夢三昧
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2004年08月11日(水) 花よりタンゴ

こまつ座第七十四回公演「花よりタンゴ」紀伊國屋サザンシアター 13:30開演 10列

【キャスト】
長女 月岡蘭子/旺なつき 次女 藤子/三浦リカ 三女 桃子/鈴木ほのか 四女 梅子/占部房子
煙草売りの佐々木正子/田根楽子 郵便配達の近藤勇蔵/吉村直 ピアノ弾きの森川俊夫/朴勝哲
花売り娘/藤巻るも ヤミ成金の高山金太郎/小林勝也
【作】井上ひさし
【演出】栗山民也

ときは一九四七年。
ところは東京銀座の七丁目。

焼け跡の銀座は、危険がいっぱい。暗闇から強盗団、地下からは不発弾が現れる。
月岡家の四姉妹は戦争で全てを失った。
ここ銀座ラッキーダンスホールは、最後に残ったたった一つの、彼女たちの大切な城。
しかし、とうとうこのダンスホールにも魔の手が……
黒いサングラスのヤミ成金の男がズカズカと、札束を抱えて乗り込んできた!


あらすじはチラシより引用しました。
「人間合格」、「太鼓たたいて笛ふいて」に続いて、3度目のこまつ座。
今回は、元気だった頃ダンスが大好きだった母のためにチケットを取ったのですが、もちろん、わたし自身も、すごーく楽しみにしていました。

毎度ながら、井上さんのご本は、本当に楽しいです。
あんなに暗く悲惨な時代を、戦争の愚かさを、深い傷跡を、歌やダンスや笑いとともに、明るく元気に、しかししっかりと心に響くように伝えて下さるのです・・・。
人間、どんなに辛く哀しいことがあっても、どんなにどどん底に沈んでしまったときでも、こんなふうに生きられたら、なんとか乗り越えられるのかもしれない!?
とりあえず笑ってみようか!!??
そんな気持ちにさせられる、エネルギーに満ちた舞台でした。

キャストのみなさんは、全員が本当にピッッタリのはまり役!!!
素晴らしかったのひとことにつきます。

旺さんの立ち居振る舞いはいかにも宝塚ご出身のそれで、実は33歳の役なので何度もそれをネタに笑いをとっていましたが、なんとも身のこなしやチャイナドレスの着こなしや姿勢の美しい方だなぁと、うっとりいたしました。

鈴木ほのかさんは、サイゴンの初演の時に拝見して以来!?記憶にないのですが、わたし、何か観ているでしょうか?(笑)
こちらもなんと18歳の役(これはみえなくもなかったところが驚きです!)で、歌手を目指している役で!!歌はほとんど鈴木さんが唄われましたが、さすがにお上手でした。
鈴木さんだけ別宅の子!という設定も、もの凄く納得のいく雰囲気があり(要するに一人だけちょっと品が無かったのですが)そのキャラも非常にマッチしていました!?(苦笑)

三浦さんは、上品でキレイなかたでしたが、やや天然なキャラがとてもステキでした。

四女の占部さんは、おさげが髪が信じられないくらい似合うのに、ちょっと洋風なお顔立ちで、スタイルも良く、真っ赤なドレスもセーラー服も凄くお似合いの、とっても可愛いかたでした。
秀才で、学者を目指しているのですが、どこか子供っぽいところ、悪戯なところも持ち合わせたとってもチャーミングな少女を、元気に清々しく演じていらっしゃいました。

その他の脇を固める方々は、それはもうひとことで個性派&演技派だったなんてことではまとめられないくらい、天才的なみなさんでした(笑)
もう、笑ったのなんのって☆
例えば不発弾が見つかった大騒動の場面では、お腹がよじれて涙が出るくらい笑いました。
あとは、実は兄弟だったとやっっっと判明するきっかけとなった、煙草売りの正子さんと郵便配達の近藤さんとの「銀座数え歌」みたいな歌!!!!!
これも、もう、絶品で〜♪♪♪
覚えたかったけど、かなり長いし多いし?早口だしで、とても無理でした(笑)
でも、一番面白かったし驚かされたのは、一切口のきけない役だった花売り娘の藤巻さんかもしれません。
声が出ないから、身ぶり手ぶりでいろんなことを表現するのですが、その身体の柔らかいことと、愛嬌溢れる表情の変化に、あまり多くは無かった出番ですが、ついつい釘付けになりました。
今度は是非、声も聴かせていただきたいものです・・・♪

そうそう、忘れてはならないピアノ弾きの朴さんも、少しですがセリフもあり、ちゃんと役を演じながら演奏をされていました。
ほとんどが鈴木さんの伴奏という形でしたが、ジャズ、タンゴ、ワルツ、ブギウギと、興味深い演奏ばかりで、その部分もかなり楽しめました。

ということで、母は想像以上に興奮しまくりで喜んでくれました。
母たちの世代には懐かしくてたまらないジャズやタンゴの名曲が数々唄われたり演奏されたりしたことも嬉しかったようですが、その時代そのもの、使われている小道具やエピソードすべてが懐かしかったようです。
キャストのみなさん全員の好演にも、本当に、心から拍手を贈りたいと申しておりました。
喜んでもらえて、良かった・・・☆

わたしも、本当は身が引き裂かれるほど浜松町に行きたかったけれど、この舞台もどうしても観たかったので、悔いはありません(苦笑・大袈裟)
こまつ座最高!


夢路 |MAIL