はてな取締役である梅田望夫 氏のベストセラー『ウェブ進化論』の続編、『ウェブ時代をゆく -いかに働き、いかに学ぶか』を読みました。前作『ウェブ進化論』もそうでしたが、続編である今作も知的好奇心を大いに刺激され、一気に読破してしまいました。『ウェブ進化論』でも触れられていましたが、将棋の羽生善治二冠は、ネットによって専門性や実務能力を身につけていく学習のプロセスについて、「学習の高速道路と大渋滞」という概念を提示しました。この概念は、ネットにはどんな分野であっても、言語化された資料などの知的財産が豊富に溢れており、ある分野を知りたいor極めたいという意思さえあれば、あたかも高速道路を疾走するかのごとく容易に効率よく知識を吸収することができる。しかし、この高速道路も走りきったと思ったあたりに、同じ分野を疾走していた、その道のプロ寸前たちによる大渋滞が起こっている。「その道のプロ」として飯を食っていけるかは、この大渋滞をいかにして抜け切るか(どう生きるか)の創造性にかかる。というものです。梅田氏は、創造性を駆使し大渋滞を切り抜けることに加え、高速道路の渋滞に差し掛かったところで、この高速道路を降りて、あえて道標のない「けものみち」を歩いていくという選択肢もあり、どちらを選択するにしろ、没頭できる好きな分野の高速道路を疾走し、大渋滞から先へ進むためには、自らの向き不向きと志向性を常に意識し理解することが大切であり、ネットによって世界中のありとあらゆる情報が、瞬時に得られる情報化社会となったこの時代、「もうひとつの地球」とも言えるネットは、さらに大きく、より必要となってくるので、これから先、ネットを活用しどう生きていけばよいかという、生き方の提言書となっております。 私自身、最近になってある分野の高速道路を疾走しております。疾走というほどの清々しいスピード感は微塵もありませんが、それでも、毎日の学習(経験)が地よいものとなっております。大渋滞に差し掛かるには、まだまだ先のことですが、この分野の高速道路を進みながらも、高速道路のはるか先を覗き見ることは可能なので、ちょっと覗いてみたらば、やはりプロ寸前で渋滞となっているようです。また、そのプロ寸前の方々のブログなどは、学ぶべきことが多く大いに刺激されるものとなっています。このまま学習の高速道路を疾走するのも、大渋滞までたどり着き、そこからこの渋滞を抜け切り、その道のプロとなるのも、ようは好きを貫こうとする自分の意思すなわち「志」しだいであり、この志も日常のリアルな社会経験とネット世界での経験のより良い両立があってのものだと感じています。