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2007年11月16日(金) 新書 『現代の貧困』

どうやら、風邪をひいてしまったようで、

鼻づまりが酷く、なんだか酸欠状態のような気分で過ごしています。

  作家の村上龍氏がメールマガジンで、

岩田正美 著『現代の貧困』(ちくま新書)を紹介していたので、

興味を持って読んでみました。

そのメルマガに書かれていたとおり、

貧困の定義(貧困の境界)がどれほど難しいかを知ることが出来ました。

 「貧困」という言葉はイメージが悪く、表現もストレートすぎるので、

マスメディアにおいて貧困は「格差」という言葉に変えられて、

伝えられることがほとんどですが、「格差」と表現してしまうと、

「格差はあって当たり前」、「本人の努力が足りない」という

批判の声が必ず出てきます。

確かに努力によって解消される格差も存在しますが、

何でもかんでも「格差」と表現されてしまうことにより、

努力しようとしてもその力さえないような

固定化された貧困層の人々に対してさえ、

「ただの怠け者」とレッテルを張られ、

その目が行き届かなくなってしまうので、

本来、福祉の手によって救済されるべき人に対しては、

安易に「格差」という言葉を使って、

その中に組み込むべきではないと感じました。

  イギリスなどでは経済構造が変化するたびに、

貧困は「再発見」され、その都度、

貧困層救済の制度が積極的に変っておりますが、

 日本は、貧困の定義づけですら、まだ出来ていない状況なので、

貧困の発見や救済にまで手が届いていないと思います。

これから先、高齢化社会などによって、

普通の生活(普通の生活という定義さえ曖昧ですが)すらままならず、

貧困層に組み込まれる人が増えていくことが予想できるので、

貧困の定義づけや救済の制度作りを

本気で考える時期に来ているのではないでしょうか。

しかしながら、政治を見ていると、

お互いの党が足の引っ張り合いばかりをしているので、

暗澹たる気持ちになります。











名塚元哉 |←ホームページ