2003年03月18日(火) |
歴史を学ぶということ |
昨日の日記に近況報告を書きました。
一応、まだ米・英・西はイラク攻撃を始めてはいないようなので、いまのうちに一言だけ書いておこうっと。
フランスが拒否権行使を明言するまえのこと。TVで閣僚経験者が
「ムッシュー・シラクは今回のイラク攻撃に加担することがいつの日かジェノサイド(集団殺戮)と呼ばれることになるのではないかと非常に危惧している。そのため今後の重要な政治的判断を下すにあたって熟慮することでしょう」
と話していました。
歴史を学ぶということは、過去に起きたことを知り、分析するだけでなく、未来の視点からいま自分たちのしていることを見つめる、ということでもあったんだな〜と思いました。
こんなことをいま書いても、今回の「イラク危機(フランスではイラク問題ではなくイラク危機と呼ばれています)」の行方を変えることはできないかもしれないけれど、せめて日本の歴史教育を見直すよい指標にはなりそうです。
日本は国民がなんと言おうと、今後もより一層軍備を拡充しそうに見えるし、海外での紛争により積極的に介入するようになりそうだし、下手をしたら憲法まで改正されるかもしれない。それなら、いまの子どもたちが将来戦争について「いけいけ!どんどん!」な考えかたを持つことがないように予防線を張る必要があるのではないかと。
9.11 のときからずっと「アメリカ人は自国の政府が自国の外でなにをしているのか知らなさすぎる」という有識者の発言を目にしてきて、わたし自身もそう感じてきたのですが、じゃあ自分は日本が外でなにをしているか知っているのか?というと。。。。
憲法のおかげで、おそらく他国に攻め入るようなことはほとんどしていないと思うけれど。。。といったこころもとない返事しかできないのです。
日本はどんな国にどんな名目でどれくらい援助をしているのか、そのお金がその国の自然を破壊したり、貧富の格差を増大させるような方向に使われていないと断言できるか、といったら恥ずかしながらわたしはまったくできません。
仕事の忙しい時期は自分の仕事以外のことを考えるような余裕なんて全くない状態。
戦争(というよりほとんどテロにしか見えないけど)に反対するという意思表示のほかにいまできることは、現在のブッシュ政権のような政権が将来日本に誕生する確率を0.0001%でもなくすことです。
過去に起きたことの内容と、年号と、重要人物とキーワードを覚えるというのが、わたしが小中高で受けた歴史教育でした。これからの日本の教育で大事なのはゆとりなどではなく、本で知ったことや自分が体験したことから、自分自身の考えを発展させる能力を育てることだと思います。先生に気に入られる答えではなく、自分自身はどう思うか。
そして、今回のフランスの大統領や外相のような視点を持てる大人に育ってほしいです。
* * *
(5カ月もフランスを留守にしていたので、フランスの政界についての知識はだいぶあやふやになっています。以下、もし間違いがあったらご指摘ください)
シラク氏はゴーリスト(故ド・ゴール将軍系の政治主張の持ち主)です。
ド・ゴール将軍は、フランス国内のナチスの傀儡政権、ひいてはナチス自体に対して NO! と言い、そして第2時大戦後フランス領内に残ろうとしたアメリカ軍に対しても NO! と言ったことで、フランスの歴史に残る偉大な政治家となった人です。
冒頭に書いたジェノサイドという言葉を聞いてフランス人が真っ先に思い出すのはやはりナチスによるユダヤ人虐殺でしょう。
政治家というものが情だけで動くものだとはまったく思いませんが、かつて尊敬したであろう先輩が声を大にして否定した、その否定されたものと同じことをしたと後の歴史書に書かれることはおそらく堪え難かったのではないかと思います。
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日本は、国内にアメリカ軍の基地を置いているわけですから、(政治家さんたちは)アメリカ軍のすることに NO! と明言するのは難しいのかもしれませんね。「はっきりさせないのが国益」はまさにそのとおりかもしれない。
でも、首相や外相からはもうちょっと頭の良さそうな発言を聞きたかったな。
なぜか、頭悪そうな印象を受ける発言ばかりだったような気が。。。(>_<)
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