニファー・
オキーフの起用が発表されており、過去にはフランシス・フ
ォード・コッポラらも受賞している学生賞の受賞者から新た
な才能が開花しそうだ。
 因に、本作の英語題名は“Island of Lost Souls”となっ
ているが、1932年に『獣人島』の邦題で公開されたH・G・
ウェルズ原作『モロー博士の島』とは関係ないようだ。
        *         *
 キャロリン・バークハースト原作の全米ベストセラー小説
“The Dog of Babel”の映画化に、2003年のアイルランド映
画『ダブリン上等!』(Intermission)などを手掛けたジョ
ン・クローリー監督の起用が発表された。
 この作品は、言語学者の主人公がある日帰宅すると、自宅
の裏庭で妻が倒れて死んでいる。事故か自殺か、その死因を
探るため言語学者は、事件の唯一の目撃者である夫妻の愛犬
に人間の言葉を教え、真相を聞き出そうとするが…というも
の。そしてこの原作から、2006年“We Are Marshall”など
を手掛けたジェイミー・リンデンの脚色も発表されている。
 これがSFかどうかは意見が分かれると思うが、ファンタ
スティックな作品にはなりそうだ。
 製作は、『ハリー・ポッター』シリーズなどを手掛けるデ
イヴィッド・ヘイマン。彼は、クローリー監督とは、マイク
ル・ケインが主演した“Is There Anybody There?”という
作品で組んだばかりだが、この作品も人の死と死後の世界を
題材にしたものだそうで、「監督の感覚は、この種の題材に
向いている」というのが製作者の考えのようだ。
 製作会社は、2006年『主人公は僕だった』なども手掛ける
マンデイト・ピクチャーズ。製作は同社の最優先計画として
進めるとしている。
        *         *
 元タレントマネージャーのオーレン・シーゲルという人が
中国資本のプロダクション基金を獲得し、2003年ローカス賞
処女作部門の候補になったリサ・ラーナー原作“Just Like
Beauty”の映画化に乗り出すことになった。
 物語は、ギャングやミュータントや自殺教団が蠢く反ユー
トピアの未来社会を舞台に、母親を喜ばせるために美人コン
テストに出場することにした14歳の主人公を巡るもの。映画
のジャンル分けではダーク・コメディと紹介されていた。そ
してこの原作から、2007年にジェームズ・フランコ、シエナ
・ミラーが共演した“Camille”などのニック・パースティ
の脚色が契約されている。
 物語的にはいろいろ作れそうだが、反ユートピアのイメー
ジをどのように映像化するかが問題になりそうな作品で、こ
れから選考される監督が注目になるものだ。
 なお、製作者のシーゲルは、この他にマイクル・ホーンバ
ーグ原作による“Downers Grove”という作品の映画化も進
めているが、そちらは、『アメリカン・サイコ』などの原作
者ブレット・イーストン・エリスが脚色を担当することでも
話題になっているようだ。
        *         *
 ジェイムズ・パタースン原作のヤングアダルト・シリーズ
“Maximum Ride”について、その映画化権をコロムビアが獲
得したと発表した。
 この作品は、遺伝子操作によって98%が人間、2%を鳥と
して誕生した6人の子供たちを巡るもので、彼らは空を飛ぶ
能力を得て彼らを生み出した研究所を脱出。狼の遺伝子を持
つ追跡者を躱しながら逃亡を続けている…というもの。すで
に4巻が出版されていずれもベストセラーとなり、来年5巻
目が発行予定となっている。
 そしてその映画化を、『Gガール』などのドン・ペイネの
脚色により、大ヒット作『アイアンマン』の製作総指揮を務
めたアヴィ&アリ・アラド父子と、父子と共にシーサイド・
エンターテインメントを主宰するスティーヴン・ポールの製
作で行うものだ。
 因に、以前はマーヴェルの一員として『スパイダーマン』
などの映画製作に関ってきたアラド父子だが、今回の計画で
は、「ど派手なコスチュームに身を包んだアメコミ・ヒーロ
ーとは一線を画した、オリジナルなスーパーヒーローを生み
出したい」と抱負を語っているようだ。なお映画化では、ア
ラド父子とポールが製作を務め、原作者のパタースンは製作
総指揮の肩書きを得ることになっている。
 またアラド父子とポールは、すでに『ゴーストライダー』
の製作を手掛けているが、今回の計画は彼らの第3作となる
予定のものだそうで、その前に、日本アニメ『攻殻機動隊』
の3D実写版リメイクの計画が進められるそうだ。従って、
本作の製作はドリームワークスで進められるリメイクの後に
なるもので、さらにその後には、前々回第163回で紹介した
カプコンゲームの映画化“Lost Planet”が、『X−メン』
などのデイヴィッド・ハイターの脚本によりワーナーで予定
されているものだ。
        *         *
 製作ニュースの最後は、ブラジルを舞台にしたアクション
映画の話題で、“Lobo”と題された狼人間を題材とする3部
作映画の計画が紹介されている。
 この計画は、『ペネロピ』や『コレラの時代の愛』などを
製作したストーン・ヴィレッジが進めているもので、ディク
ラン・オーネキアンとライアン・コルチという2人の執筆に
よるオリジナル脚本を映画化するもの。監督には、最近デビ
ュー作を撮り終えたばかりという新人エンザ・サンズの起用
が発表されている。
 物語は、1人の男性が母親から写真の同封された手紙を受
け取り、自分のルーツを探るためにアマゾン奥地の人里離れ
た生地の村に向かうところから始まる。そこで彼は、自分が
狼人間の血を引く者であることを知り、さらに自分の為すべ
きことに目覚めて行く。そして狼人間たちを守るための戦い
に加わって行くが…というもの。
 この脚本に対して監督のサンズは、「モンスター映画とい
うより、セルジオ・レオーネのマカロニウェスタンのような
感覚の物語だ。新ボンドや『ダーク・ナイト』のようなダー
クなヒーロー世界に観客を連れて行く」として、一連の物語
を3本の映画に仕上げる計画としているものだ。
 出演者はこれから選考されるが、製作費には1500万ドルが
計上されて、10月15日からリオ・デジャネイロの郊外での撮
影開始が予定されている。またこの映画化に並行してグラフ
ィックノヴェルの刊行も計画されており、脚本家たちはその
物語の執筆も行うことになるようだ。
        *         *
 突然飛び込んできたニュースで、当初は今年11月21日に予
定されていた“Harry Potter and the Half-Blood Prince”
の公開が、来年7月17日に延期されると発表された。
 この作品に関しては11月17日にロンドンで、イギリス王室
も迎えたワールド・プレミアの開催も発表されていたものだ
が、ワーナー側の発表では、「作品にとってのより良い公開
時期として2009年夏を選択した」とのことだ。つまり、製作
が遅れたというような事情ではなく、純粋に興行的な問題と
しての延期のようで、来年7月の公開ではほぼ全世界一斉の
封切りを行うとしている。
 因に、『ハリー・ポッター』シリーズでは、前作の2007年
『不死鳥の騎士団』も7月公開で、全世界9億3800万ドルの
興行成績を挙げているそうだ。
 なお、来年の7月には、同日17日にウィル・フェレル主演
“Land of the Lost”、前週10日にはローランド・エメリッ
ヒ監督の“2012”、さらに前々週にはジョニー・デップ主演
“Public Enemies”と“Ice Age: Dawn of the Dinosaurs”
が並んでいるものだが、実は脚本家ストライキの影響で充分
な大作が揃えられていないという状況もあり、そんな中での
映画興行を支える究極の判断という見方もあるようだ。
 それから、2部作での公開が発表されている『ハリー・ポ
ッター』の最終話“Harry Potter and Deathly Hallows”に
関しては、2010年秋と2011年夏の公開予定に変更は無いよう
だ。
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 最後に、これはちょっと嫌な話なので、読みたくない人は
読まないで欲しいが、先日のVariety Japanのウェブサイト
に載ったミシェル・ゴンドリー来日記者会見の記事の中で、
監督が、東京とニューヨークの違いについての質問に怒った
との報道がされていた。実はこれは僕の質問に対してのこと
なので、ここにその顛末を記録しておく。
 この質問で、僕が実施に訊きたかったのは「ニューヨーク
が舞台の原作を東京を舞台に映画化するに当って変更したと
ころがあるか」というものだった。ところが、通訳を通じて
僕の真意が伝わらなかったようで、記事にされた事態になっ
てしまったものだ。
 そこで、僕は再度質問の意図を説明して、監督からは「ヒ
ロインが狭い路地を抜けるシーンなどがニューヨークとは違
う」という答えを得ている。そして会見後には、監督から直
接「誤解して済まなかった」という言葉と一緒に、プレスブ
ックにサインまでして貰ったものだ。
 同様のことは、以前にティム・バートンの記者会見の時に
も質問と答えがちぐはぐになり、以前の会見で僕がしたマニ
アックな質問に嬉しそうに答えてくれたバートンが、このと
きは怪訝な顔で僕を見ていたものだが、通訳を介した質問と
いうのは難しいと改めて思ったものだ。
 因にこの2回の通訳は同じ人だと思うが、この人は『ブラ
インドネス』の舞台挨拶の時も、フェルナンド・メイレレス
監督が“My First Japanese Movie”、つまり「自分の最初
の日本映画」と言っているのに、「初めての日本に関係した
映画」と訳しており、ちょっと疑問に感じたものだ。
 ちょっと嫌な話だったが、事実を報告しておく。


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井口健二