2008年04月20日(日) |
メモリー〜君といた場所〜、シャークウォーター、きみの友だち *熊本遠征記後編 |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『メモリー〜君といた場所〜』“รักจัง” 5月31日に開催されるタイ式シネマ・パラダイスの1本とし て上映される作品。 人気アイドルの男性が山中のドライヴで事故に遭い、身体は 異常なかったが記憶を喪失してしまう。それを偶然発見した 女性パパラッチが素性を隠して接近し、スクープをものにし ようとするが… 記憶喪失というと、最近ではアルツハイマー症絡みの作品が 数多く作られているが、この作品で描かれるのはそのような 現実的なものではなく、もっとオーソドックスな事故による 記憶喪失。 その事故による記憶喪失物では、1942年製作の『心の旅路』 が頭に浮かぶ。『失われた地平線』などのジェームズ・ヒル トン原作を、マーヴィン・ルロイ監督、ロナルド・コールマ ン、グリア・ガースン共演で映画化したこの作品は名作とし て名高いものだ。 と書いただけでかなりのネタバレになってしまう。つまりこ の作品が描くのは、2度の事故によってその間の記憶を再度 失ってしまった男性と、その間に巡り会った女性の物語とい うものなのだが、この作品はこのオリジナルを巧妙に現代に アレンジしている。 しかも、主人公の男性が人気アイドルと女性がパパラッチと いうのもうまい捻りで、オリジナルの切なさとは別の、現代 らしい心の葛藤が巧妙に描かれて行く。 そしてその舞台が、僕らのあまり知らないタイ山岳部という ロケーションも美しく心に染みるものだった。 主演は、役名と同じ「フィルム」の芸名で、タイでは人気ア イドルのラッタプーム・トーコンサップと、日本のファッシ ョン雑誌などにも登場しているモデル/女優のポーラ・テイ ラー。この2人が等身大で恋物語を演じている。 そしてその脇を固めるのは、見るからにお笑いの人という感 じのイード・ポーンラーンサオーンと、女性コンビのラーラ ーとルールー。特にこの女性コンビがかなり飛んでもない演 技を見せてくれる。 この種の物語で脇役にコメディアンを使うのは日本映画でも よくあることだが、これが案外難しい。本作でも最初はちょ っと浮いているかなとも感じたが、それがだんだん填ってく るのは、かなり強引ではあるが納得できた。 『心の旅路』は、原作も映画化も著作権は切れているはずだ が、本作はそのリメイクではないにしてもインスパイアはさ れたと考えられる。しかもそれを下敷きに見事に現代にアレ ンジした作品と言えるもので、その点では嬉しくも感じられ たものだ。
『シャークウォーター』“Sharkwater” 8歳の時のフリーダイビング中に遭遇したサメの姿に魅せら れたという海洋生物学者で、水中カメラマンのロブ・スチュ ワートが、サメの美しさを世界に広めるために作り始めたド キュメンタリー。しかし作品は思わぬ展開を見せる。 子供の頃からサメが好きだったと言う監督は、純粋にサメの 美しさを求めて作品を撮り始めたようだ。しかし、そのサメ を撮影するためコスタリカのココス諸島のサメ棲息地に向か った船には環境保護活動家が乗り組んでいた。 そしてその航路で彼らはサメの密猟に遭遇し、それを止めよ うとした活動家たちは、中国料理で珍重されるフカヒレを巡 ってその海域で繰り広げられる裏ビジネスの実体に迫ること になってしまう。 さらには、その裏ビジネスで暗躍する台湾マフィアや彼らと 結託する政府・警察との対決など、アクション映画さながら の展開となる。 実のところ、この環境保護活動家なる連中が、グリーンピー スとは別の、おそらく日本の調査捕鯨も妨害して日本政府か らも訴追されている連中と思われ、その辺は日本人としては ちょっと考えてしまうところもあったが、台湾マフィアの存 在など今まであまり考えていなかった事柄も紹介されていて それなりに面白くはあった。 それにサメのヒレ部分だけを切り取って、泳ぎもままならず 死を待つだけになったサメの身体を無造作に海に投げ捨てる 映像は、人間の横暴さを見事に表して、観ていて心が痛むも のだった。 ただし、サメは人間を襲わないという監督の主張は、現実に 日本近海でもサメに襲われて亡くなった人のニュースも何度 も耳にしているもので、簡単に鵜呑みにしてしまう訳には行 かない。いろいろな条件も重なってのことなのかも知れない が、その辺は明確にして欲しかったものだ。サメは人間にと って必ずしも無害ではない。 なお監督の主張では、映画が人食いザメの印象を植えつけ、 サメの乱獲を助長したということだが、できることならこの 作品をスティーヴン・スピルバーグに観せて、その反応を観 てみたいものだ。
『きみの友だち』 直木賞受賞作家の重松清の原作を、2003年寺島しのぶ主演作 『ヴァイブレータ』などの廣木隆一監督で映画化した作品。 子供の頃の交通事故で足が不自由になった主人公と、生来の 持病で運動のできない同級生との交流を通じて、喪失と再生 の中で揺れる少年少女の姿を描く。 その2人の通う学校では、クラス全員が参加する縄跳び大会 があるらしい。その大会で縄を回す役は、自動的にその2人 に決まってしまう。そんな境遇には反発を感じる主人公だっ たが、病弱の同級生の健気な姿に徐々に心を開いて行く。 その主人公は、大人になってからはフリースクールで子供た ちに絵を教えている。そこで主人公は取材に訪れたカメラマ ンと会話を交わすようになる。主人公もカメラが好きで、そ の写真にはいろいろな思い出が詰まっていた。 物語は、主人公と同級生の話だけではなく、主人公の弟の話 などいろいろなものが交錯する。しかもその時系列も様々に それらの話が進むので、正直に言ってちょっと混乱を感じる ところもあった。 結局それは最後にはちゃんとまとまりを見せ、そこに感動も 湧き上がる構成だが、でも、特に弟のエピソードなどは、も う少しその辺の時間の流れなどは判りやすくして欲しかった ところだ。 と言っても、観ていれば判る話ではあるのだが、観ている間 にあやふやな気持ちにさせられるのは、やはり余り気持ちの いいものではない。多分監督は原作を読み込んでいるからこ れで良しとしたのだろうが、もう少し考えて欲しい感じはし た。 と苦言は呈してしまったが、映画の全体は心地よく楽しむこ とができた。特に青い空に浮かぶ白い雲の映像は、今の季節 にピッタリの感じもしたものだ。その中で揺れ動く子供たち の心情は、観ていて感じるところも多かった。 出演は、ホリプロ・タレントキャラバン出身の石橋杏奈と、 『誰も知らない』で長女役を演じていた北浦愛。他に、吉高 由里子、福士誠治が共演。さらに大森南朋、柄本明、田口ト モロウ、宮崎美子らが脇を固めている。また、主題歌を一青 窈が担当している。 なお、石橋は高校生から20歳の大人の女性まで演じるが、撮 影当時はまだ14歳だったそうで、これはなかなかのものだ。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※今回は紹介する映画が少なかったので、3月21日〜24日※ ※に青春18切符を使って実行した熊本旅行について報告し※ ※ます。映画紹介のページの趣旨とは相違しますが、途中※ ※で観たIMAXの話なども書きますので、ご了承ください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ (承前) 試合後は、応援団の前に来た選手を迎えた後に、ダッシュで バス乗場まで行き、光の森駅行の第1便の連絡バスに乗車す ることが出来た。そこから15時31分発の熊本行に乗車。熊本 で16時01分発鹿児島本線上りに乗り換えることになったが、 ここでトラブルに見舞われた。 ここでの乗り換えは、元々余裕が3分しかなかったのだが、 熊本駅に着いて出発ホームに行ったら電車が見当たらない。 しかし、乗客の列が出来ていたのでそこに並ぼうとしたら、 突然発車ベルが鳴り出した。実はその時に出来ていた列は、 その後に発車するエル特急のもので、僕の乗る計画の普通列 車はホームの中央部に短く2両編成で止まっていたのだ。 つまり、鹿児島本線も都市間の特急は現在も10両編成以上で 運行されているようだが、その他のローカル線は豊肥本線と 同様の2両編成のワンマンカーとなっており、その車両は長 いホームの中央付近に止まっていたのだ。しかし、跨線橋の 階段を中央側でない方に降りてしまった僕には、階段の陰で その車両が見えなかったという訳だ。 それに気付いて慌てて電車のところまで走ったが、目の前で 扉が閉まってしまった。しかし、このとき僕の走って行った のが運転席の側だったために、運転士が気付いて扉を開けて くれた。これでことなきを得たが、この電車を逃すと門司着 が1時間ほど遅れるところだった。ここでの教訓としては、 時間に余裕を持つのが一番だが、そうもできないときは、地 方の駅では、ホームは長いが列車は短いこともある、という ことを忘れてはいけない。 この後は、久留米で準急に乗り換え、小倉からは普通電車に 乗り継いで20時04分門司に到着した。そして予定通り2時間 半の余裕を持って、門司駅から徒歩5分ほどにある「もじ楽 の湯」というスーパー銭湯で入浴できた。 この銭湯は天然温泉ではないようだが、この日は曜日と時間 の関係か入浴客も少なくゆったりと入浴できた。特に、玄界 灘に臨む露天風呂は、夜間で真暗だったし、また雨上がりと いうことで多少のカルキ臭はあったが、広々とした玄界灘は 実感でき、格別の気持ちの良さだった。 さらに入浴後は、試しに下関まで行ってみたが、弁当などの 売店はすでに閉まっていて、結局ふぐ弁当は買えなかった。 今回の旅行で一番残念だったのは、これを食せなかったこと になりそうだ。そして、下関駅から帰路のムーンライト九州 に乗り込んだ。 * * 旅の4日目は、ムーンライト九州が06時47分新大阪着、ここ で07時08分米原行の新快速に乗り込むことから始まった。 実は、計画では大阪での始発に乗り込む予定だったのだが、 行きに物色したお土産を買うために新大阪まで来たものだ。 ところが狙っていたお土産は販売時間が8時からで購入でき ず、結局ありきたりな土産となってしまった。それなら大阪 で始発に乗れば良かったのだが、新大阪では比較的込み合っ ていた電車もほどなく空き始めて、途中からは着席すること もできた。 米原から大垣は普通電車を乗り継ぎ、大垣からは新快速で浜 松に向かった。その後は、興津、沼津、熱海、小田原と乗り 継いで小田原へ。小田原では、そのまま東京まで乗って行っ ても良かったのだが、目的地が新宿方面なので湘南新宿ライ ンに乗り換えることにした。 それにしても、浜松から東京まで3回も乗り換えなければな らないのはどうしたものか。沼津−熱海間は運行会社が変る から仕方ないにしても、浜松−沼津くらいは1本で来て欲し かったものだ。 出来たら浜松−三島間に快速列車があったらもっと良い。逆 に沼津−東京間は朝夕に直通列車があるのだから、静岡県内 のダイヤももう少し考えてほしいと思ったところだ。なお、 浜松−熱海という列車はあるが、浜松着11時03分の新快速に 接続する列車がないものだ。 実際、この日に浜松から小田原(東京)に一緒に乗り継いだ 人はかなり多く、青春18切符を使って京都近辺から東京に向 かっていた人もいたようだ。これを新幹線の集客の障害にな るとでも考えているのなら哀しいことだ。 なお、車内で隣に座った人のメモが見えてしまったが、その 人は京都駅を05時30分頃に出たようだった。たぶん始発だっ たのだろうが、始発からの乗り継ぎでも、僕が07時30分頃に 京都駅を通過したのと同じ電車になっているのだから、乗り 継ぎダイヤの悪さが解る気がしたものだ。 * * ということで、どうにか4日間の熊本遠征を終えることが出 来た。大阪以外はほとんど観光もできなかったし、多少のト ラブルはあったが、初期の目的は果たす旅にはなった。 なお、今後のことも含めて、旅行中や計画中などにいろいろ 考えたことを、以下にまとめて記載しておくことにします。 同様の旅を試みる人は参考にでもしてください。 * * まずは、上記もしたJRダイヤの乗り継ぎの悪さについて、 特に静岡県内の状況は相当のもので、この辺は何か改善して もらいたいと思ったものだ。なお、名古屋からは中央線経由 で新宿に向かうルートも検討したが、普通列車を乗り継ぐに はさほど変らない状況であることも判った。 と言っても、鉄道の状況が悪いのはここだけでなく、実は試 みに仙台、山形に普通電車で行くルートを検討したのだが、 この方面には長距離の普通夜行列車がないために、ほとんど 不可能であることが判った。 一方、徳島に関しては関西から高速バスを利用すれば、競技 場の近辺にバス停があり、また、愛媛にはムーンライト松山 というのが運行しているようだが、いずれも試合が青春18切 符の期間中ではないので諦めた。広島についても同様。 これに対して、岐阜、福岡、鳥栖の試合は、青春18切符の期 間中に行われるもので、これは何とかなりそうだ。この内、 岐阜に関しては19時キックオフなので、行きは中央線の普通 列車で行っても良いし、帰りは岐阜駅23時29分発のムーンラ イトながらが使える。 しかし福岡に関しては、19時のキックオフでは、博多発20時 28分のムーンライト九州には到底間に合わない。ところが、 ここで博多−小倉間に新幹線を利用すると、小倉駅で追い付 くルートがありそうだ。鳥栖に関しては、18時のキックオフ なので、これも何とか間に合いそうな気がする。現状では、 ムーンライト九州の運行が不明なので、まだ詳細な計画を立 てられないが、出来たら行きたいものだ。 因に、ムーンライト九州に関しては、専用の車両が老朽化し て、その更新がないと廃止の可能性もあるとの噂を聞いた。 従って、今年行かなければ来年以降は走っているかどうかも 判らないもので、出来るだけ今年実現したいと思っているも のだ。ムーンライトながらについては、使用している車両も 通常の特急列車の車両なので問題はなさそうだが… 鉄道は、最も省エネな交通機関と言われているものだが、そ の割りにはローカル線が新幹線との狭間で次々に廃止されて 行くのも哀しいことで、それらを出来るだけ利用してその有 効性を訴えたいとも思っているところだ。
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