Scrap novel
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2001年10月24日(水) 彼と彼と僕と。

「な・・・なんだよ?」
「なんだよ、って・・?」
チャイムを押して、玄関のドアが開くなり、ぎょっとしたように固まってそう言った大輔に、タケルが眉をひそめて問い返す。
玄関でドアを開いたまま、止まっている2人に、大輔の後ろから賢が声をかけた。
「やあ、久しぶり」
「一乗寺くん、来てたんだ」
お互いにっこりするタケルと賢に、大輔が仕方ないというように、親指でくいと奥を指差す。
「ま、入れよ。今、誰もいないからさ。たいして何も出せねえけど」
「あ、別にお構いなく。昨日貸したままになってたノート、返してもらったらすぐ帰るから」
言いながら、大輔の部屋に通されて小さなテーブルを囲んで賢と向かい合って坐る。台所ではなにか2人をもてなさなければと思うのか、大輔が食器と格闘している。それを聞きながら、くすっと顔を見合わせて笑った。
「よく遊びにくるんだ?」
「というか、大輔んちのお母さんに勉強教えてやってくれって頼まれて」
「大輔くんに? それは、大役だね」
「そう思う? 実は本当に苦労してるんだ」
タケルが、はははっと笑うのと同時に、台所ではガッチャンガッチャンと凄まじい音がして、2人は思わず肩をすくめた。
「おいタケル!ぼさっと坐ってねえで手伝えよ!!」
「はいはい。ヒト使い粗いなあ」
「あ、僕も手伝うよ」
「あ、賢はいいって。坐っててくれよ」
「あ・・・でも」
戸惑う賢を置いて、タケルが慣れた手つきでさっさと割れた皿を片付け、掃除機をかけて、スナック菓子などを広めの皿にセッティングする。
「そうだ。賢、何飲む? タケルは何でもいいよな!」
「何ソレ。僕にも聞いてよ」
「おまえ、いつ聞いても“何でもいい”って言うじゃん」
「そうだけど・・」
少しむくれた顔をして、お菓子の皿を運んでくるタケルと賢が、大輔の部屋に戻って腰を降ろすなり、同時にハモった。
「「君たちって仲いいよね」」
「えっ?」
「それは一乗寺くんでしょ?」
「タケルくんの方がそうだと思うけど」
「だって、あの態度だよ? なんかヒトの顔見ては怒るしさ。君には、あの大輔くんがあんなに甲斐甲斐しく動いてるじゃない」
「そうかな。だけど、怒るっていうのも好きな証拠じゃないのかな。大輔の場合」
「あ、ソレって、もしかしてヤキモチ?」
「ヤ・・! ど、ど、ど、どうして僕が・・・」
「僕もヤキモチ妬きだから。わかるんだ。2人で勉強ばっかりしてないでどこかに遊びにでもいけばいいのに」
「そう言われても・・」
「僕はノート返してもらったらすぐ帰るし、それに、あ・・!」
ピピピ・・・とDターミナルが音をたて、タケルが言葉を切って慌てたようにそれを開く。そのメールを読むなり、ぱっと明るい顔になって頬を染めた。
「ヤマトさん?」
間髪をいれずに聞かれて、余計、正直に赤くなる。大好きなヒトからだと、その顔に書いてある。
「あ、じゃあ、僕帰るから。ごゆっくり」
そう言うと、大輔の机の上にあった自分のノートを取ると部屋を出て、大輔が運んできたジュースをトレーから手にとり一気に飲み干すと、にこりと笑った。
「ごちそうさま!」
「え、え、え、もう帰るのかよ!」
「ノート、返してもらったから! じゃあね」
言うなり、スニーカーを履くのももどかしげに、ドアを開いて外に出て行く。
・・・と、出て行きかけて、顔だけ戻すとニコリと笑って言った。
「どうも、お邪魔さま」
「なんだよ、てめー!」
赤くなって怒鳴る大輔に、ぺろっと舌を出して、タケルがあわてて退散する。
それを呆然と見送ると、賢が部屋から出てきて大輔の持つトレーの上からジュースを取り、タケルのマネをして一気に飲み干した。
「おいおい」
「さて、と。勉強はもういいから、どこかに遊びにでも行く?」
「え・・? お、おう」
らしくない賢の言葉に、何気に赤くなって大輔が頷く。賢がふふっと笑った。
そして、あれくらい素直じゃなきゃ、誰も好きになんかなれないのかもしれないとタケルの事を考えて、心の中でこっそり思った。



<ナオミさんに捧ぐv> すげー楽しかったvこの3人また書きたいv
私の感じでは、大輔にとって賢ちゃんはコイビト候補。タケルは異性の親友。
たとえるならね。すごく気のおけない異性なんだけどトモダチで、恋愛関係になることなんか金輪際有り得ない。と本人たちは思っていてもそこはオトコとオンナ。
でもずっとトモダチのままかどうかはわからない。って、そういう男女関係あるじゃないですか。なんか、私のなかでは大輔とタケルってそうゆうのに似てる・・
ま、しかし、オンナの方に恋人がいりゃ、それは絶対友情のままと思うけどね。


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