霞的迷想



双龍舞

2002年02月13日(水)

 伝播の過程で「双龍武」または「闘龍武」などと呼ばれることにもなるが、「双龍舞」が正しい。その始まりから「表」「裏」対の技を持ち、共に戦う様が龍神の舞であるかのように美しく見えることからこの名が付いたと言われる。

 「龍」の名を持つことから、「独眼竜」政宗の時代、伊達藩に請われ、道場を開くに至るが、それまでは個人から個人へと密やかに受け継がれてきた幻の武術。一般に広がっているのは「双龍舞剣技」と称される剣術だが、基本形は徒手格闘の「双龍舞拳法」。それに、武器にこだわらない空型の「双龍舞連戯」この三つを総して「双龍舞」と呼ぶ。内、「双龍舞拳法」には原型を最も正しく継承している「真双龍舞拳法」という型が存在する。

 「双龍舞剣技」は二刀流の型で、表裏全ての奥義を究めた者がその正統な継承者として認められる。また、「双龍舞連戯」も表裏の奥義を継承する者はただ一人とされ、「剣技」「連戯」併せて「双龍」とする説と、それぞれただ一人をもって二人の連携と感じさせる、素早く、且つ幻惑的な動きから「双龍」とする説がある。

 「双龍舞拳法」のみが表裏を分かっており、伊達藩に構えた道場では表の技のみを伝えている。裏の技が何処に流れたのかは定かではない。

 「双龍舞」の正統な継承者とは、「剣技」「連戯」の総ての技を学び、且つ「真双龍舞拳法」の表裏いずれかの奥義を修得した者とされる。「双龍舞」の基本が拳法とされる所以である。

 広瀬麻仁が身に着けているのは「真双龍舞拳法・表」。嫡子のいない叔父夫婦に次期継承者として見込まれるも、師範として一つの土地に縛られる前に、世の中について見聞を広めたいと願い出て放浪の旅に出る。

 旅先で知り合った、人を「あんあん」呼ばわりする小憎らしいガキ(笑)がよもや「真双龍舞拳法・裏」の使い手だとは夢にも思わなかったらしい。

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