部下に「辞表出しても許さんぞ」「自分の家売れ」 明石市長の暴言詳報(神戸新聞 2019.01.29)明石市長はなぜパワハラ発言をした?背景に死亡事故(テレ朝 News 2019.01.29)29日朝から各局で報道されている明石市長の暴言問題について、市長の発言は公開されている音声の後に続きがありました。なぜ、あのような会話が生まれたのか、その背景と市長の真意に迫ります。 公開された音声データ:「すまんで済まん、そんなもん!立ち退きさせてこい、お前らで!きょう、火付けてこい!」 ショッキングな言葉で怒鳴りつける男性。兵庫県明石市の泉房穂市長の声です。2年前、道路拡張のためのビル買収が進んでいないことについて担当職員を呼び付け、暴言を浴びせたといいます。29日に会見を開いた泉市長は。 明石市・泉房穂市長:「非常に激高した状況で口走ってしまったセリフ。申し訳なく思っています。まさに自分のセリフです。弁明の余地もありません」 問題となっているのは、明石駅の南にある明石駅前交差点の道路拡張工事です。4車線の道路が交差点を挟んで2車線と急激に幅が狭くなっています。明石市によりますと、このせいで渋滞が慢性化し、事故が多発したため、道路の拡張工事を計画。用地の買収を進めてきました。事業は2010年から始まっていましたが、ある建物の所有者が条件面で折り合わず、立ち退きに応じていませんでした。 現在は用地買収も済み、工事が進められています。泉市長は東京大学を卒業後、NHKに入局。その後、弁護士の資格を取得しました。2003年には衆議院議員となり、犯罪被害者や無年金障がい者の救済など、人権に関する法案の成立のため活動しました。そして、2011年に明石市長に当選。現在2期目で、子育て支援や犯罪被害者支援の条例などを成立させています。当日の暴言音声には公開されていない部分があります。泉市長の講演会が運営するツイッターは、その部分を伝えている神戸新聞を引用する形で紹介しています。 しかしなぜ、2年経った今、音声データが出てきたのでしょう。そして、進退は。 明石市・泉房穂市長:「辞職に関しては、2カ月後に統一地方選挙迫ってるこの状況ですので、今回のこの一連のことも含めて、明石市民の皆さんにご判断を仰ぎたいと思っています」 明石市長・泉房穂氏の暴言をよく読むと、市民の命を守るための正論である件(山本一郎 - Y!ニュース 2019.01.29)もうすぐ明石市も市長選間近ということで、2年前の暴言問題がなぜいまクローズアップされるのかを考えるといろんな思いが去来する物件ではあるのですが、物言いについては折り目正しく品行方正な私としてはどんな暴言を明石市長の泉房穂さんが放ったのだろうと興味を持って、見物に行ったわけです。 確かに「燃やしてしまえ」ってのは不穏当な発言で、立ち退きに応じていない建物を燃やそうと思ったら自分の発言が燃えてしまった画期的な事案であるのは良く分かるのですが、神戸新聞に掲載されていた問題とされる明石市長泉さんの発言を全部読んでみると、全然違うニュアンスで喋っていることが分かります。 市長「何考えて仕事しとんねん。ごめんですむか、こんなもん。7年間放置して、たった1軒残ってもうて。どうする気やったん」 市長「とにかく今月中に頭下げて説得して判付いてもうてください。あと1軒だけです。 ここは人が死にました。角で女性が死んで、それがきっかけでこの事業は進んでいます。 そんな中でぜひご協力いただきたい、と。 ほんまに何のためにやっとる工事や、安全対策でしょ。 あっこの角で人が巻き込まれて死んだわけでしょ。だから拡幅するんでしょ。 (担当者)2人が行って難しければ、私が行きますけど。私が行って土下座でもしますわ。 市民の安全のためやろ、腹立ってんのわ。 何を仕事してんねん。しんどい仕事やから尊い、相手がややこしいから美しいんですよ。 後回しにしてどないすんねん、一番しんどい仕事からせえよ。 市民の安全のためやないか。 言いたいのはそれや。 そのためにしんどい仕事するんや、役所は」 出典:部下に「辞表出しても許さんぞ」「自分の家売れ」 明石市長の暴言詳報(神戸新聞 2019.01.29) 市長、ブチ切れであります。暴言はほんといけませんよね。暴言なんて吐いたことのない私がそう思うんですから、読者もみんなきっとそう思っていると感じます。 でもですね、全文読むと、市長の真意は「道の狭い角で交通事故があり、女性が亡くなったから、道路の拡幅をしなければならないのに、明石市役所の担当者が7年近く放置してきたので、市長がブチ切れている」のが分かります。ブチ切れて暴言を吐くのはいかんと思いつつ、その目線は「市民の安全のために、役人が働かないことに対する怒り」である以上、これってむしろ素晴らしい市長さんなんじゃないの? 市民の安全のために役所がしっかり動くよう激励してブチ切れてとにかく仕事を進めようという気魄さえ感じるわけですよ。 さらには「2人が行って難しければ、私が行きますけど。私が行って土下座でもしますわ」とまで言っています。部下の不始末を見て、彼らの責任を厳しく叱責するだけでなく、駄目だったら自分が現地に行って土下座でもするとまで伝えているのです。良い上司じゃないですか。 その割には土下座する相手の物件を「きょう火付けてこい。燃やしてしまえ」とか言っているあたり市長の前のめり感もあるわけですが、これ、あくまで市民目線、市民の安全のためにこの拡幅工事が必要だ、用地買収を早く進めなければならないという責任感によって出た言葉だとするならば、むしろ人間臭く、明石市民のために働く市長と言えるんじゃないでしょうか。 きっと「お前が言うな」と言われてしまうであろう私が言うのもなんですが、注目を集めている市長の発言全文を読むと、仕事熱心で市民を思う熱い気持ちから思わず出てしまったパワハラ発言だなぁと感じたのですが、でも正論であっても、たった一言感情に任せた暴言を付け加えただけで、全部台無しになってしまうという適例かもしれません。それに1年半前の発言が今頃出てくることを考えたら4月の市長選が関係しているのは確実だろうけど、暴言を録音されていることを考えたら、これまでもちょいちょいいらんことを言う人だったのが容易に想像できます。神戸新聞にこれまでの暴言集なんてまとめられていたぐらいだし。暴言の明石市長 これまでもたびたび“舌禍騒動”(神戸新聞 2019.01.29)(まあ、↑この中には暴言じゃないだろうと思えるものも含まれていますが。)さて、昨日は明石市長の暴言のみクローズアップされていましたが、ネットで全文が公開されると、ツイッターなどで「全文を見たらそれほど悪いとは思えない」という声も多く出てくるようになり、一夜明けるとワイドショーでは「一部だけ切り取ったものでなく発言全体を見て判断しないと」とか前日までとは違って明石市長の発言を擁護するコメントが出ているみたいです。私は番組そのものを見たわけではありませんが、そういったツイートを見て一部切り取りで報道っていつもマスコミがやってることやんと思ってしまうわけです。それに市長の発言は正論でも暴言を加えただけで擁護のしようもなく全部台無しにしているとは思いますけどね。