【主張】横田さん拉致30年 現在も続く「北のテロ」だ横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されてから丸30年が経過した。当時、中学生だっためぐみさんはバドミントンの練習を終えて帰宅途中、北の工作員に連れ去られた。何の落ち度もない少女を拉致した北の非道さと主権侵害行為に、改めて強い憤りを覚える。 めぐみさんが拉致された昭和52年には、久米裕さんや松本京子さんも北に拉致され、翌53年は、田口八重子さんや市川修一さん、増元るみ子さんらが拉致された。北による日本人拉致が集中した時期である。 当時の日本政府は北の国家犯罪に気づかず、拉致問題は長年にわたって放置されてきた。昭和63年、大韓航空機を爆破した北の女性工作員の供述で、拉致された日本人女性の存在が明らかになってからも総じて日本政府の反応は鈍く、拉致問題への本格的な取り組みは小泉純一郎政権からだった。 北のテロに対する歴代政権の認識の甘さが拉致問題の解決を遅らせる一因になったことは否定できない。 現在は、拉致被害者の救出を求める家族会の懸命の訴えや世論の高まりもあって、政府や多くの国会議員が拉致問題を最重要課題と位置づけるようになっている。14日の参院本会議では、北の核実験と拉致問題での不誠実な対応に対する日本独自の経済制裁の半年間延長が、共産、社民両党を除く与野党の圧倒的多数で承認された。 懸念されるのは、テロに対して厳しい姿勢を示してきた米政府内で、北をテロ支援国家の指定リストから外そうという動きが強まっていることだ。米国務省は、北のテロ支援国家指定解除と日本人拉致問題は「厳密に関連するものではない」としている。 しかし、めぐみさんをはじめ多くの被害者はまだ、北に拉致されたまま、日本への帰国を果たしていない。日本にとって、拉致は現在も続いている北のテロなのである。拉致への朝鮮総連の関与も十分に解明されていない。 拉致被害者家族会のメンバーらは訪米し、米政府が指定解除しないよう働きかけている。 16日にブッシュ大統領との初の首脳会談に臨む福田康夫首相は、拉致問題の進展がない限り、北のテロ支援国家指定解除に反対だという日本の立場をはっきり伝えるべきである。(産経新聞 2007.11.15 03:18)そのほか関連ソース:東京新聞 拉致とテロ解除、関連せず 米副報道官、対北朝鮮で時事通信 テロ指定解除すべきでない=拉致家族会らと面談−前米国連大使産経新聞 “北”テロ支援国家指定「条件満たさなければ解除しない」米大統領次席補佐官中央日報 福田首相「拉致問題解決なしにテロ支援国解除すべきでない」-----------------------------(引用終了)----------------------------> 現在は、拉致被害者の救出を求める家族会の懸命の訴えや世論の高まりもあって、>政府や多くの国会議員が拉致問題を最重要課題と位置づけるようになっている。一部の人は変らず拉致問題解決への訴えを続けていますが、政府にしろメディアにしろ国民世論にしろ、ほとんどの人は拉致問題への関心が急速に冷め、5年前のような熱さや勢いが薄らいでいることを、私は逆に危惧しています。この世論の関心の低さこそが北朝鮮にとっては思うツボなのですから。 ヒル国務次官補などの説得のため、家族会と拉致議連の議員方が訪米している最中、米国務省副報道官が「テロ支援国家解除に拉致問題の解決は必要ではない」と、会見で述べたりと、アメリカのテロ支援国家解除を含めた北朝鮮への態度を軟化させていますが、北朝鮮はアメリカを納得させる肝心の材料(核施設の放棄など)を一つも出していない状態で、どうやってテロ支援国家解除が出来るというのでしょうか。しかも、アメリカメディアは、北朝鮮の核物質がシリアに流れていて、イスラエルによるシリア空爆もこれと関係しているという報道を9月から頻繁に取り上げている状況で、これが事実だった場合、アメリカ政府の対応は更なる批判を免れない状況だというのに。 明日から福田首相が訪米しますが、テロ特措法(給油)とテロ支援国家指定を取引するという交渉の場で活かせるカードもあるというのに、日本政府や外務省は、アメリカ相手にしろ、北朝鮮相手にしろ交渉がナイーブすぎると感じてしまいます。