お正月のテレビ番組は、いつもにも増して、うるさいだけの似たような番組ばかりなので、年末に買いだめした新書や、何年かぶりに水木しげるさん『悪魔くん千年王国』(ちくま文庫版)を読み返しました。『悪魔くん千年王国』のストーリーを簡単に説明しますと、主人公、松下 一郎は小学二年生で、大手電機メーカー「太平洋電気」の社長令息。「精神的異能児」と言われるほどの天才的すぎる頭脳を持つ天才児で、周囲からは「悪魔くん」と呼ばれている。悪魔くんは、貧困も格差も争いもなく全人類が平等に幸せに生きられる平和な世界を築こうとしており、(早い話が、ジョン・レノンが唄った「イマジン」のような世界)それには悪魔の力が必要と考え、悪魔を呼び出し、悪魔と部下の十二使徒を従え日本に宣戦布告し革命を起こすが…。 この作品は1960年代に貸本として誕生した作品で、70年代に水木しげるさん自身の手によってリメイクされた作品ですが、劇中に出てくるセリフが現在の世相と通じるものが多く、驚きました。もしかして、実は日本人も政府も、この時代からぜんぜん成長していないのか、はたまた、この時代に後退しているのか。というか、欲深い人間はいつの世も存在し、そいつらの考え方が変ってないだけなのかもしれません。『悪魔くん千年王国』ではありませんが、日本も貧困層が拡大したり、他にも環境破壊なども進み、搾取する側と搾取される側との差が開けば、オウム真理教のような、危険な思想が含まれたカルト宗教が、新たに現れてくる予感がするので、ちょっと不気味な時代に差し掛かっているのではないでしょうか。(もしかすると、すでに誕生しているのかもしれませんが・・・。)まぁ、宗教なんてのも、しょせんは、信者から金をむしりとったりと、搾取する側なんですけどね。信者は気付いてないだけで。