先日、日本書店で「パリの手わざ」という本を見かけました。以前からその本のことは知っていたし、パラパラめくったこともあったのですが、何の気なしに「銀細工」のページを見ると、そこに出ているお店の職人さんは自分の作った新しい銀食器を売っているだけでなく、古くなった銀食器のメッキを再加工してくれるのだとか。
うちには銀のカトラリーがあるのです。
1人暮らしをはじめたばかりのころ、蚤の市で買ったもの。偶然通りかかったところ、わたしが値段を尋ねるまえから、お店の人に
「買うんだったら、安くするわよ!」
と言われたのです。(笑)
値引くと言われた金額で既に郊外型安売りインテリア店 IKEA(日本にも進出予定とか)のカトラリーセットよりも安く、おんぼろぼろぼろのクロコダイル革張りのケースもついて。
フォークとスプーンのセットだったのを、隣に同じ柄の模様のナイフもあったので、「ナイフも買うからあと100 Frs (2500円程度)引いて〜」と言ったらおばさんに「Oh! You are so tough!」なんて感心されてしまいましたが、結局わたしの言い値で売ってくれました。
買ってからわかったのだけれど、2,3日の限定市の最終日夕方で、店じまいの途中だったんですね。(笑)
あまりにも安かったので、べつに偽物でもいいやと思ったのだけれど、あとで銀用の薬品を買ってきて磨いたら、しっかりきれいになったし、銀製品に押してあるマークもついてるし、やっぱり本物の銀だったみたいです。
銀のカトラリーというと、日本では「ぶるじょあ〜」と思われるかもしれませんが、フランスではふつうは買わずに結婚するときにお祖母さんから譲ってもらうものなのだそう。さすがにメッキものではなく完全純銀のものは、磨く係の人を雇えるようなお家のものってイメージがありますが。
わたしはホームステイ先で、毎日磨いていない銀のカトラリーを使っていて大ファンになりました。
ステンレスのスプーンにあつあつのスープをよそって、すぐに口に運ぶと、間違いなく口をやけどしますが、銀だと熱いスープをすくっても、スプーンがそれほど熱くならないのです。なので、わたしのようなくいしんぼうには銀のカトラリーはとても重要。(笑)
そして、輝きも、手に持ったときの感触も銀のほうがステンレスよりもずっと控えめでやさしい感じがします。
木のスプーンのやさしさも好きだけど、塗装していないものはカビさせないよう手入れがたいへんだし、塗装しているものはその塗装の質が気になります。
わたしが買ったものは模様もかなり珍しいアール・デコ・タイプ。けれど、ところどころメッキが薄くなっているので、これはいつかはまた中古屋さんに売りに出さなければならないかな〜と思っていました。
それが。。。
古くなった銀食器にメッキをしなおしてくれる職人さんがいる!
デザインに惹かれて、惚れ込んで買ったというよりは、値段と必要性から手に入れたものではありますが、一度手に入れたものを手放さなくてすむのは、やっぱり嬉しいですね。
ただ、その加工を頼んだら、新しいカトラリーセットを買うのと同じくらいの値段になりそうな気がして、怖いのだけれど。。。(苦笑)
まあ、いつかいつか、修理することはできるんだぞということで。
P.S. フランスの蚤の市では綺麗に磨かれた家具、銀製品などに比べて、磨かれていないものは同じデザインでも半額くらいのお値段で手に入ることが多いです。お店の人に訊けば、磨きかたも必要なものも教えてくれます。
家具は、きれいに磨かれていて高いけれど、建て付けが悪かったり、ぐらぐらするものもあれば、汚くて安いけれど、作りはしっかりしたものも。
わたしの一人暮らしのしはじめは、テーブルにやすりをかけ、カーテンレールを好みの色に塗り、銀製品を磨くことで始まりました。
日本にいたときはフランスに来るお金を貯めるため寝ずに働いていたので、そんなことをする時間があることをとても贅沢に感じたものでした。
P.S. ソファや椅子などは、布が張っていない状態で格安で購入し、カーテンやクッションと共布を張って使う人が多いようです。
巨大な、けれどすり切れまくった革のソファを拾ってきて、その上に玄関マットやウールのひざ掛けなどを被せて、使っていた友人もいました (笑)。おそらくもとは超高級ソファだったのでしょう。作りのがっしりしたそのソファはとても座り心地がよく、元はカフェだった場所を DIY し(ている最中だっ)た個性的な部屋によく似合っていました。
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