※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※ ※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※ ※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 今回は、前回の積み残しの情報もいろいろあるので、早速 始めることにしよう。 まずは“Star Wars: Episode III-Revenge of the Sith” の興行成績で、全米3億ドル突破は17日目で達成された。こ れは前回紹介した“Return of the King”の記録を抜くもの だが、実は前回紹介したのは実写のみの記録だったようで、 その前にアニメーションでは“Shrek 2”の18日という記録 が在ったらしい。しかし、今回はその記録も破ったものだ。 ということで、正真正銘の記録達成はめでたいことだが、 僕個人の心情としては、「“Episode VII”以降は最初から 検討されたこともない」と言われて以来、ルーカスには裏切 られたという思いが付き纏っているもので、今回の新記録も 素直には賞賛できないものだ。いずれにしても、この作品の 試写を僕が見ることはないと思うし、このサイトで僕がこの シリーズについて書くのは、これが最後になりそうだ。 * * 次はちょっと補足で、前回最後に書いた“Outlander”の 紹介に、ウェインスタイン兄弟による新会社ウェインスタイ ン Co.の第1作としたのは、同社が発足してから発表された 新たな企画の第1号という意味だ。 実際、同社では独立以前に発表されていた企画もディズニ ーから引き取って進めており、先日のカンヌ映画祭では、ロ ベルト・ロドリゲス、フランク・ミラー監督の“Sin City” が、新会社傘下として兄弟が引き継ぐディメンション社初の コンペ参加作品として上映されている。また、テリー・ギリ アム監督、マット・デイモン、ヒース・レジャー、モニカ・ ベルッチの共演による“The Brothers Grimm”の20分間の特 別映像も新会社のプロモーションにより上映されたようだ。 そして兄弟は、今年から来年夏に掛けて公開される彼らが 手掛けた18作品のスケジュールも発表している。 それによると 8月12日公開で、ジョン・ダール監督、ベンジャミン・ブラ ット主演による第2次大戦背景の救出劇“The Great Raid” 9月9日公開で、ロバート・レッドフォード、ジェニファー ・ロペス共演の“The Unfinished Life” 9月16日公開で、ジョン・マッデン監督、グィネス・パルト ロー主演の“Proof” 以上の3本は、ディズニーの下で長くお倉入りになっていた もので、新会社が設立される9月30日以前にディズニーから 公開される。 そして9月30日に新会社が発足されると、 10月21日公開で、クライヴ・オーウェン、ジェニファー・ア ニストン共演のサスペンス作品“Derailed” 11月18日公開で、グレッグ・マクリーン監督によるホラー作 品“Wolf Creek” 同じく11月18日公開で、ピアズ・ブロスナン主演のブラック コメディ作品“The Matador” 12月2日公開で、フェリシティ・ハフマン主演のダークコメ ディ作品“Trasamerica” 12月16日公開で、チェン・カイコー監督、真田博之、チャン ・ドン・ゴン、セシリア・チャン共演による歴史エピック作 品“The Promise” クリスマス公開で、スティーヴン・フリアーズ監督の“Mrs. Henderson Presents” 2006年1月6日公開で、クリスティーナ・リッチ主演のスリ ラー作品“The Gathering”(2003年12月31日付紹介:日本 公開済) 1月20日公開で、2004年8月1日付第68回で紹介した「プロ ジェクト・グリーンライト」の優勝のホラー作品“Feast” 2月初旬公開で、アンソニー・ミンゲラ監督、ジュード・ロ ウ主演のドラマ作品“Breaking & Entering” 3月3日公開で、ウェス・クレイヴン監督、クリスティン・ ベル主演による日本製ホラー『回路』のリメイク“Pulse” 3月17日公開で、エルモア・レナード原作、ジョン・マッデ ン監督による“Killshot” 4月14日公開で、デイヴィッド・ズッカー監督によるシリー ズ第4作となる“Scary Movie 4” 2006年春公開で、クェンティン・タランティーノとロベルト ・ロドリゲスがそれぞれ60分の監督作品を合体して発表する “Grin House” 2006年夏公開で、ロベルト・ロドリゲス、フランク・ミラー が再度手を組む続編の“Sin City 2” これらのスケジュールが確定しているということだ。 ただし10月以降の作品で、“Derailed”“The Matador” “Breaking & Entering”“Scary Movie4”“Sin City 2” の5本については、権利関係の都合でディズニーとの共同製 作となり、アメリカ国内は新会社、海外はディズニーの配給 となるようだ。 以上が発表されたスケジュールだが、これらの作品はいず れも兄弟がディズニー傘下の間に製作、企画されたもので、 言ってみれば旧体制の名残りの作品ということになる。これ に対して前回紹介の“Outlander”は、10月の撮影開始で、 正真正銘の新会社の第1作となる予定のものだ。 この他に同社では、カンヌ映画祭のマーケットに出品され たドイツ製作のCGIアニメーションで“Hoodwinked! The True Story of Red Riding Hood”という作品の北米配給権 も契約している。この作品は、ペロー童話の『あかずきん』 をモティーフに、ちょっと飛んでる刑事が事件の捜査を行う という設定のもので、元ディズニーのアニメーション担当重 役だったスー・ベア・モンゴメリーの協力の下、ドイツの酒 造メーカーのバックアップで2年前に設立されたCGIスタ ジオが製作に当っている。 なお作品は、ハーヴェイ・ウェインスタインの発言によれ ば、「今の時代にマッチした奇妙な作品。ユニークで、目か ら鱗の落ちるような展開は、子供のイマジネーションを虜に すること確実なもの」だそうだ。 * * ということで、前回のフォローアップは終了して、以下は いつもの製作ニュースを紹介しよう。 最初は、またまた続編の情報で、2003年公開のリメイク版 が全米1億ドル超のヒットを記録した“The Italian Job” の続編の計画が発表された。 この続編については、2004年8月1日付の第68回でも紹介 したものだが、実は前の紹介の時点ではすでに製作リストで in productionとなっていた製作状況が、その後の9月29日 付でannouncedに変更され、進行がストップされたまま現在 に至っていた。つまりこの計画は一時頓挫していた訳だが、 今回はその計画が再び動き出したものだ。 そして今回の情報では、“The Chronicles of Riddick” などのデイヴィッド・トゥーイーが執筆した“The Wrecking Crew”というオリジナル脚本のキャラクターを入れ替えて、 続編の脚本とするというもので、リオデジャネイロが主な舞 台となるこの続編の題名は、“The Brazilian Job”になる と発表されている。 因みにトゥーイーは、1993年公開アンドリュー・デイヴィ ス監督による“The Fugitive”の脚本も担当しているが、最 近の“Pitch Black”や“Riddick”では自作脚本を自ら監督 しているものだ。そして今回の脚本も、本当は自分で監督す るつもりでパラマウントに提出したものだったそうだが、製 作者との会見に呼ばれて、その席で続編として映画化するこ とを説得されたということだ。なお続編の監督には、前作を 手掛けたF・ゲイリー・グレイの担当が契約されている。 この経緯に関してトゥーイー自身は、「ゲイリーは、先の リメイクでスタイルを確立しているし、続編という形で作る なら彼が最適だと思う」と納得して身を退くことを決めたよ うだ。また、このように他の脚本で続編を作るケースでは、 最近では“Honor Among Thieves”という脚本から“Ocean's Twelve”が作られた例があるし、1995年のシリーズ第3作 “Die Hard With a Vengeance”が、“Simon Says”という 別の脚本から作られたのも有名な話だ。 なお、以前に紹介されていた続編では、ヨーロッパを舞台 にするということだったが、今回の舞台は上にも書いたよう にブラジル。リオデジャネイロの街を舞台に、またまた奇想 天外な強奪劇が展開されそうだが、パラマウントとしては、 この街にマーク・ウォルバーグ、シャーリズ・セロンらオリ ジナルキャストを再結集させる方針で、これから出演交渉を 進めるということだ。 一方、今回の続編の計画に対しては、すでに複数の自動車 メーカーから自社の車を登場させてもらえないかとのアプロ ーチが来ているということで、前作でミニクーパーが演じた 役柄を続編ではどこの車が勝ち取るかも注目になりそうだ。 ただし日本では、大元の1969年のイギリス映画がミニクーパ ーを使用していたことから『ミニミニ大作戦』という邦題を 付けたものだが、もし車種が替ってしまったら、これは一体 どうなるのだろうか。 * * ところで、上記の企画では監督から身を退いたトゥーイー だが、実は別のオリジナル脚本を監督する契約を、パラマウ ント傘下のニッケルオデオンと結んでいた。 この作品は、“The Would-Be Warrior”と題されているも ので、お話は、北欧神話の数100年に及ぶ神々の争いに現代 の15歳の少年が巻き込まれるというもの。トゥーイー自身の 説明では、『ジュマンジ』のようなファンタシーアドヴェン チャーということだが、「VFXやアクション満載で、剣と 魔法の物語の雄大な雰囲気も取り入れた、目茶苦茶面白い物 語」だそうだ。 また、この他にトゥーイーの関連では、ソニー傘下のコロ ムビアで、“The Break”というSF映画の計画も進行して いる。 この作品は、実はコロムビアで長年に亙って進められてき た“Alien Prison”という企画を改題して再検討しているも ので、元の計画に関しては2003年7月15日付の第43回でも紹 介しているが、“Air Force One”などのアンドリュー・マ ーロウのオリジナル脚本から、すでに何人もの脚本家が検討 を繰り返してきたものだ。 お話は、異星人の牢獄に捕えられた地球人の一団が、脱走 して異星人による地球征服に抵抗するというもの。このアイ デアに今回はトゥーイーが挑戦する訳だが、トゥーイーは、 「(製作担当の)ダグ・ウィックも自分も、1953年の『第17捕 虜収容所』から1967年の『暴力脱獄』までの古典的な脱獄映 画の大ファンで、これらの作品のテーマを再発見できるよう な作品にしたい」と語っている。 上記の続編の製作にはタッチしないことが表明されている トゥーイーだが、さて彼自身の次回作には、ファンタシーと SFのどちらを先に進めてくれるのだろうか。 * * 続いても続編の情報で、2006年5月26日の全米公開が決定 されている“X-Men 3”について、監督をブレット・ラトナ ーが担当することが発表された。 この監督については、イギリス人のマシュー・ヴォーンが 先に発表されていたものだが、新たな出演者の選考や新たな スタッフの決定が行われ、最後のロケーションハンティング の開始を目前にした時点で、ヴォーンが家庭の事情を理由に 降板を表明。急遽、交替監督との交渉が行われた結果、ラト ナーとの契約がまとまったということだ。 因みにラトナーは、コミックスフリークとしても知られ、 実は“X-Men”の第1作の製作時にも監督候補に挙がってい たということだ。しかしこのときは、ブライアン・シンガー にその席を奪われてしまっていた。そして今回は、シンガー が“Superman Returns”の監督のため降板した後を引き継ぐ ことになった訳だが、ラトナーは一昨年には“Superman”の 復活計画にタッチしていたこともあり、何となく因果は巡る という感じになってくる。 また、フォックスとラトナーの関係では、先にショーン・ コネリー主演による“Josiah's Canon”という怪盗ものの計 画が撮影寸前まで進められていたが、コネリーが降板を表明 したために頓挫したという経緯があるようで、今回はその関 係修復の意味もあるようだ。 ただしこの計画が進むと、前々回紹介したニューラインで 進められている“Rush Hour”の第3作の計画が実現不可能 になってしまうものだが、実は、前の情報ではジェフ・ネイ ザンスンのアイデアが気に入っていると伝えられたクリス・ タッカーが、その後に契約を渋り出し、結局降板ということ になっている。この事態にラトナーとしてはなす術が無く、 ニューラインはマーティン・ローレンスらに代役の交渉はし ているようだが、当面製作は延期ということのようだ。これ なら別の作品に行くのも仕方のないところだろう。 なお“X-Men 3”の撮影は、オリジナルキャストの大半が 再結集し、ザック・ペン、サイモン・キンバーグの脚本によ り、8月に開始されることになっている。 それにしても、親友マイクル・ジャクスンの裁判が完全無 罪で終って、クリス・タッカーの気が変わるなんてことはな いのかな。 * * お次は、2004年3月15日付の第59回で紹介した“The Fast and the Furious 3”の情報で、監督を台湾出身のジャステ ィン・リンが担当することが発表された。 このシリーズでは、2001年公開の第1作はロブ・コーエン 監督、ポール・ウォーカー、ヴィン・ディーゼル、ミシェル ・ロドリゲスの共演で製作され、“2 Fast 2 Furious”と題 された2003年の第2作はジョン・シングルトン監督、ウォー カー、タイリーズ、エヴァ・メンデスの共演で製作されたも のだが、今回発表された第3作では、前作までのキャストは 誰一人出演せず、第1作以来の継続するスタッフキャストは 製作のニール・モリッツだけという状況で、物語のコンセプ トだけが共通するシリーズがどれだけ通用するか、かなりの ギャンブルと見られているようだ。 なお物語は、以前に紹介したように東京を舞台にしたもの で、違法なストリートレーシングを繰り返したためにアメリ カを追われた若者が、ドリフトレースのメッカ東京に現れ、 ヘアピンやカーブの連続する東京の街で新たな挑戦を繰り広 げるというもの。前2作のレースは直線コースが主だったか ら、これは確かに新たな挑戦になりそうだ。 撮影は、この初秋からアジアとアメリカで行われるという ことだが、さて警視庁がこのテーマでの映画撮影で、道路の 使用を許可するものか否か。まあ最後の手段は、似た街並の 別のアジアの都市で撮影することになるのだろうが、仕上が りが楽しみだ。 それと前2作は、いずれもの警察の潜入捜査が物語の背景 にあったが、今回もそれは踏襲されるのかどうか。そうなる と警視庁の判断も微妙になってきそうだが、クリス・モーガ ンの脚本は一体どうなっているのだろう。 それから、第3作では前作までのキャストは誰一人出演し ないということだが、第2作には日系女優のデヴォン青木が 出演していたもので、折角日本が舞台なら、彼女ぐらいは繋 ぎの意味で登場させてもいいと思うのだが、キャスティング はまだ未発表のようだ。 因にリン監督は、タッチストーンで“Annapolis”という 作品の監督を終えている他、ユニヴァーサルで進められてい る韓国映画『オールドボーイ』のリメイクの監督も担当して いるということだ。 * * 今回は第3作の話題が多いが、その最後はフランスから、 2002年製作の第2作『ミッション・クレオパトラ』が日本で も公開された人気コミックス“Asterix le Gaulois”の映画 シリーズ第3弾として、“Asterix aux Jeux Olympiques” (Asterix at the Olympic Games)の計画が発表された。 この計画については、2003年6月15日付第41回で紹介して いるように、前2作の国内での大ヒットを受けてフランスの パテ社が計画を発表していたものだが、実はこのとき用意さ れた映画化の脚本が原作の権利者の気に入らず、計画を放棄 せざるを得ない状況に陥っていた。 しかし、18カ月前に前2作を手掛けた前製作者クロード・ ベリの息子のトーマス・ラングマンが新たな計画を発案し、 これを権利者に諮ったところ映画化の許可が得られたという ことで、晴れて今回の発表となったものだ。これについてラ ングマンは、「長い道程だったが、今はもう過去のことだ」 と述懐していた。なお以前の計画は、原作の第14巻に基づく ものだったが、今回の計画は第12巻に基づくようだ。 撮影は来年3月に開始され、フランスでの公開は2007年の 初頭に予定されている。ただし前回の記事でも書いているよ うに、アステリックス役のジェラール・ドパルデューは再登 場するものの、オベリスク役のクリスチャン・クラヴィエは 降板の意志が固いようで、ラングマンは新しいオベリスク役 を捜すことになりそうだ。 また、第1作でロベルト・ベニーニ、第2作でモニカ・ベ ルッチが務めたゲストスターには、今回はアラン・ドロンと ジャン=クロード・ヴァンダムが予定されている。因にこの キャスティングも、権利者の気に入ったようだ。 製作費は米ドル換算で4000万ドルが予定され、これはシリ ーズ第1作の“Asterix and Obelix vs.Caesar”が記録した フランス映画製作費の最高額を更新するものになるそうだ。 ≪今回も情報が多いので、明日付で続きを掲載します≫
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