アルジェリアでの人質事件では、日本人7名を含む人質37名の死亡が確認されました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、まだ安否不明の方々の無事を心から祈るばかりです。人質となられていた方々が勤めている日揮では、人質事件が発生してから人質になられている社員の氏名を公表してきませんでした。被害者の家族の方々による意志を尊重して公表を控え、また政府も日揮の意向にそって被害者の氏名を公表せず、それは、今回の7名の死亡者が確認されてからも続いているのですが、昨夜の菅官房長官会見でもマスメディアは被害者の氏名を公表しろと迫っていました。企業や政府が被害者家族の意思を尊重し氏名の公表を控えていても、それでもフジテレビなどのマスメディアは独自のルートを使い被害者をつきとめて、遺族に取材を試み、それを報道しています。「アルファルファモザイク」2013.01.22朝日新聞にはガッカリ。日揮の被害者実名公表 ネット上では、そのことについて否定的な声が目立っているようですが、伝える側は自己弁護のために東日本大震災の犠牲者と今回のテロ事件による犠牲者を同列で扱い報道しなければ犠牲者の生きた証が残せないとか、氏名を公表することで「弔いになる」なんてTwitterに書いて炎上している毎日新聞社会部部長まで出ています。被害者のことや遺族の声を伝えることはジャーナリズムにおいて重要なことですが、今回は被害者側が氏名を公表しないでほしいという願いによって、メディアが氏名公表を何度となく迫っても企業と政府はその意思を守ってきました。ところが、犠牲者が出たことが分かった瞬間から、スクープ欲しさにその意思を無視して独自に取材を始めて、たぶん、この取材を始めたのも犠牲者が分る以前のアルジェリアで日揮社員が人質になったと発覚したときから、人質となった被害者は誰なのか密かに探してつきとめていたのでしょうけど、私はメディアの記者が遺族に「今のお気持ちは?」なんて答えを聞かなくても分るような質問をしていることに、これのどこに報道する権利と知る価値があるんだろうかと疑問に思います。家族が事件に巻き込まれてしまい、死亡という受け入れがたいほどの悲しい結末を受け、混乱し気持ちの整理もつかない被害者遺族の「そっとしておいて欲しい」というささやかな願いである意思を尊重するという考え方が無く、あまつさえ氏名を報道すれば弔いになる人生とプライバシーは違う、と自己弁護まで展開する日本のジャーナリズムが残念でなりません。