※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※ ※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※ ※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『マトリックス』シリーズ完結に続いて、『コンスタンテ ィン』が公開されたばかりのキアヌ・リーヴスの次回作に、 またまたVFX満載の映画の計画が発表された。 発表された作品の題名は“The 8th Voyage of Sinbad”。 この題名でおやと思われた方もいると思うが、伝説的な特撮 マン=レイ・ハリーハスゼンが手掛けたシンバッド・シリー ズの最新作が、往年のシリーズを配給してきたコロムビア映 画(ソニー・ピクチャーズ)で計画され、その主演にリーヴ スの起用が発表されたものだ。 しかもこの新作の監督を、『XxX』や『ワイルド・スピ ード』、そして今夏には『スティルス』が公開されるロブ・ コーエンが担当することも発表されている。上記の作品では メカマニアを唸らせたコーエン監督が、アラビアンナイトの 世界でどのような物語を描き出すかも楽しみだ。 因にこの計画については、2002年1月1日付の第6回でも 一度紹介しているが、当時の発表では、監督をジョン・シン グルトンが担当することになっていた。しかしその計画は実 現しなかったもので、新たにVFXアクションには手慣れた コーエン監督で計画の練直しが進められているようだ。 脚本は、3年前の報告と同じ『T3』のオリジナルを手掛 けたテディ・サラフィアンの脚本からとなっているが、今回 はこれをチャーリー・ミッチェルという人がリライトしてい るということだ。また、サラフィアンの脚本に対してはコー マック&マリアンヌ・ウィバリーという共同執筆者の名前も 上がっていた。 物語は、紀元8世紀の中国を舞台に、シンバッドと彼の船 の仲間たちがアラジンの魔法のランプを捜すというもので、 そこには美しい女皇帝や超自然のパワーを操る黒幕の将軍、 さらに摩訶不思議な怪物たちとの闘いも描かれるとある。 そしてこの怪物たちは、現代では当然CGIで描かれるこ とになるものだが、この視覚効果は、先日のアカデミー賞で オスカーを受賞した『スパイダーマン2』のジョン・ダイク ストラ率いるソニー・イメージワークスが担当することにな るようだ。ハリーハウゼン特撮が持つ独特の雰囲気を、彼ら がどこまで再現するかにも注目したい。 なお、以前のシリーズでは、第1作のシンバッド役はケヴ ィン・マシューズ、第2作はジョン・フィリップ・ロー、第 3作はパトリック・ウェインがそれぞれ演じていたもので、 リーヴスは第4作にして4代目となる。ただし、今回の題名 の“The 8th Voyage of Sinbad”は、第1作“The Seventh Voyage of Sinbad”から取られたものと考えられ、ここから 新たなシリーズの開幕となるのだろうか。 * * 昨年度、全米興行No.1の大ヒットを記録した『シュレック 2』に続いて“Shrek 3”、さらに“Shrek 4”の計画が正式 に発表された。 これらの計画に関しては、『シュレック2』のプロモーシ ョンで来日したドリームワークスのジェフリー・カツェンバ ーグが公表していたものだが、2007年5月に全米公開予定の “Shrek 3”については、すでにマイク・マイヤーズ、エデ ィ・マーフィ、キャメロン・ディアス、それに『シュレック 2』から登場したアントニオ・バンデラスらの声の再登場も 決まって、プレプロダクションが開始されているようだ。 それに続いて今回は、“Shrek 4”の計画が報告されたも ので、報告では、脚本に1995年に公開された『赤ちゃんバン ザイ?!』の脚本監督でも知られるティム・サリヴァンの起用 が発表されている。以前のカツェンバーグの発言では、シリ ーズの全体は4部作になるということで、従ってサリヴァン の脚本が最終話ということになるが、一体どのような展開に なるのだろうか。 因にサリヴァンは、ケンブリッジ大卒で、弁護士の資格を 持ちながらスタンダップコメディアンとしてロンドンの舞台 に立ち、そこからイギリス映画界に進出した人物。またイギ リス映画時代のサリヴァンは、主に古典文学の脚色を手掛け ていたようだが、1995年に自作のオリジナル脚本を監督した 上記の作品が高い評価を受けた上に興行的にもヒットし、そ の成功でハリウッドに招かれたということだ。ハリウッドで はすでにニューライン作品などの脚本や、パラマウントでは 自作を監督する予定もあるそうだ。 多分、物語はドリームワークス側が用意したものを、サリ ヴァンが脚色するということになるのだろうが、本シリーズ は、元々が古典的な妖精物語をベースにマイヤーズやマーフ ィらのコメディのノリをミックスした作品で、これに古典文 学を脚色してきたという実績や、スタンダップコメディアン だったという経歴が最大限に発揮されることを期待したい。 一方、シリーズの関連では、『シュレック2』でバンデラ スが演じた「長靴をはいた猫」を主人公にしたスピンオフの 計画も報告されている。“Puss in Boots”と題されたこの 作品では、デイヴィッド・H・スタインバーグという人が脚 本を担当、バンデラスの声の出演も決定しているようだが、 公開に関しては劇場にするか、直接DVD売りになるか未定 のようだ。 * * 久しぶりに競作の話題で、パキスタンでの取材中に誘拐さ れ、殺害された元ウォール・ストリート・ジャーナル記者ダ ニエル・パールについて描いた作品が2本計画されている。 その1本目は、記者の未亡人マリアンヌ・パールが発表し た回想録“A Mighty Heart: The Brave Life and Death of My Husband Danny Pearl”を映画化するもので、この計画は 2003年にワーナーが映画化権を獲得して、当時の計画ではブ ラッド・ピットらのプランBが、ジェニファー・アニストン の未亡人役で製作を進めることになっていた。 これに対して今回発表された2本目は、フランス人ジャー ナリストのベルナルド=アンリ・レヴィが、現地調査を敢行 して発表した英題名“Who Killed Daniel Pearl?”という書 籍に基づくもの。この本の中では、パール記者がパキスタン の諜報機関とアルカイダの関係を暴く証拠を掴んだために殺 されたという筋書きになっているとのことだ。 そしてこの作品の映画化権をビーコン・ピクチャーズが獲 得し、エド・ズウィックの監督で映画化する計画が発表され ている。因にビーコン社では、レヴィの本が英訳される前に 映画化権を押さえたそうだ。 ただし今回の2つの計画では、前者は未亡人によるパール 記者本人の人物像に迫ったもののようだし、後者は事件その ものを検証した作品のようで、作品のテーマには違いが見ら れる。従って、競作とは言っても内容は全く違ったものにな りそうだ。これは逆に言うと、これらの企画を合体すること も可能なようにも思えるもので、また、後者の監督に予定さ れているズイックは、『ラスト・サムライ』などワーナーと の関係も浅くないものがある。ということで、ここは何とか 競作回避という線も考えてもらいたいところだ。 競作というのは、最近の『アレキサンダー』の例を見るま でもなく、なかなか両方が上手く行くということがないもの だが、今回はどうなるだろうか? * * ところで、ジェニファー・アニストンとプランBの関係で は、現在メリル・ストリープとの共演で“Wanted”という作 品がワーナー傘下で進められている。 この作品は、元潜入捜査官のキム・ウォゼンクラフトによ る原作小説を映画化するもので、アニストン扮する女性警官 が陥れられて刑務所に収監される。しかしそこでストリープ 扮する囚人と同房になり、刑務所内に横行する暴力から逃れ るために2人で脱獄計画を練る、というお話。これを“The Longest Yard”のリメイクなどを手掛けるシェルドン・ター ナーが脚色したものだ。 ただし監督は未定とされていて、この作品の製作が何時に なるかは不明だが、この計画自体は今年3月になってから発 表されたもので、現状で前の記事の競作作品をアニストンと プランBで進めることに問題はないようだ。 * * 3月3日に撮影開始されたばかりのブライアン・シンガー 監督“Superman”に関連して、撮影の行われているオースト ラリア・ニューサウスウェールズ(NSW)州の州政府関係 者から、早くもその続編を期待する発言が飛び出した。 もちろんこの続編の計画は、まだワーナーからのGoサイン も出ていないものだが、実は、過去にNSW州で撮影された 『マトリックス』の2本の続編では、1億6000万ドル以上の 経済効果をもたらしたということで、ハリウッド映画の大作 には一地方政府に期待を抱かせるだけのものはあるようだ。 因に、“Superman”の撮影に関しては、当初は同国クィー ンズランド州のWBムーヴィランドの隣地に恒久的なセット を建設して、撮影終了後はアトラクションとして利用する考 えもあったようだ。しかしそれでも経費が掛り過ぎるという ことでその計画はキャンセルされ、替って当地のフォックス スタジオにある2つのサウンドステージと、その間の敷地を 使って巨大なゴッサムシティのセットが建設されたものだ。 そして、そのセットを使って撮影が行われている訳だが、 NSW州の関係者は、「我々はこの作品の製作に対して全面 的な協力を行っているし、続編が作られる際にも、その体制 は変わらない」と語っている。 なお、続編に関しては一応準備は開始されているようで、 実はクラーク・ケントが幼年時代を過ごしたニュー・イング ランドの風景を求めて、ロケーションハンティングも行われ ている。そしてその候補地としてもNSW州の田園地帯が検 討されているようだ。ここまで来れば続編の撮影もかなり有 力と言えそうだが…因に今回の記事では、この続編の題名が “Red Sun”になるとも報告されていた。 * * ロビン・ウィリアムスが久しぶりに本格コメディに主演す る計画で、“RV”というその作品の監督を『MiB』などの バリー・ソネンフェルドが担当することが発表された。 今回の作品は、『チャーリーと14人のキッズ』のジェオフ ・ロドキーのオリジナル脚本から、ローウェル・ガンツ、バ バルー・マンデルのベテランコンビがリライトしたもので、 物語は、最新式のRV車をレンタルしてコロラド州ロッキー 山中のキャンプ場を目指した一家が、その道中やキャンプ場 の近所付き合いなどで様々なトラヴルに見舞われるというも の。そしてこの一家の父親をウィリアムスが演じるものだ。 因にウィリアムスの主演作では、近年にもジャンル分けが コメディとなっているものはあるが、いずれも犯罪が絡むな どダークな色合いもので、本作のような本格的なコメディは 1997年の『フラバー』以来となるようだ。 * * 『キル・ビル vol.2』から1年、鳴りを潜めていたクェン ティン・タランティーノ監督の次回作に、『13日の金曜日』 の続編の可能性が高まってきた。 この計画は、2003年公開の『フレディーVSジェイソン』が 全米で8200万ドルという予想を超えるスマッシュヒットとな ったことを受けて、製作元のニューラインが進めているもの で、従来は低予算で製作されて来たシリーズの新作に、同社 では最大規模の製作体制を取ることを決めたようだ。そして 一応の題名は“The Ultimate Jason Vorhees Movie”と名付 けられている新作では、タランティーノは脚本と監督も担当 することになっている。 誕生25周年を迎える元祖スプラッターホラー・シリーズの 新作に、『パルプ・フィクション』でオスカー脚本賞を受賞 したタランティーノがどのような新風を吹き込んでくれるこ とか、楽しみだ。因に報告では、「タランティーノは、古典 的なホラー映画シリーズで楽しむための陰謀を企てている」 と紹介されていた。 * * またまたゲーム業界から映画への参入で、『リディック』 のゲーム版の脚本と製作などを手掛けたフリント・ディルと ジョン・ズーアのチームが、ディメンションと映画製作に関 する2年間の優先契約を結んだことが発表された。 彼らはすでにディメンションとの間で、“Backwater”と いうオリジナルゲームの契約を結んでいるが、この脚本をさ らに映画に発展させることが検討され、彼らの製作総指揮に よる映画製作が進められているということだ。そして今後は これをモデルケースとして、彼らが執筆する脚本を、ゲーム と映画の両方で製作する契約を結ぶことになったものだ。 なお、彼らが手掛けた『リディック』のゲーム版は、昨年 度の映画原作ゲームのベスト作品に選ばれているそうだ。ま た彼らは、ディメンション作品でロベルト・ロドリゲス監督 のDGA脱退につながった映画“Sin City”のゲーム版や、 ワーナー作品の『コンスタンティン』のゲーム版の製作など にも関わっている。 因に、ディメンションの親会社となるミラマックスは、創 始者ボブ&ハーヴェイ・ワインスタイン兄弟のディズニーと の決別に揺れているが、兄弟は決別後にミラマックスから離 脱した後も、ディメンションの名前は自分たちのものにする 方針ということで、今回の契約もその新生ディメンションと 結ばれたものになるようだ。 * * 今夏の大作“War of the World”(宇宙戦争)をパラマウ ントと共同製作しているドリームワークスが、同作の脚色を 手掛けたデイヴィッド・コープの新企画に対し、ユニヴァー サルと共同で200万ドルの契約を結んだことが発表された。 この作品は、“Ghost Town”という題名のみ紹介されてい て詳しい内容は明らかにされていないが、ジャンルはロマン ティックコメディということだ。そしてコープは、監督も手 掛けることになっている。また脚本は、コープとジョン・カ ムプスが執筆することになっているが、その執筆は“War of the World”の撮影が完了し次第開始されるということで、 多分そろそろ着手されているというところだろう。 因に、企画段階での200万ドルという金額は、ハリウッド でもかなり高額のようだが、『ジュラシック・パーク』『ミ ッション・インポッシブル』『スパイダーマン』と続くコー プの作品歴では当然と考えられているようだ。 一方、コープが監督を手掛けるのは、昨年公開の『シーク レット・ウィンドウ』に続くことになるが、スティーヴン・ キングの原作を脚色した前作に対して、今回はオリジナルの アイデア。また、どちらかというとアクション中心の作品で 実績のあるコープが、どのようにロマンティクな、しかもコ メディを見せてくれるかにも興味を引かれるところだ。 なお、コープとカムプスは、『ジュマンジ』の続編と称さ れるクリス・ヴァン・オールズバーグ原作“Zathura”の脚 色も担当している。 * * 2002年4月15日付の第13回で紹介した“The Wicker Man” のリメイクが、以前の情報通り、ニコラス・ケイジの主演、 ニール・ラビュートの監督で実現されることになった。 この作品は、以前にも紹介したように、1973年にエドワー ド・ウッドワードとクリストファー・リーの共演で映画化さ れたオリジナルをリメイクするもので、イギリス製作のオリ ジナルでは、若い女性ばかりの連続失踪事件を追う刑事が、 スコットランド西海岸の小さな島で、謎めいたコミュニティ ーの秘密に迫るというもの。 そしてリメイク版では、舞台を現代のメイン州に移すとい うことで、撮影は7月15日からカナダのヴァンクーヴァーで 行われることになっている。なお以前の紹介では、舞台はア メリカ西海岸となっていたが、情報が間違っていたようだ。 まあオカルト的な話は、西海岸でもできないことはないが、 やはり東海岸の方が雰囲気がある。 ただしこの計画、多分ケイジの刑事役で製作されることに なるのだろうが、ケイジの風貌はどちらかというとリーの方 に通じるところがあり、ちょっと考えてしまうところだ。 製作はミレニアム、また共同製作でランダル・エメット、 ジョージ・ファーラのエメット/ファーラが参加することに なっている。 * * そしてもう1本、ミレニアム=エメット/ファーラの計画 では、ブルース・ウィリス主演、リチャード・ドナー監督に よる“16 Blocks”という計画も進められている。 この作品は、リチャード・ウェンクが執筆した脚本を映画 化するもので、内容は、年配の警官が近くにある裁判所まで の犯罪目撃者の移動を警護するというもの。多分ウィリスが 年配の警官を演じ、題名通り16ブロックを移動するというこ とのようだが、ここに飛んでもない冒険が待ち受けていると いうお話だそうだ。 この作品が、ドナー監督で、この夏にニューヨークで撮影 されることになっている。因にドナーは、2003年にマイクル ・クライトン原作を映画化した『タイムライン』以来の監督 作品になる。 この他、ミレニアム=エメット/ファーラでは、すでにブ ライアン・デ=パルマ監督、ジョッシュ・ハートネット、ヒ ラリー・スワンク、スカーレット・ヨハンセン共演で、ジェ ームズ・エルロイの原作を映画化する“The Black Dahlia” と、ジョン・トラヴォルタ、ジェームズ・ガンドルフィーニ 共演の“Loney Hearts”がプレプロダクションの状態にある ようだ。 * * 『アレキサンダー』の評価は今一つだったようだが、今度 はロシアから、アレキサンダー以上の帝国築いた蒙古人ジン ギス=カンの生涯を映画化する計画が発表された。 この作品は、1996年にトルストイ原作による『コーカサス の虜』を発表したセルゲイ・ボドロフ監督が、同作でも組ん だ脚本家のアリフ・アリエフと共に進めているもので、ロシ ア人のセルゲイ・セリアノフが製作を担当、香港人で『グリ ーン・デスティニー』や『HERO』を手掛けたフィリップ ・ローがこれをバックアップしている。 英語題名は“Mongol, Part 1”とされているもので、この Part 1というのが何の意味なのかは判らないが、撮影は6月 にカザフスタンで開始されるということだ。そしてこの作品 では、若き日のジンギス=カンを“Coach Carter”のチャニ ング・テータムが演じ、その兄弟役で浅野忠信の共演も発表 されている。 なお撮影は、ロシア語、モンゴル語、広東語、カザフ語、 そしてタタール語で行われるということだ。また撮影の技術 的なサポートは、ヨーロッパの技術者たちによって行われる ことになっている。 最終的には、ヨーロッパのかなり奥まで版図を広げたジン ギス=カンだが、当時と変らぬ自然が残るといわれるカザフ 高原で、一体どのようなスケールの物語が作り出されるか、 ボドロフ監督の手腕に期待したい。
|