※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※ ※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※ ※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 今回はニュースが多いので早速始めることにしよう。 まずはシリーズの情報で、1998年公開の第1作で全米興行 1億ドルを突破、2001年の第2作では全米2億ドル、全世界 では3億ドル突破の大ヒットを記録したブレット・ラトナー 監督、クリス・タッカー、ジャッキー・チェンの共演による “Rush Hour”(ラッシュアワー)の第3弾が、順調に行け ば今秋からロサンゼルスとパリで撮影を行い、来年夏の公開 を目指すことが製作元のニューラインから発表された。 この計画は、『ラッシュアワー2』も手掛けた脚本家のジ ェフ・ネイザンスンが提案したアイデアにニューラインの首 脳陣が反応したもので、すでにラトナー監督とチェンも参加 を表明し、タッカーも乗り気になっているということだ。 因に、『フィフス・エレメント』や『ジャッキー・ブラウ ン』にも出演しているタッカーは、1998年以降は『ラッシュ アワー』以外ではスクリーンに登場していないが、これは彼 自身の出自であるスタンダップ・コメディアンの仕事が忙し いのと、友人のマイクル・ジャクスンの裁判の支援活動を行 っていること、それにビル・クリントン元大統領のアフリカ 訪問に同行するなど社会的な仕事が多いため、とのことだ。 しかし逆に言えば、これは良い仕事が来るまでじっくり待 てる体制が整っているということで、今回はその待っていた 仕事が、いよいよやって来たというところのようだ。 そして今回の情報では、並行してタッカーがニューライン と2本=4000万ドルの出演契約を結んだことも報じられてお り、その1本目が“Rush Hour 3”になる可能性は高いとい うものだ。また、もう1本には、やはりラトナー監督とのコ ラボレーションで、1997年公開の“Money Talks”(ランナ ウェイ)の続編を狙っているとの情報もある。 なお今回の契約では、タッカーは2000万ドル〜配給収入の 20%を得るということだが、さらにチェンに対しても2000万 ドルの契約が結ばれるということで、これはアジアスターで は初めての金額になるようだ。またラトナー監督にも750万 ドルの契約が結ばれるなど人件費の高騰で、総製作費は1億 ドル前後の作品になるということ。まあ、前2作のヒットの 具合を見ればそれも可能なものと言える。 ただしラトナー監督は、同時期にユニヴァーサルとの間で “Creature From the Black Lagoon”のリメイク計画も進め ているそうで、その辺の調整が先に必要になるようだ。そし てこの調整が完了し、タッカーの出演が正式に決まったら、 ネイザンスンが直ちに脚本の執筆に取り掛かることになって いる。なお、ネイザンスンは何時の間にか“Indiana Jones 4”の脚本にも起用されていたのだそうで、その執筆はすで に完了しているそうだ。 * * 続いて、前回はリメイクの情報をまとめて紹介したが、今 回はこれもリメイクと言えないこともないが、テレビシリー ズからの映画化の情報を3本紹介しよう。 まず1本目は“Baywatch”(ベイウォッチ)。 カリフォルニア沿岸のライフガードの活躍を描いた冒険シ リーズで、全米ネットでは1989−90年シーズンに1年間だけ NBCで放送されたものだが、その続きが独立局向けのシン ジケーション番組として10年以上も製作されたという作品。 その映画版の計画がドリームワークスで進められている。 オリジナルのシリーズは、デイヴィッド・ハッセルホフ扮 するミッチ・ブキャナンという主人公がほぼ一貫して登場す るもので、後年は舞台をハワイに移したりもしたが、1995− 97年シーズンには、砂とサーフィンと太陽に彩られた本編か ら独立して、“Baywatch Nights”という同じ主人公の夜の 冒険を描いたスピンオフシリーズ(ジャンルは探偵もの)が 作られるほどの人気番組だった。 そしてこのシリーズの映画化権は、昨年11月に各社争奪戦 の結果ドリームワークスが獲得したもので、7桁($)後半 と言われる契約金額は、2004年9月15日付第71回で紹介した ワーナーが進めている“Hawaii Five-O”と並んで、テレビ シリーズの契約金では最高額とも言われているものだ。 また、今回はその脚本に、『招かれざる客』のリメイク版 “Guess Who”で全米公開第1週にNo.1ヒットを記録し、す でに6000万ドル以上を稼ぎ出しているジェイ・シェリック、 デイヴィッド・ロンのコンビの起用も発表されている。 ジャンル的には、アクションアドヴェンチャー、若しくは 探偵ものということで、脚本自体はそこそこの実力があれば 誰にでも書けそうなもの。後は脚本家のセンスが問われるこ とになりそうだ。ただし、今回の映画版の製作に関しては、 オリジナルの出演者たちの動向が不明で、果たしてテレビの 人気ものたちが揃って出演してくれるものか否か、特に、シ リーズの後半では製作総指揮も務めたハッセルホフの登場が ヒットの鍵となりそうだ。 * * お次は“The Equalizer”(ザ・シークレットハンター)。 1985−89年シーズンにCBSで放送されたマンハッタンを 舞台にした探偵もので、元シークレットサーヴィスの主人公 が地元新聞に出す‘Got a problem? Call the Equalizer’ の広告に応募した人々の悩みを解決するというお話。オリジ ナルの主人公を、今年3月15日付の第83回で紹介した“The Wicker Man”のオリジナル版に主演の英国人俳優エドワード ・ウッドワードが演じていた。 そしてこのシリーズの映画版を、『サハラ』が公開された ばかりのクライヴ・カッスラー原作ダーク・ピットシリーズ や、トム・クランシー原作ジャック・ライアンシリーズなど を手掛けるメース・ニューフェルドの製作で進めるもので、 オリジナルシリーズの製作者のマイクル・ソローンも製作総 指揮として参加することになっている。 なお計画は、最初にソローンがニューフェルドに持ちかけ たもののようだが、ニューフェルドはまず脚本家と俳優を決 めた上で配給会社の決定を行うとしており、シリーズ得意の ニューフェルドの企画には、各社の争奪戦が起きそうだ。 * * そしてもう1本テレビシリーズの映画化は、アメリカでは 1973−77年シーズンに放送された“Land of the Lost”とい う作品の計画が、ユニヴァーサルで進められている。 この作品は、“H.R.Pufnstuf”(怪獣島)などで知られる シド&マーティ・クロフトの製作による子供向けのシリーズ で、実は本作が日本で放送されたかどうか判らなかったのだ が、お話は、森林レンジャーの主人公が2人の子供と一緒に 時空の裂け目に落ち込んで恐竜が跋扈する時代に行ってしま うというもの。この世界からの脱出の道を探るというのが主 テーマになるが、何故か主人公たちに敵対する役柄で、後に 007シリーズでのジョーズ役が話題となるリチャード・キ ールがレギュラー出演していた。 またシリーズの脚本には、“Star Trek”を手掛けたD・ C・フォンタナやデイヴィッド・ジェロルド、さらにチェコ フ役の俳優ウォルター・コーニッグ、SF作家のラリー・ニ ーヴン、セオドア・スタージョン、ベン・ボーバらも参加し ていたというものだ。放送は3シーズン44話行われている。 そして今回の計画では、この夏“Bewitched”(奥様は魔 女)の映画版の公開が予定されているウィル・フェレルの主 演で進めることが発表され、クリス・ヘンシーとデニス・マ クニコラスの脚本から、フェレルとは“Anchorman”で組ん だばかりのアダム・マッケイの監督が予定されている。また 製作はクロフト兄弟が行うということだ。 因にクロフト兄弟は、18世紀から続くアテネの人形劇団の 後継者だそうで、伝統の人形芸が登場するヴァラエティ番組 などを数多く製作しており、その中には“Donny and Marie Series”“Jimmy Osmond Special”“Pink Lady”という番 組も含まれていたようだ。また、番組は1991年にティモシー ・ボトムズの主演でリメイクが行われており、このリメイク 版は『恐竜王国』の題名で日本にも紹介されている。 * * テレビシリーズに続いては、ヴィデオゲームからの映画化 の情報を2本紹介しよう。 まずは、コナミから発売されている“Silent Hill”の映 画版の撮影が、4月下旬にカナダのトロントで開始された。 この計画については、昨年11月15日の第75回でも紹介して いるが、前回は未定だったキャスティングで、主人公となる 母親役に『ネバーランド』でジェイムズ・バリの妻メアリー を演じたラダ・ミッチェル、娘役を2004年5月15日の第63回 で紹介したテリー・ギリアム監督作品“Tideland”に主演の ジョデル・ファランドが演じている他、ショーン・ビーン、 ローリー・ホールデン、デボラ・カーラ・アンガー、キム・ コーツ、タニア・アレンらが共演している。 またスタッフでは、『ジェヴォーダンの獣』のクリストフ ・ガンズが監督することは前回紹介したが、実は今回の企画 については、最初にガンズがどのように映画化したいかを示 した30分のヴィデオテープを製作し、これを、『ジェヴォー ダン…』も製作したサミュエル・ハディダが権利を保有する コナミに見せて映画化権の交渉を行ったということだ。そし て、最終的にハディダ主宰のデイヴィス・フィルムスとコナ ミの共同製作で行うことになったものだが、このエピソード を読むと、ガンズにはかなり気合いが入っているようだ。 さらに製作には、『ジェヴォーダン…』の撮影を担当した ダン・ローストセン、編集のデイヴィッド・ウー、セバスチ ャン・プランゲーレが再びチームを組む他、衣装デザインを 『ヘルボーイ』のウェンディ・パートリッジ、プロダクショ ンデザインを『リーグ・オブ・レジェンド』のキャロル・ス ピア、クリーチャーデザインを『アンダーワールド』のパト リック・タトポウロスらがそれぞれ担当している。 製作費には4500−5000万ドルが計上され、この金額はハデ ィダ製作の今年の作品では、2004年8月15日の第69回で紹介 したトニー・スコット監督、キーラ・ナイトレイ主演による “Domino”に次ぐものになるということだ。 なお配給に関しては、前回に記事ではハディダが直轄する ヨーロッパ以外はフォーカスが扱うとなっていたが、その後 にアメリカ配給は、ソニー傘下で再興されたトライスターが 担当することになったようだ。因にハディダ製作の『バイオ ハザード』は、同じソニー傘下のジャンル・ブランド=スク リーン・ジェムズが配給しているが、今回はトライスターで 配給する意味は何なのだろうか。 * * ヴィデオゲーム映画化の話題は、もう1本も続報で、この ページでは2002年8月15日の第21回以来、再三再四紹介して いるドウェイン“ザ・ロック”ジョンスン主演による“Spy Hunter”の計画に、またまた脚本家の名前が発表された。 この計画の脚本家では、2003年10月15日の第49回で『ワイ ルド・スピード2』のマイクル・バンディットとデレク・ハ ース、2004年1月15日の第55回では『フレディvsジェイソ ン』のマーク・スウィフトとダミアン・シャノンの名前を紹 介したが、今回はさらに、『コラテラル』の脚本や、『パイ レーツ・オブ・カリビアン』のストーリーを担当したスチュ アート・ビーティの起用が発表されている。 オリジナルは、ミッドウェイ社が1980年代に発表したアー ケイドゲームで、その後にPS2やXboxにも移植された ようだが、いろいろな設定は言われているものの基本は単純 なシューティングゲーム、それを長編映画にするにはかなり の創作能力が要求されるものだ。特に今回は、ユニヴァーサ ルが物語性よりもゲーム感覚を基調にしたものを期待してい るという説もあり、その辺でも難しいところはありそうだ。 監督は、2004年5月1日の第62回で紹介したジョン・ウー の担当は変っていないようで、現在は2006年夏のテントポー ルを目指した準備が進められている。早撮りが得意のウー監 督なら、プロダクションデザインなどの準備がちゃんと行わ れていれば、まだ遅すぎるということはないと思うが、そろ そろ脚本を完成して、計画通りの公開を願いたいものだ。 * * 後は新しい話題を紹介しよう。 前回も“Goya's Ghosts”を紹介したナタリー・ポートマ ンに、またまた新しい計画が発表されている。 今回の計画は、“Mr.Magorium's Wonder Emporium”と題 されているもので、マーク『ネバーランド』フォースター監 督の新作コメディ“Stranger Than Fiction”(ウィル・フ ェレル、ジェイク・ギレンホール共演)などを手掛けた脚本 家のザック・ヘルムが、自作のオリジナル脚本を監督する作 品。元ミラマックスの所属で『ネバーランド』も手掛けたリ チャード・グラッドスタインが製作を担当している。 内容は、1988年の“Big”(ビッグ)と“Willy Wonka and the Chocolate Factory”を合わせたようなファンタシーと いうことで、ポートマンが演じるのは、ちょっとエキセント リックなオーナーが経営する玩具店のマネージャー。そのオ ーナーの健康状態が危険になり、オーナーはマネージャーに 店を譲ろうとするが…という物語だそうだ。引き合いに出さ れている作品は、どちらも子供の心を持った大人の話だが、 ポートマンはこれをどのように演じてくれるのだろうか。 ただ、上記の発言は脚本家=監督のものだと思われるが、 わざわざ“Charlie”ではなく、“Willy Wonka”と言ってい る辺りがちょっと気になるところだ。 なおポートマンのスケジュールでは、日本はオスカー候補 になった『クローサー』の公開がこれからだが、アメリカで は5月19日に“Star Wars: Episorde III−Revenge of the Sith”が公開される。また現在は“V for Vendetta”の撮影 中で、秋から前回報告の“Goya's Ghosts”の撮影が開始さ れ、今回の作品はその後に撮影の予定になっている。 因に、今回の作品に関連した報道で、“Goya's Ghosts” を撮影中とする記事があったがそれは誤り。さらに、撮影中 の“V for Vendetta”では、新たにタイトルロールのV役で ウーゴ・ウェイヴィングの出演も報道されている。 * * ウェス・クレイヴン監督が、インディーズ系のゴールド・ サークル・フィルムスと組んで“The Waiting”というホラ ー作品の製作を計画している。 この計画は、1968年の『ローズマリーの赤ちゃん』や、ニ コラス・ローグ監督がダフネ・デュ=モーリア原作を映画化 した1973年の“Don't Look Now”のような大人向けホラーの 復権を目指すとするもので、本作は、死亡した我が子の霊に 憑り付かれたと信じている女性を主人公にした物語。今年の 2月4日に全米公開された“Boogeyman”が4000万ドル超え のスマッシュヒットとなったジュリエット・スノーデンとス タイルス・ホワイトの脚本を映画化する。 なお今回の計画では、クレイヴンは製作総指揮のみ担当し て監督はしないようだが、ティーンズホラー全盛の時代に、 この動きはちょっと注目したいところだ。 因に、クレイヴンの作品では、2004年9月15日の第71回で 紹介したドリームワークス製作による監督作品“Red Eye” (キリアン・マーフィ、レイチェル・マクアダムス共演)は すでに製作が完了しているようだ。また、1977年の監督作品 “The Hills Have Eyes”(サランドラ)のリメイクがフォ ックス・サーチライトで計画され、こちらはアレックス・ア ジャ、グレゴリー・ラヴァサールの共同監督で進められるこ とになっている。 * * 『シャーク・テイル』に続いて、“Madagascar”がこの夏 公開されるドリームワークス・アニメーションの新計画で、 “Bee Movie”という作品を2007年11月2日に公開する計画 が発表された。 この作品は、テレビの『となりのサインフェルド』などの 人気俳優ジェリー・サインフェルドが2003年12月頃から企画 していたもので、サインフェルドが声優を担当するバリー・ B・ベンソンという名前の蜜蜂が、カレッジは卒業したもの の蜂蜜採集だけの人生に幻滅し、ふと訪れたニューヨークの 街角で花屋の女性に巡り会う。そして人間との交流が始まる が、ある日、彼は自分たちの集めている蜂蜜が人間によって 搾取されていることに気付いて…というお話。 この花屋の女性の声を、『シャーク…』でもヒロインの声 を演じたばかりのルネ・ゼルウィガーが担当し、他にユマ・ サーマン、キャシー・ベイツ、アラン・アーキン、ウィリア ム・H・メイシー、ロバート・デュヴォールらが声の共演。 さらに“The Producers”の評判が高いマシュー・ブロデリ ックにも声優の交渉がされているとのことだ。 いや正直、雄蜂が蜜を集めるというのは、ちょっと???な 設定だが、それを別にすればこれだけのメムバーの声の共演 は楽しみなことだ。またこれだけのオールスター・キャスト が揃う背景には、最近のハリウッドのアニメーションブーム が挙げられているが、実はハリウッド式のアニメーション製 作では、声優は事前に台詞を録音し、それに合わせてアニメ ーションを製作するもので、これなら声優の負担も少なく、 今後のCGIアニメーション量産体制の中で、この傾向はま すます高まりそうだ。 脚本は、サインフェルドとバリー・メイダー、スパイク・ フェラステン、アンディ・ロビンの4人が共同で担当し、監 督は、“The Prince of Egypt”のスティーヴ・ヒックナー と、“Shrek 4”の監督にも予定されているサイモン・J・ スミス。スミスは本作がデビュー作で、ここでの共同監督は 次の大作への足慣らしとなりそうだ。また、製作は『ナショ ナル・トレジャー』も手掛けたクリスティナ・スタインバー グが担当している。 因に、ドリームワークス・アニメーションからは、今年は “Madagascar”に続いて10月7日に“The Wallace & Gromit Movie”が公開され、2006年は5月19日“Over the Hedge” (主人公アライグマ、声ブルース・ウィリス)と、11月3日 に“Flushed Away”(主人公ネズミ、声ケイト・ウィンスレ ット、ヒュー・ジャックマン)、そして2007年には5月18日 “Shrek 3”が公開された後に本作となり、年2作のペース で公開が続く。なお、2007年には3月15日の第83回で紹介し た“Puss in Boots”のDVD発売も予定されている。さら にカンヌ映画祭でもう1本発表があったようだが、それは次 回紹介する。 一方、2007年には、昨年9月1日の第70回に紹介のソニー ・アニメーション第2弾“Surf's Up”が6月22日に公開さ れる他、ディズニーと袂を分かったピクサーからは、題名等 は未発表だが独立後の第1作の公開も予定されており、アニ メーションの戦国時代はますます激しくなりそうだ。
《今回は情報が多いので、明日付で続きを掲載します》
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