※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※ ※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※ ※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 今回はリメイク(?)の話題から。 1968年に故スティーヴ・マックィーンが演じたタフガイ刑 事“Bullitt”(ブリット)を、『トロイ』のウルフガング ・ペーターゼン監督で復活させる計画が、ワーナーから発表 された。 オリジナルは、ロバート・L・パイク(『殺人同盟』シリ ーズなどのロバート・L・フィッシュの別名)原作の“Mute Witness”という小説を、ピーター・イェーツ監督で映画化 したものだが、今回の計画では、フランク・ブリットのキャ ラクターは登場するものの、物語は原作に拠らないというこ とで、ペーターゼンも、「これはリメイクではなく、偉大な キャラクターの復活だ」としている。 そして、その現代化させた脚本は、ワーナーでジョール・ シルヴァ製作の“The Brave One”などを手掛けるシンシア ・モートが執筆する。 因に、オリジナルでは、サンフランシスコを舞台に、坂道 をジャンプしながら疾走するカーチェイスのダイナミックな 描写が話題となったものだが、今回の計画でそれは復活する のかどうか。ペーターゼンなら、まずそこを再現しそうな感 じだが…、期待したいところだ。 キャスティングは未定。ただし本作では、オリジナルの権 利の一部を故人が所有していたということで、共同製作には 遺児のチャド・マックィーンが参加している。俳優だったこ ともあるチャドは、現在は40代半ばくらいのはずだが、父親 の跡目を継いで彼自身の復活ということはあるのだろうか。 * * 「偉大なキャラクターの復活」ということではこれもワー ナーから、前々回、前回も報告した“Superman”の続報で、 まだ会社側からの正式な製作発表はないが、実務を担当する 製作者との交渉が始まったという報告が届いている。 この計画では、元々は初期の『バットマン』の映画化を手 掛けたジョン・ピータースが製作を担当していたものだが、 1998年にティム・バートン監督、ニコラス・ケイジ主演でス タートした復活劇は頓挫。その後昨年には、ブレット・ラト ナー監督で進めようとした計画も、ピータースとラトナーの 意見対立でご破算となっていた ということで、ワーナー側もこのままピータースには任せ ておけないということになったのか、新たに別の製作者を据 えることになったようだ。 そこで交渉されているのが、『ワイルド・スピード』や、 『XXX』、それに『SWAT』などを手掛けるニール・モ リッツと、『ゴーストシップ』や、新作の“Constantine” “Starsky & Hutch”などのギルバート・アドラー。彼らを 製作者に起用して、J.J.アダムス脚本、McG監督によ る計画を一気に進めたい意向のようだ。 ただし、ここで1つ問題があって、実はモリッツは、現在 もオーストラリアでロブ・コーエン監督の新作“Stealth” (2003年1月15日付第31回に“Warrior”として紹介)を製 作中だが、今年の初めに同作を配給するソニー=コロムビア と映画製作に関する優先契約を結んだばかりなのだ。 従って、前回ジョン・ウー監督とパラマウントの関係でも 述べたように、今回のワーナーの計画に参加するためには、 コロムビア側の了解が必要になるということ。しかしモリッ ツはすでに“Stealth”の製作も進めているということで、 この点は何とかなるのではないかという観測のようだが…。 そしてこのモリッツの起用では、すごい噂が飛び出してき ている。それは彼が、今回登場する敵レックス・ルーサー役 に、ヴィン・ディーゼルの出演を考えているというものだ。 このルーサー役には、当初はジョニー・デップが交渉され、 そのデップがジョー・エル役を希望していたことは前々回紹 介したが、それに代わるルーサー役としてディーゼルの出演 があるかも知れないということだ。 因に、今回予定されている物語では、ルーサーと共にクリ プトン星から飛来する謎の殺人者が、スーパーマンの直接対 決する相手となるようで、この展開ならジョー・エルもルー サーも、出番はそれほど多くなさそうだ。ということで、こ の豪華共演も何とか実現してもらいたいものだ。 また、前回報告した主役のスクリーンテストでは、他に、 “Roswell”のジェイスン・ベア、“New York Minute”のジ ェアード・パダレッキー、さらにマイクル・キャシディらが 参加していたということで、これで前回報告と合わせて判明 は5人。実際は6人が参加していたということだが、彼らの 中から、一体誰が選ばれることになるのだろうか。 順調に行けば、年内にもオーストラリアで撮影開始という ことで、すでに同地でのロケーションハンティングも開始さ れたようだ。 * * 後2つリメイクの続報で、 まずは同じくワーナーから、すでに撮影の開始されたティ ム・バートン監督、ジョニー・デップ主演の“Charlie and the Chocolate Factory”に出演する子供たちの配役が発表 されている。 その配役では、まずタイトルロールのチャーリーに、昨日 付の映画紹介でも報告した『トゥー・ブラザース』などのフ レディ・ハイモア。12歳の彼は、“Finding Neverland”で もバリー役のデップと共演しているので、相当に気に入られ ての主役抜擢ということだろう。 そして、どんなコンテストにも優勝しないと気が済まない ヴァイオレット・ビュールガード役には、ウェイン・ウォン 監督の新作“Winn-Dixie”にも出演しているアナソフィア・ ロブ。彼女とハイモアで、子供たちの演技を引っ張っていく ことになりそうだ。 以下は新人で、食いしん坊のアウグスタス・グループ役は フィリップ・ウェイグラッツ、テレビ狂のマイク・ティーヴ ィー役はジョーダン・フライ、大金持ちの娘ヴェルーカ・ソ ルト役はジュリア・ウィンターが演じることになっている。 また、チャーリーと行動を共にするジョー爺さん役には、 デイヴィッド・ケリーの出演も発表されている。 撮影は6月21日にロンドンで開始されたが、さらにこの映 画製作には、世界的なチョコレートメーカーのネスレが全面 協力するということで、来年7月15日に予定されている全米 公開時には、相当のキャンペーンが展開されることになりそ うだ。なおネスレでは、原作に因んだウィリー・ウァンカの チョコレート工場というのも所有しているそうだ。 * * もう1つはパラマウントの計画で、前々回紹介したジョー ジ・A・ロメロ原作“The Crazies”のリメイク脚本に、先 に公開された“The Texas Chainsaw Massacre”のリメイク も担当したスコット・コーザーの起用が発表された。 コーザーはこの他にも、MGM/ディメンションの共同製 作で進められている“The Amityville Horror”も担当して おり、ホラー映画のリメイクでは、いきなりスペシャリスト になってしまったようだが、“The Texas …”の評価も極め て高いので期待が持てそうだ。なおコーザーは、パラマウン ト・クラシックスで今秋公開予定の“The Machinist”や、 ソニーで計画中の“Salem”という作品も手掛けてる。 そしてこの計画に、ロメロが製作総指揮として参加するこ とも発表された。これでロメロがどのような役割を果たすの かは不明だが、少なくともこの春公開された作品のような、 原作を蔑ろにしたリメイクだけは、彼の力で阻止してもらい たいところだ。 * * 続いては新作の情報で、ラッセ・ハルストロームの監督、 トム・ハンクス、ジュリアン・ムーア共演で、西部劇の計画 が発表されている この作品の題名は、“Boone's Lick”。ラリー・マクマト リーの原作から、原作者とダイアナ・オサナの脚色で映画化 するもので、開拓時代にミズーリ州ブーンズ・リックから、 夫が居るはずのワイオミングの砦まで、その後を追って家族 を引き連れ、ぼろぼろの幌馬車で向かって行った女性を主人 公とした物語。 この女性をムーアが演じ、ハンクスは行動を共にする夫の 弟役。さらにこの旅には、4人の子供と彼女の父親も加わっ ているというものだ。そして物語は、彼女と義弟が恋に落ち るという展開になるようだが…。 なお計画は、ハンクス主宰のプレイトーンが進めているも のだが、実は、監督と主演女優が決定されるまでは計画の存 在自体が秘密にされていたということで、それがようやく発 表されたもの。ただし監督には、先にヒース・レジャー主演 の“Casanova”の計画が発表されており、今回の計画が直ち に実現という訳ではない。しかし監督からは、1年以内に実 現したいという意向も伝えられているようだ。 因に、題名にもなっているブーンズ・リックは、町の名前 の他に、Boone's Lick Roadというのもあるようだが、これ は西部の英雄ダニエル・ブーンが切り開いたとされる西部へ の道筋ことで、1800年代の前半には数多くの西部開拓団がこ れを辿って、サンタフェやオレゴン、カリフォニアへと向か って行ったものだそうだ。 そして今回の物語も、その道筋に沿って描かれるものにな りそうだ。いつも圧倒的な迫力でドラマを展開してみせるハ ルストロームだが、今回は西部の荒野を背景に、一体どんな 作品となるのだろうか。 * * お次は、『ハリー・ポッター』の第3作以降は製作に廻っ たクリス・コロンバスの、監督復帰の計画がユニヴァーサル から発表された。 計画されているのは、“Sub-Mariner”というマーヴェル コミックス原作の映画化で、アトランティスの王子ナモーを 主人公とした海洋冒険物語。海洋汚染や、侵略、戦争などを 扱った壮大な内容ということだが、主人公は、あるときは人 類を助け、あるときは敵対するということで、必ずしも常に 味方というものではないようだ また、この主人公は、実はコロンバスが長年フォックスで 計画を進めていた“Fantastic Four”の登場人物でもあるよ うだが、彼だけを主役にした独立したシリーズでも発表され ているということで、今回はその独立シリーズの映画化とい うことになる。 そしてこの計画自体は、長年ユニヴァーサルで進められて きたもので、すでに『ロード・トゥ・パーディション』など のデイヴィッド・セルフによる脚色もできているようだ。 因にコロンバスは、“Fantastic Four”の計画からはすで に離れたようだが、それにしても、関連した計画を他社で進 めるとは、よほどこの原作に愛着があるということなのだろ うか。ここまで来たら、“Fantastic Four”の映画化も彼の 手で実現してもらいたいものだ。 * * 『シュレック2』では久々のマシンガントークを炸裂させ て、活きの良い声を聞かせてくれたエディ・マーフィの出演 で、シェークスピアの“Romeo and Juliet”をモティーフに したタイトル未定のコメディ作品の計画が、ドリームワーク スから発表されている。 『ロミオとジュリエット』と言えば、『ウェストサイド物 語』から『アンダーワールド』まで、数多くの作品で引用さ れてきた恋人たちの悲恋を描いた名作だが、今回の計画は、 実は恋人たちの両親の視点から描いたお話ということで、最 近は『チャーリーと14人のキッズ』などで父親役が板に付い てきたマーフィにはピッタリの作品になりそうだ。 脚本は、1970年代のマーフィのSaturday Night Live時代 からの盟友で、『ナッティ・プロフェッサー』の2作なども 手掛けたバリー・ブラウスタインとデイヴィッド・シェフィ ールド。息の合ったコメディを期待したい。因にこのコンビ は、パラマウントがセドリック・ジ・エンタテイナーの主演 で劇場版リメイクを進めている“The Honeymooners”の脚本 も手掛けているようだ。 なお、マーフィの次回作には、レヴォルーションで『チャ ーリー…』の続編“Daddy Day Camp”が予定されている。 * * ユニヴァーサルから、“Time After Time”という題名の ミュージカル映画の計画が発表されている。 この計画は、先にアン・リー監督の『ウェディング・バン ケット』のステージミュージカル化などを手掛けた劇作家の ブライアン・ヨーキーが進めてきたもので、実はヨーキーと 舞台監督のマルコス・シーガらは、今年1月にプロスペクト というプロダクションを設立し、1万5000ドルの自費を 投じて、すでに出演者のオーディションや、歌唱やダンスの リハーサルも、3カ月以上を掛けて行ってきている。 そしてその成果を、ハリウッドの主なスタジオの製作担当 を招いて披露し、映画化権の売り込みを行ってきたもの。な お、その場で披露されたのは、30分ほどの抜粋だそうだが、 帰り際にはアップル社の最新型iPodが手渡され、それをオフ ィスのPCに差し込むと、そこから全体の概要と音楽が再生 される仕組みで、その中からユニヴァーサルが、最高75万 ドルの契約金で契約を結んだというものだ。 内容は、現代の10代の少女が1985年にタイムスリップし、 その時代の音楽に触れると共に、彼女の母親の親友になって しまうというもの。お話的には、同社の『バック・トゥ・ザ ・フューチャー』にも近い感じだが、これを1980年代のポッ プミュージックに載せて描くということで、すでに当時の歌 姫シンディ・ローパーの協力を得て、彼女は映画への出演も 約束しているということだ。 また、今回の出演者には、基本的に映画化権が売れるまで は無給だったそうだが、すでにリハーサルを見にきた映画関 係者から声が掛かって、この秋公開の“Shall We Dance ?” のハリウッドリメイクや、ディズニーランドのショウの主役 に抜擢された人もいるということだ。 これも、アメリカンドリームということになりそうだが、 すでに“Monster-in-Law”などのアニヤ・ココフの製作総指 揮も決まって、映画化は早期に始まりそうだ。また、映画化 後にはステージミュージカル化の計画もあるようだ。 ただこの題名は、1979年公開のニコラス・メイヤー監督、 マルカム・マクダウェル、メアリー・スティーンバージェン 共演のワーナー作品と同じだが、一体どうするのだろうか。 * * 『ジョンQ』などのニック・カサヴェテスの監督で、SF 映画の計画が、ニューラインから発表されている。 計画されているのは、“The Martian Child”という作品 で、SF作家のデイヴィッド・ジェロルド原作による短編小 説を、ジョナサン・トーリンとセス・バスの脚色で映画化す るもの。父と子の関係を描いた『E.T.』と『バックマン家 の人々』を混ぜ合わせたような作品と紹介されていた。 お話は、SF作家の主人公が婚約者の死に遭遇し、彼女の 6歳の息子を養子にするが、やがてその子が同じ世代の他の 子供と異なることに気付き始める。そしてついにはその子が 異星人の子供であると信じ込むようになるという展開。この ままではちょっと精神異常者の話になってしまいそうだが、 原作者がSF作家なのだからそういうものではないだろう。 そしてこの主人公を、『ニューオーリンズ・トライアル』 のジョン・キューザックが演じることも発表されている。 なおカサヴェテスは、ニューラインで“The Notebook”と いう作品を脚色監督したところだが、同社ではその脚色が出 来た直後から本作の計画を提案していたということで、優秀 な監督をがっちり押さえておこうという考えのようだ。撮影 開始は、今秋が期待されている。 * * 後は続報で、 まずは、以前から紹介している、クリス・ヴァン・オール ズバーグ原作の“Zathura”の映画化で、主人公となる兄弟 の父親役に、今年のオスカー助演賞を受賞したティム・ロビ ンスの出演が発表された。 この作品は、当初は1995年に公開された『ジュマンジ』の 続編として計画されていたが、現在は独立した作品として考 えられているということで、すでにデイヴィッド・コープ、 ジョン・カンプス、エリック・フォーゲルらによって書かれ た脚本から、ジョン・ファブローの監督も決まっている。 ファブローは、ヴィンス・ヴォーンとの共演作などで俳優 としても知られるが、2001年にヴォーンの共演で、自ら主演 と監督を兼ねた“Made”という作品は、その演出でも高い評 価を得ており、同じく俳優で、監督としてもオスカー候補者 になったロビンスを迎えての監督ぶりも楽しみだ。 撮影は8月に開始の予定。 * * もう1本、この夏に撮影されるシャーリズ・セロン、フラ ンシス・マクドーマンド共演の“Aeon Flux”で、VFXを フランスのBUF社が担当することが発表された。 因にこの会社は、昨年公開された『ワイルドスピード2』 や、『アンダーワールド』のディジタルFXで知られるが、 『マトリックス・リローデッド/レボリューション』にも参 加しており、以前に書いたように、『マトリックス』ばりの VFXアクションが大いに期待できそうになってきた。 * * 最後に、一部日本でも報道されていたが、“Astroboy”に 続く日本製アニメーションのハリウッド版実写映画化の計画 で、“Speed Racer”(マッハGo!Go!Go!)に新しい動きが公 表された。 因にこの計画は、ジョール・シルヴァとリチャード&ロー レン・シュラー・ドナーというワーナーではトップクラスの 製作者が共同で進めており、元はトム・クルーズやジョニー ・デップらの出演も検討されていた。しかし、ファンタステ ィックなレースシーンの再現に巨額の製作費が予想され、そ のままでは実現困難として、そのようなシーンを最小限とす る計画変更が迫られていた。 そこで、今回公表されたのは、6月第3週に全米第1位を 記録した“Dodge Ball”(主演ベン・スティラー)の共演者 ヴィンス・ヴォーンが立てた企画で、原作アニメーションの 大ファンという彼は、主人公の長く行方不明だった兄(レー サーX)を演じるという計画。そして物語は、兄の出現を巡 る家族ドラマを中心とするということで、これならレースシ ーンを最小限にして映画化も可能になるというものだ。 とは言え、レースを転戦する主人公を追ったこの作品に、 そのシーンは欠かせない筈で、それをどうするのか。ヴォー ンのアイデアに沿った脚本は、これから脚本家を選定して作 られることになるが、まずは脚本の完成が第1関門になりそ うだ。
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