せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2001年10月26日(金) |
はえぎわ「愛撫 涙ながら」「少年たち2」最終話 |
ウエストエンドスタジオではえぎわの「愛撫 涙ながら」を見る。 「オープニング・ナイト」と「贋作・黒蜥蜴」に出てもらった森川くんが出演してる。 前回公演は、中野でばったりいわいわと会って、森川くんと一緒に行く予定のこの劇団に一緒したんだった。よしおもいたっけね。 受付前で、いわいわとのぐと会う。よしおとも終演後会う。 前回の「波打ち際の乳房」を見て思ったのは、今の「アングラ」ってこんななんだなあということ。 エロだったりグロだったりするんだけど、最後は「リリシズム」にまでもってってしまう。 僕は、今の若い劇団の「身体」というものが時々わからなくなるんだけど、そのわからなさの理由っていうのは、そこに「身体」がないってことなんだと最近気が付いた。 この「はえぎわ」の人達は、とっても「身体」というものを「あり」にして芝居をしてる。 ストーリー的にも「身体」にはこだわってるのがわかる。乳房だったり、肉だったりね。 そこらへんが、僕には信頼できる気がしている。 実際、おもしろいし。 今日の芝居は、前回よりは、スペクタクルじゃなかったけど、なかなかおもしろかった。 宮崎アニメのいろいろをパロディというか盛り込んで、全部を裏返してみせてる。 たっぱの高いウエストエンドを上手く使って、いろんな「しかけ」が盛りだくさんだ。 森川くんは、このパワフルな人達にまじって、一番しっかりした芝居をしてた。 僕は、ここの「井内ミワク」さんという女優さんが大好きだ。 前回は、「アロエリーナ」の歌を歌う怪しい女の人だったんだけど、今回は、フライヤーにも書いてある「ギャランドゥの女」。劇中の語り手もやったりしてる。 体温が低いような高いような、とにかく不思議な芝居をする。 今日はじめて「はえぎわ」を見たのぐも「あの人いいね。理由はわからないけど」と言ってた。 来年1月の「絶対王様」の「女海賊悦子」に出演するそうだ。森川くんも一緒に。もちろん郡司くんも。今から楽しみだ。
帰ってきて、「アリーmyラブ」。MTFの依頼人が会社で健康診断を拒否したら解雇された。それを不当だとする訴えのお話。 こういうセクシュアルマイノリティの話がこの番組にはたくさん出てくる。第3シリーズでよく出てたマーガレットっていうビアンの評論家(だと思う)の役はなかなかイカしてた。アリーとつき合ってたお兄さんがバイセクシュアルだったって話もあったっけ。 アメリカではこういう事例(?)がたくさんあるってことなのかな? いずれにしろ、この人気番組でこれだけたくさんセクシュアルマイノリティが登場してきて、しかも「笑い話にしない!」っていう「お堅い」話ばかりじゃなくって、「誰でもみんな同じように変な人」なんだっていう向き合い方がとってもすがすがしい。 セクシュアルマイノリティの描き方よりも、むしろそうじゃない、一般的には「普通な人」の描き方の問題なんだろうねきっと。
続いて、「少年たち2」第3話。今日が最終回でした。 やっぱり3回じゃちょっと盛りだくさんの内容だったのかもしれない。 ちょっとはしょってるかんじはしたけど、今日もなかなか良かったです。 山崎努の独白はすごかったな。「自分は子育てを失敗した人間だ」って話すくだり。 このドラマのカメラワークはとっても自然で、しゃべってる人の顔を「もっと見たいな」と思うとちゃんと寄ってってくれる。 舞台の役者さんたちを使ってるせいもあるんだけどね、それがとっても自然だ。実際に舞台を見てると、自動的に「クローズアップ」しちゃうじゃない? それと同じような寄り方なんだな。 あと、嬉しかったのは、最後に、ちゃんとみんなにいい「場面」をつくってること。 ずっと悪役だった加納幸和に「実はいい人」なセリフがあったり、大もめにもめてた若い二人が大団円でまとまったところで、木野花が「でも、やっぱりあの二人の将来は心配なんですよね」なんてつぶやいてみせたり、一番出番が少ない幼稚園の先生役の高泉淳子に最後のセリフをちゃんとあげるとかね。 脚本は矢島正雄。とっても、おもしろかったし、「いい人なのね!」ってかんじ。 ふと、今、トレーングでやってる芝居と、このドラマの中での芝居の違いみたいなものを考えた。 僕らは今、どうしても「しゃべる」ってことをメインにやってるけど、それ以外だって「芝居」なんだもんね。 何よりも「自分の言葉としてしゃべる」ってことのすごさに圧倒される。 何だか、そんなことをいっぱい考えさせられたドラマでした。
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