言うまでもなくホメロスの「イリアス物語」が原作のこの話、元々はギリシャ神話を題材にしたもの。（史実としてトロイ戦争があって、それが神話化されて、ホメロスが｢イリアス物語｣として歌った）
なのに、今回のこの映画は神話的要素はこれっぽっちもありませんでした。
まあ遥か昔、実際に「トロイ戦争」は起こっていた（登場人物や彼らの性格とかは後世の脚色とはいえ）わけで、神話的要素がない方が正しいんだろうけれども、おかげでオーランド･ブルーム演じるトロイの王子パリスがかなりのヘタレっぷりで。ただのバカ王子ですよバカ王子！
今、日本でオーランドのファンってのはほとんどが「ロ−ド･オブ･ザ･リング」のレゴラスや「パイレーツ・オブ・カリビアン」のウィルを観てのことだと思うんですが、この２役のような高潔さや勇敢さは微塵も感じられません。きっとがっかりするファンが大勢いることでしょう（笑）
でも、たった一つ、レゴラスファンを喜ばせたシーンがあったわ。弓を射るシーン。ヘタレ王子だけど、弓矢の技術だけはあるようで。おまけに構え方がレゴラスと同じです（笑）このためだけにオーランドをキャスティングしたのでは？！なんて思っちゃいました。冗談ですが。
神話的要素が全く排除されたといえば、パリスの妹・カッサンドラが出てこなかったこと。トロイの女預言者として名高いカッサンドラはトロイ戦争では主要な登場人物だと思うんだけどなぁ。
パリスがヘレネをさらってきた時も、あの有名な「トロイの木馬」のシーンでﾄロイ城内に木馬を引き入れる際も、カッサンドラだけが猛反対した。彼女にだけはこれから起こることの全てが見えたから・・・。でも彼女の予言は、オリンポスの神々の１人であるアポロンの力によって「誰一人としてカッサンドラの予言は信じない」ようにされていた。そもそもアポロンがカッサンドラに１００％的中する予言の力を与えたというのに・・・。
ま、こんなエピソードは人間と人間の戦いであるこの映画には相応しくないとされたんでしょう。
カッサンドラが出てきたら、なぜ彼女の予言は必ず当たるのか、なぜ予言を誰も信じないのか、といったところまで表現しなくちゃならないもんね。時間だって全然足りないし。
えーと、主演のブラッド・ピットの話を全然してませんね(^^；
ブラピ演じるアキレスは、トロイと敵対するギリシャ方の武将。神話では半人半神で不死身の設定。ただ一ヶ所、足首だけが弱点で・・・。アキレス腱の名前の由来はココから来てることは有名ですが、なぜ足首が弱点なのか、やはりこの映画では語られてません。徹底的に、人間臭く描かれています。
神話だと思ってこの映画を観に行くと、肩透かしを食うかもしれません。役作りのために数ヶ月前から１日４食摂取して、トレーニングをしてたとか。役者魂ってのはすごいですね〜。
で、ちゃんとこの後、ウエイトを落とせるんだから・・・羨ましい・・・(笑) |