※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※ ※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※ ※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 今回は、待望のこの話題から、 『GODZILLA』『ザ・リング』に続く日本映画から のハリウッドリメイクで、大友克洋原作、監督の日本製アニ メーション『AKIRA』の実写によるリメイクがワーナー から正式に発表された。 監督は、以前から発表されていた『ブレイド』のスティー ヴン・ノリントン。そして脚本を、ノリントン監督と共に新 作の“The League of Extraordinary Gentlemen”を手掛 けたジェームズ・ロビンスンが担当することになった。因に、 ロビンスンとノリントンの前作は、コミックスが原作となっ ているが、大元はアニメーションだったということで、その 意味でも良いコンビネーションが期待できそうだ。また、ロ ビンスンは以前に“Comic Book Villains”という作品を脚 本監督したこともあるようだ。 さらにロビンスンは発表の席で、「僕は長年のアニメ(an ime)ファンで、アニメのいろいろな要素を実写映画で活か すにはどうすれば良いかずっと考えてきた。その思いをよう やく遂げることができる」と語っており、アニメに対する思 い入れはかなり激しそうだ。なおこの報道は、米誌の記事で もanimationではなく、animeと表記しており、これは日本製 アニメーションを特定する言い方になっている。 進行状況は、現在はロビンスンがプロデューサー側の用意 した原案を微調整中ということで、それが終われば、いよい よ脚本の執筆となる。製作は“Superman”の新作も進めてい るジョン・ピータースが担当している。 なお物語は、米誌の報道では、暴走族の少年が、政府の秘 密計画AKIRAのために誘拐された弟を救おうとする。そ してその過程で、反政府組織や貪欲な政治屋、無責任な科学 者と闘う、と紹介されている。ただし、1988年に公開された アニメーション作品は、当時はまだ原作が完結していなかっ たために、本当の結末にはなっていなかったと記憶している が、リメイク版はどうなるのだろうか。 * * お次は、直接映画の話題ではないが、映画会社も関係する 情報ということで、日本では第4巻の『炎のゴブレット』が 発売されたばかりの『ハリー・ポッター』シリーズで、また ぞろシリーズが延長されるという噂が流れている。 このシリーズに関しては、原作者のJ・K・ローリングが 当初から7巻で完結すると言い切っているのだが、ヒット作 は長く続くことを望むのが人情というものなのだろう、いつ までたっても延長の噂が絶えない。そして今回は、その題名 として“Harry Potter and the Alchemist's Cell”“Harry Potter and the Chariots of Light”“Harry Potter and the Pyramids of Furmat”という具体的な名前まで登場して きたのだ。 ここで、現在までに4巻が発行されて、プラス3つの題名 なら、全部で7つでいいような気もするが、実は、本来は今 年の7月に発行が予定されて、来年6月に発行延期となって いる第5巻の題名が、すでに“Harry Potter and the Order of the Phoenix”と発表されているのだ。従ってこれを加 えると全部で8巻となってしまうという訳で、この辺からシ リーズ延長という説が出てきたようだ。 しかし今回の噂の元となった3つの題名は、実はワーナー 映画がイギリスの特許庁に提出した商標登録ということで、 原作本の題名ではないようだ。つまり原作者の関知しない題 名という訳だが、ではなぜワーナーがこういう題名を提出し たのかというと、これはたぶん他人にこれらの題名を登録さ れるのを嫌ったのだろう。しかもこの提出が2000年4月とい うことは、ちょうど映画の第1作の製作が佳境で、その頃に 先を見越した動きがあったことは想像できるところだ。とは 言えちょっと混乱を産む原因にはなってしまったようだ。 もっともワーナーは、当初はシリーズの映画化権を第4巻 までしか契約していなかったとも伝えられているし、作られ た映画をシリーズ化する権利は映画会社側にも発生するよう だから、もしかするとそういうための準備だったのかも知れ ない。従って原作本が7巻で完結しても、映画はもっと続く という可能性は捨て切れないようだ。 なお、映画化の第2作“Harry Potter and the Chamber of Secrets”の公開は、11月末に全世界一斉で行われる予定 だが、それに続く第3作“Harry Potter and the Prisoner of Azkaban”の製作は、以前から紹介しているようにアルフ ォンソ・クアロンの監督で来年春から開始の予定で、その公 開は再来年の夏ということになるようだ。 そして第4作“Harry Potter and the Goblet of Fire” の製作に関しては、まだ具体的には始まっていないが、最近 のクリス・コロンバスの発言では、主演の3人を替えるかも 知れないということも言っているようだ。つまり映画製作が 毎年ではなくなるので、俳優の年齢が合わなくなるというの が発言の主旨のようだが、シリーズ延長の話も含めてちょっ と気になるところだ。 と、ここまでの記事を書いたところで、ダンブルドア校長 役のサー・リチャード・ハリスの訃報が届いた。元々全7作 への出演は自信がないとも語っていたが、第2作の撮影中か ら病状はかなり厳しかったということで、それを踏まえると 上のコロンバスの発言も別の側面を見せ始めるが、とりあえ ずは第3作へ向けての校長の配役に注目が集まることになり そうだ。 * * 続いては、第6回でも紹介したユニヴァーサルとミラマッ クス傘下のディメンションの共同で進められている70年代の 人気テレビシリーズ“The Six Million Dollar Man”(600 万ドルの男)の映画化が、具体化し始めた。 今回発表されたのは脚本家で、この脚本にトレヴァー・サ ンズという若手が抜擢され、しかも監督も任されることにな りそうだ。 この脚本については、以前ユニヴァーサル単独ので進めら れていた当時に、ケヴィン・スミスによるものが完成されて いたはずだが、シリーズ化を目指すディメンションにとって は物足りなかったということだ。そこに新たにサンズのアイ デアが提案され、これがディメンションの幹部曰く、「創造 性とオリジナリティに溢れた最高の出来映えだった」という ことで、一気に抜擢が決まったものだ。なお題名は、時代に 合わせて“The Six Billion Dollar Man”(60億ドルの男) になるようだ。 またこの計画には、ケヴィン・スペイシー主宰のトリガー ストリート・プロダクションの参加が発表されており、とい うことはつまりスペイシーの主演ということになりそうだ。 因にサンズは、脚本監督した“Inside”という短編が各地 で賞を受けるほど評価されており、またメイス・ニューフェ ルドの製作でデイヴィッド・ブリン原作のスペース・オペラ “Startide Rising”や、フェニックスでルディ・ラッカー 原作のサイヴァー・パンク小説“Software”、さらにビーコ ンで“Repairman Jack”などの脚色も手掛けている。 なお、オリジナルのテレビシリーズについては、以前にも 紹介したようにマーティン・ケイディンの小説“Cyborg”を 原作としたもので、ケイディンはさらに“Operation Nuke” “High Crystal”“Cyborg IV”を発表している。そして 今回はこのシリーズ全4作の映画化権が一括して契約され、 シリーズ化を目指して映画化が進められているものだ。また、 このシリーズでは、同時期に女性版の“The Bionic Woman” (バイオニック・ジェミー)も放送されていた。 * * もう1本テレビシリーズからの映画化で、ラリー・ハグマ ンの主演で78年から91年まで続いた人気シリーズ“Dallas” (ダラス)の映画化の計画が発表されている。 このシリーズは、60年代の『ペイトンプレイス物語』に匹 敵する典型的なソープオペラと呼ばれた作品で、何しろ放送 されていた14年間に総勢140人近い登場人物が入れ代わり立 ち代わりドラマを組み立てて行くというもの。 最近では『ER』などもこの手法をとっているが、『ダラ ス』の場合は、街の権力者の座を狙う主人公JRを中心に、 これらの人々の人間模様が実社会さながらに描かれていた。 そして、特に80年シーズンの最後でJRが狙撃されて終った 時には、“Who Shot J.R.”ということで、次のシーズンが 始まるまで半年間の話題を独占したものだ。 まあ今で言う、クリフハンガーという奴で、『新・スター ・トレック』などでも毎シーズンの終りには、主人公が絶体 絶命だったり、銀河存亡に危機みたいな状況で終ったりして いたのだが、その走りのような番組だ。 ということで、極めて話題性の高い番組だった訳だが、こ の映画版を今回計画しているのはリジェンシー、そしてパー トナーを組んでいるのが元ソニーのマイクル・コスティガン という人物で、コスティガンはソニー時代に『チャーリーズ ・エンジェル』の映画版に関わっていたということで、その 手腕が期待されているようだ。 登場人物や物語などは一新されることになるが、当然JR に相当する主人公と、その周囲にうごめく人々という構図は 代わるはずもない訳で、オリジナルの番組の放送中なら1エ ピソードの映画化ということもできるが、単独の映画として どのような展開になるのか、興味を曳かれるところだ。 * * 以下は、新しい情報をお伝えしよう。 新感覚の映画として大きな話題を呼んだ『マルコヴィッチ の穴』のチャーリー・カウフマン脚本による新作“Eternal Sunshine of the Spotless Mind”に、ジム・キャリー、 ケイト・ウィンスレット、キルスティン・ダンストの共演が 発表されている。 物語は、主人公の男(キャリー)が、前の恋人(ウィンス レット)との熱い想い出を消そうとするが、それを同僚の女 性(ダンスト)がじゃましてしまうというもの。つまり、カ ウフマンお得意の人間の心理に関わる物語ということで、こ れを如何に料理したか、そしてそれをどのようにキャリーの キャラクターに合わせたかが興味を呼んでいるようだ。 監督は、カウフマン脚本で昨年の東京国際映画祭のコンペ に出品された『ヒューマンネイチュア』のミシェル・ゴンド リーが担当している。製作はフォーカス。 なおこの作品には、『スパイダーマン』で一気にブレイク したキルスティン・ダンストが出演しているが、彼女は、現 在はリヴォルーション製作で、マイク・ニューウェル監督、 ジュリア・ロバーツ共演による“Mona Lisa's Smile”に出 演中で、その後の来年1月から本作の撮影に入り、続けて来 年春からコロムビア製作のシリーズ第2作“The Amazing Spider-Man”ということだ。 しかし、実は彼女はミラマックスとの間で優先契約を結ん でいて、その中では、黒沢清監督の『回路』を、ウエス・ク レイヴン監督がハリウッドリメイクする“Pulse”への出演 という情報もあったのだが、そのほうは一体どうなってしま ったのだろう。夏ごろの情報では、ちょうど今回の作品の辺 りに入っていたはずなのだが。 * * 『ブレイド』を始め、最近、吸血鬼ものがやたらと目に付 くが、今回は本家本元の『ドラキュラ』を題材にした作品の 計画が2本発表されている。 まず1本目は、“The Last Voyage of the Demeter”と いう題名で、この作品はブラム・ストーカーの原作の中の船 長日誌の章を拡大するもの。ドラキュラを運ぶ船の中で乗組 員が1人ずつ謎の失踪をして行くという物語だそうだ。具体 的な情報はまだあまりないが、ブラーギ・シャットの脚本で、 フェニックスで進められている。 そしてもう1本は、ユニヴァーサル製作で、題名は“Van Helsing”。つまりドラキュラの宿敵ヴァン・ヘルシング教 授を主人公にした作品で、これを『ハムナプトラ』のスティ ーヴン・ソマーズの脚本監督で映画化しようというものだ。 この監督の手に掛かると何でもアクション大作になってし まいそうだが、本作もその通りアクションアドヴェンチャー と紹介されている。主演は『ニューヨークの恋人』のヒュー ・ジャックマンで、彼がタイトルロールのようだ。 そしてドラキュラ役には、イギリス出身でバレエダンサー のウィル・ケムプが発表されている。ケムプは、話題のミュ ージカル“The Car Men”の主演などで知られるが、アメリ カでは4月に公開されたディメンション製作、レニー・ハー リン監督、ヴァル・キルマー共演の“Mindhunters”で映画 デビューし、今後は舞台と並行して映画スターも目指すのだ そうだ。撮影はこの秋に開始される。 * * ついでという訳ではないが、吸血鬼と並ぶ往年のホラー映 画のキャラクターで狼人間ものが1本計画されている。 題名は“Bitten”。ケリー・アームストロングという作家 の原作で、カナダを舞台に謎の狼の群れの中で暮らした女性 を主人公にした作品。これだけだと、『ジャングルブック』 系の物語のようにも思えるが。展開は、彼女は狼に噛まれ、 群れの中で生活するうちに、狼人間に変身する能力を身に付 ける。しかし彼女は獣の本能を押さえて普通の人間になろう とし、人間社会に入ってジャーナリストとなり恋もするのだ が、本能が目覚めることへの不安から群れに引き戻されて行 くというもの。 米誌の報道では、原作には、ジャック・ニコルスン主演で 映画化された『ウルフ』などの狼男ものに通じる不思議な雰 囲気があるということだが、この物語だとナスターシャ・キ ンスキー主演でリメイクされた『キャット・ピープル』の方 が近そうだ。 そしてこの原作の映画化権をワーナーが獲得し、その脚色 を、ティム・ロスの監督デビュー作で98年製作の“The War Zone”などを手掛けた脚本家のアレグザンダー・スチュアー トに依頼しているということだ。また主人公には、パラマウ ント製作の“Tomb Raider 2: Cradle of Life”の撮影が 進行中のアンジェリーナ・ジョリーが予定されている。因に、 脚本家とジョリーは同じエージェントの所属で、その関係で 今回の企画が動いているようだ。 なお、ジョリーは撮影中の作品の次にはワーナーの製作で “Taking Lives”という作品が予定されており、それに続 いて今回の作品という期待がされているようだ。 * * 後半は短いニュースをまとめておこう。 前々回セット火災を報告したディズニー製作“Pirates of the Caribbean”は大禍なく撮影が開始されたようだが、続 けて計画されているやはりディズニーランドのアトラクショ ンからインスパイアされた作品“Haunted Mansion”の概要 が報告された。この作品は、『スチュアート・リトル』のロ ブ・ミンコフ監督、エディ・マーフィの主演で進められてい るものだが、内容は、マーフィを父親とする一家がお化け屋 敷を訪れ、父親はそこで幽霊に出会ってしまう。そして今ま で無視していた家族への思いを改めるという、家族再生の物 語になるようだ。脚本はデイヴィッド・ベレンバウム。 また、水晶球の中の預言者マダム・リオータ役として『モ ンスターズ・インク』でセリアの声を担当したジェニファー ・タリーの共演が発表されている。 前回、“The Serpent and the Eagle”(ロン・ハワー ド監督)に関連して紹介した“The Alamo”(ジョン・リー ・ハンコック監督)でキャスティングが始まり、その第1号 としてビリー・ボブ・ソーントンのデイヴィー・クロケット 役が決まったようだ。1960年にジョン・ウェインが監督主演 したときには、ウェイン自身が演じた役柄だが、ソーントン はどのように演じてくれるのだろうか。 今年の夏に公開された“Resident Evil”(バイオハザー ド)の続編の計画が持ち上がっている。オリジナルはポール ・W・S・アンダースンの製作、脚本、監督で、ドイツのコ ンスタンティンフィルムスで作られたが、アメリカはソニー 傘下のスクリーン・ジェムズが配給して4,000万ドル、全世 界では1億ドル突破の成績を残している。そして今回の発表 では、アンダースンがすでに続編の脚本を執筆中ということ で、彼は製作も担当するが、監督には他の人を起用する計画 だということだ。監督の交替はいいとして、それより問題は ミラ・ジョヴォビッチがまた出てくれるかだろう。 最後にちょっと残念な情報で、11月にアメリカ公開が予定 されていたヒラリー・スワンク主演のSF大作“The Core” の公開延期が発表された。理由はVFX制作の遅れというこ とで、『ザ・リング』もそれで公開が遅れたが、だんだん要 求されるレベルが高くなると、VFXもスケジュール通りに は行かなくなってきているようだ。でも、『ザ・リング』も 問題なく大ヒットしたようだし、心配はないだろう。なお、 アメリカ公開は来年の第1四半期になるということで、当初 の日本公開は2月だったようだが、それも少し遅れることに なりそうだ。
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