せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2001年12月15日(土) フライングステージ稽古

 台本が進まない。
 どんなに落ちこむことがあっても、そんなの関係なく、どんどん書いてかなきゃいけないとは思うんだけど、やっぱりどうにもならない。
 役者だったら、どんなに気持ちが沈んでても、セリフをしゃべってるうちに、ふっと自由になれる時間があるんだけど(僕の場合ね)、何もないところからお話を作り出すという作業には、落ち込んだ気持ちからふわっと自由になれる、そんな瞬間がなかなかやってこない。これも僕の場合だけど。
 そんなわけで、ツライ気分のまま、稽古場へ。
 ヨシオをのぞく全員が集合。
 基礎トレを、細川くんに仕切ってもらって、「贋作・犬神家の一族」の稽古。
 頭から、アルピーナさん演ずる珠世とのからみを中心にやっていく。
 湖で溺れる場面が、とっても「安く」面白くなった。
 後半は、遺言状公開の場面を。
 荒くんの古館弁護士が、オリジナルの「犬神家の一族」のビデオで「勉強」してきて、スゴイことになってる。
 映画では小澤榮太郎がやってるんだけど、そのテイストを完全にコピーしちゃってる。
 しゃべりかたとかしぐさとかね。
 「そこまでやるかい!」ってかんじ。いやあ、おもしろくなったわ。しかも「安い」し!!
 遺言状が発表された後、三姉妹がワイワイ言い合うところ。
 映画では、高峰三枝子、三条美紀、草笛光子が、小澤榮太郎に、すごい勢いでくってかかるんだけど、この場面のセリフが、ほとんど「同時に発せられる」んだよね。
 確信犯で、二人のセリフがかぶってる。そんな演出がされてる(ほんとだよ)。
 この演出は、市川崑の独特の味なので、是非活かしたいんだけど、さすがに舞台じゃ何言ってるのかわからないでしょと思い(「青年団」みたいな「静かな演劇」じゃないから)、セリフをやや食い気味に続けるような演出をしてた。
 のを、今日は、できる限り、オリジナルに近く、同時に喋るっていうのをやってみました。
 僕の松子夫人(高峰三枝子)の「嘘です、嘘です、その遺言状は偽物です」っていうセリフから、もう重なる重なる。
 合間のマミーの梅子(草笛光子)の「あなた、それでも弁護士?」っていうセリフでちょっとブレイクがあるんだけど(これも映画と同じ)、もう一気にしゃべりまくる。
 ポイントは、急がないことと、セリフの初めを印象づけるように喋ることだねと話す。
 聞いてるみんなに「どう?」と聞いたら、「こっちの方がおもしろい」ということだったので、即採用。
 劇場ではどんなになるか楽しみだ。
 続きの場面がないので(ごめん)、今日はここまで。
 かなりブルーな気分で始まった稽古だったんだけど、最後にはとっても楽しく終われた。
 この気分をうまくすり替えて、作者モードになれたらいいな。
 夜、高円寺にウスイさんことキラ・ド・モントルイユさまがいらっしゃる。
 gaku-GAY-kai用にゲットしたドレスを、もっといいのを見つけちゃったのでということで、僕に分けてくださることになった。
 なかなか手に入らない13号サイズのドレス。
 「でも、きっと肩が入らないはず」とおそるおそる着てみたら……、全然だいじょぶでした!
 大喜びでお言葉に甘えることにする。
 松子夫人の衣裳はこれでいこうと思う。
 ついでに、「これはどうかしら?」と勧められた赤のスリップドレスも。
 キラ・ド・モントルイユさま曰く「ずっと元気がなかったんだけど、衣裳のドレスが見つかったら、何だか元気がでちゃってね」。
 僕もその元気をお裾分けしてもらった気分だ。
 ありがとうございました。


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