「美味しんぼ」 風評助長する非科学的な描写(読売新聞 5月13日)あらぬ不安を煽(あお)る問題の多い内容である。 漫画誌「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)の連載「美味しんぼ」が、放射性物質による健康被害の描写を巡って、物議を醸している。 12日発売の最新号と前号で、福島県双葉町の井戸川克隆前町長や福島大の荒木田岳准教授ら実在の人物を登場させ、「福島の真実」をテーマに語らせた。 主人公が、東京電力福島第一原子力発電所の現場を視察した後に鼻血を出す場面がある。井戸川氏は、「鼻血が出たり、ひどい疲労で苦しむ人が大勢いる」と述べ、被曝(ひばく)を原因と明言している。 荒木田氏は、「(福島県を)人が住めるようにするなんて、できない」と断じている。 いずれも科学的知見に基づかない独善的な見解である。菅官房長官が「正確な知識をしっかり伝えることが大事だ」と述べたのは、もっともだろう。 福島県では、全県民を対象とした調査により、健康影響を早期に発見する体制が整っている。これまで、放射性物質による直接の健康被害は確認されていない。 国連の専門委員会も、「住民に確定的影響は認められない」との見解を示している。 除染も、順次進んでいる。福島県によると、除染と放射性物質の自然減により、放射線量が60%以上低減した場所もある。 「美味しんぼ」の描写は、専門家が、現場や住民の調査を踏まえて蓄積してきた客観的事実をないがしろにするものと言える。 福島県では約200万人が生活し、復興を目指している。「美味しんぼ」は、これに冷水を浴びせている。県も、「県民を深く傷つけ、風評を助長するもので断固容認できない」と非難した。 「美味しんぼ」の作者、雁屋哲氏は自身のブログで、「取材をして、すくい取った真実を書くことがどうして批判されなければならないのか」と反論している。 だが、一方的な見解を拡散させることで、福島県民の不安を増幅させていいのだろうか。 小学館が雑誌の発売後、健康被害に関する県の見解を求めたことも、裏付けの甘さを物語る。 最新号には、震災がれきの処理を受け入れた大阪の住民に健康異常が出ているとの記述もあり、大阪府などが小学館に抗議した。 表現の自由は最大限尊重されるべきだが、作者や出版社には、内容についての責任が伴うことを忘れてはならない。「美味しんぼ 福島の真実編」抗議相次ぐ 「科学的にありえない」(産経新聞 5月13日)京都医療科学大学の遠藤啓吾学長(68)=放射線医学=の話「低線量被曝が原因で鼻血が出ることは、科学的にはありえない。大量被曝した場合は血小板が減少するため、血が止まりにくく、鼻血が出やすくなるが、血小板が減るのは(がんの死亡リスク上昇が確認されている100ミリシーベルトの10倍にあたる)1千ミリシーベルト以上の被曝をした場合であり、それ以下の被曝では影響がない。住民も福島第1原発で働く作業員も、事故で1千ミリシーベルトを超える被曝をした人はいない。住民の被曝線量は大半が10ミリシーベルト以下。原発作業員の中に、白血球や血小板の数値に異常がある人がいるとは聞いていない。もし低線量被曝の影響で鼻血が出るのだとしたら、一般の人々より被曝線量の高い放射線技師や宇宙飛行士は鼻血が止まらないことになる。福島の人たちは過剰な不安を抱くことなく、安心して生活してほしい」宇宙飛行士は1日1mSv被曝してるので井戸川氏などの言い分が正しいなら、洗面器いっぱいの鼻血どころじゃすまないですよね。このページで「大阪のおかあさんたちの調査」とされているのは、反原発派の「大阪おかんの会のブログ」を基にしているようです。『大阪おかんの会のブログ』2013年03月26日大阪で119番通報が激増!体調変化レポートNo,10(〜3/13)昨日の日記で大阪が受け入れた震災瓦礫は福島のものではなく岩手県のもので、焼却施設のある人工島の舞洲周辺に居住区はないとご紹介しましたが、大阪おかんの会のブログでは、瓦礫焼却で体調に変化のあった人が大勢いたとして、その数字を市ごとに分けて紹介されていますが、なぜか京都や奈良など大阪以外や岡山など関西近隣地域にまで及びます。症状も喉の痛みや頭痛など多岐にわたっておりますが、瓦礫の償却が行われたのは3月のことですし、季節的に風邪やPM2.5の影響なんじゃないでしょうかと思ってしまうのですが。この調査もメールなどで意見を集めただけなので信憑性なんてものもありません。こんなのを「どうですか!」と出してくるほうがどうかしてますよ。