せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2006年02月23日(木) 「放課後の卒業式」リハーサル

 目覚ましをかけわすれ、というか、「放課後の卒業式」の冒頭に使うために学校に持っていってしまったので手元にないんだった、それよりも目覚ましをかけなきゃと思う前に眠ってしまった。見事に寝坊。
 6時半には家を出ていなければいけないのに、目が覚めたのは7時45分。あわてて平田さんに電話をかけ、飛び出す。「今日は通し稽古だから大丈夫」と言ってもらったもののずっとドキドキしながら電車に乗っている。
 富士見ヶ丘の駅を降りて歩いていたら、森江先生に会う。風邪で熱があって病院に行ったので、遅くなったのだそう。学校までの道を、授業のことをお話ししながら歩く。思いがけないいい時間がもてた。
 体育館に行ったら、場面は演劇授業、エレベーターの2チーム目。
 今日は通し稽古なので、「未来の友情」チームのみんなに挨拶もできないまま、客席から見させてもらう。段取りは一応できているのだけれど、いまいちいきおいがない。せりふもあちこちよどみがちだ。このノリの悪さは僕が遅刻したせいかもしれないと思えて、ほんとうに申し訳ない。
 客席にいたほかのチームの全員が舞台に登場するクライマックスまできて、セリフのやりとりが急に微妙になった。そりゃそうだ。毎回、時間いっぱいになって、「未来の友情」のラストは、毎回の授業でもあまり練習できていない。
町の人として出演している、原作者のオオタくんが、他の子たちのセリフがつまるたびに、ふっと一歩前に出ている。なにができるわけでもないのに、一歩前に。で、また元に戻る。そんなことが、3、4回続いた。心配だったんだねというのがよくわかった。彼はきっと無意識なのだろうけれど、なんとかしようという思いが伝わってきた。
 1回目の通し稽古が終わって、一休み。この時間に、大人たちは作戦会議。あ、子供たちも。細かい打ち合わせをする。全員の段取りの確認もして、2度目のリハーサル開始。
 フロアに1.8メートル幅のグレーのパンチカーペット、25メートルを敷く。「今日、敷かないんだったら、本番もないほうがいい」と、田中さん、照明の伊藤さんに言ってもらって、大急ぎで。急に舞台っぽくなったフロアがいいかんじ。カーペット一枚で急に空間の質が変わる。体育館が劇場に変わるように。
2回目のリハーサルは1回目よりずっと順調にはこぶ。声の広げ方、空間のおさえかたを、子供たちは、実際の舞台に立ち、感じることで、学習している。
終わって、校長先生、篠原さんと手を取り合って、泣いてしまう。舞台に並んでいる子ども達のなからか、ショウヘイくんが「涙は明日にとっておいてください」といい声で。思わず「うるさいよ」と言ってしまう。怒ったんじゃなくて、照れくさかった。そんなこと言えてしまう、彼も大したもんだ。
すごいよ、みんな。
 ちっとも、感傷的な話じゃなくて(感動的ではあるけれど)、それよりも何よりも、みんなで作り上げてるってことが、すばらしい。
 給食をいただきながら、打ち合わせ。今日はスパゲティミートソース。おいしくいただく。
 照明と舞台の仕込みを開始。田中さんたちは、給食を後回しにして、舞台に降る桜のしかけに取り組んでくれた。
 僕は、篠原さん、伊藤さんのお手伝いで、照明の機材運び。体育館全体を使う、今回の舞台では、照明もなかなかの量。ギャラリーに次々と照明がセットされて、なんだかすごいことに。クラスごとに切ってもらった桜吹雪の追加を持ってきてくれたマサヤスくんがクラスに帰って「すごいよ、体育館、『要塞』みたいになってる」と言っていたとの情報がとどく。たしかにそうかも。
 僕たちが、照明と舞台上の仕掛けの確認、それにさっき仮止めしたカーペットをきちんと張っているあいだ、先生方は、図工の前田先生を中心に、木のオブジェを体育館全体に配置。ギャラリーから吊していってくれた。それから、明日の「6年生を送る会」のためにアーチや、花でつくった文字のセッティングも。それに、ビデオ撮影のためのカメラと三脚もギャラリーに置かれていく。
 ほんとにみんなでつくってるんだなあというかんじ。なんて気持ちのいい現場なんだろう。
 ヒデキくんが、授業の終わりに僕のところにやってきて、昨日ユウヤくんにお願いして渡してもらった僕の台本を返してくれた。片手にちゃんと自分の台本を持って。だいじょぶだからというように。サンキュと受け取る。
 暗くなるまでかかって、なんとか仕込みを終える。いや、舞台上の桜吹雪当てのシュートは明日ということに。その間、子ども達の何人かは、校庭でサッカークラブの練習で走り回っていた。その元気はなに? 
 伊藤さんの車でスタッフ一同、荻窪まで送ってもらう。車の中で、伊藤さんが担当していた中学校のことをいろいろ聞く。
 荻窪から、篠原さんと一緒に北千住まで。子ども達のこと、芝居のことをずっと話しながら。篠原さんと別れて、僕は東急ハンズで蓄光テープとビニールテープを購入。明日は今日寝坊した分、早く行って、舞台の階段に蓄光テープを貼ろうと思う。


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