帰国10年、地村夫妻会見 拉致問題進展なく「心痛い」(朝日新聞 10月4日)5人の拉致被害者の方々が帰国して、まもなく10年を迎えようとしています。一日でも早く残りの被害者の方々を救出してほしいと願うばかりですが、少し不安にさせる報道が出ています。拉致対策本部、外務省と別に日朝接触 松原前大臣が派遣(朝日新聞 10月5日)日本と北朝鮮の外務省課長級協議が北京で行われた8月末、松原仁・拉致問題相(当時)が北京に派遣した内閣官房拉致問題対策本部の事務局員ら3人が、北朝鮮側代表と非公式に接触していた。外務省は把握していなかった。日本政府内の二つの機関が連携せず、それぞれ同じ日に同じ相手と話し合うのは極めて異例だ。交渉窓口は誰なのか、北朝鮮に誤ったメッセージが伝わった可能性がある。 外務省課長級協議は8月29〜31日に行われ、日本側は小野啓一北東アジア課長、北朝鮮側は劉成日(リュソンイル)課長が代表を務めた。日朝の政府間協議は4年ぶりだった。本協議で扱う議題を決めるための予備協議の位置づけで、3日間で計7時間協議した。 関係者によると、松原氏はこの間、拉致対策本部事務局員や自らの秘書ら3人を北京に派遣。3人は8月30日夜、北朝鮮大使館そばの朝鮮料理店で劉課長ら北朝鮮代表団と会食し、日朝関係改善に前向きな松原氏の姿勢をアピールして拉致問題の解決を求めた。 これに対し、劉課長は民主党政権との交渉に慎重な姿勢を示した。外務省課長級協議で早期の本協議開催を急ぐ日本外務省の交渉姿勢に不満を漏らす場面もあったという。具体的な交渉につながるやり取りはなかった。朝日新聞デジタルでは会員にならないと続きが読めませんが、誌面によりますと、さらに具体的な内容が書いてあり、現在、外務省や拉致問題対策本部など各政府機関が独自で交渉に動き、さらに、鳩山政権時に国家公安委員長だった中井 洽氏、前公安委員長の松原仁氏とそれぞれが行動しており、それぞれ交渉内容が違っているので、北朝鮮は不信感を抱いていることや、また外務省などが情報を共有して救出活動を一本化していないので、逆に北朝鮮に利するのではないかという懸念もあるそうです。松原氏は北朝鮮で金正日の専属料理人だった藤本健二(仮名)氏に親書を渡し訪朝させたのですが、ところが、この時だけ北朝鮮はビザ発給を拒み入国させてもらえなかったので、松原氏の作戦は失敗に終わったということのようです。以前から拉致問題に取り組み被害者家族との信頼も厚い松原氏が担当大臣を更迭されたのは、青山繁晴氏の取材によると、日朝政府間協議で話し合われている日本人の遺骨返還問題で、野田総理と外務省は北朝鮮への制裁解除を検討しているのを松原氏が反対したことによるものなのだそうですが、『ぼやきくっくり』2012.10.04「アンカー」松原拉致相解任の真相&「安倍元総理は成果が出なかったので辞めた」のウソそれ以外にも、この朝日の報道が本当だとすれば、単独行動が裏目に出たことも影響しているのかもしれません。確かに、外交交渉は双方の信頼関係によって動いていくものなので、単独行動や2元外交は危うい部分が多いので避けられるべきですが、しかしながら、国交正常化後の利権目的で何度も訪朝している中井 洽氏より、一日でも早く解決させたいという熱意で動いていた松原氏の方が、まだ理解できます。また、記事によりますと、自民党総裁に対北朝鮮で厳しい姿勢を崩さない安倍氏が返り咲いたことで、野田政権の間に制裁解除が出来るよう協議に積極的になるのではないかという指摘もあります。確かに、野田政権が経済制裁解除に向けて動いているのは確かなので、今後の日朝協議を注意深く見守る必要がありますね。