自民党が大敗した参院選挙後に、日記の読者様から、自民党が大敗した理由についての考察メールをいくつか頂きました。ほとんどの方が、大手既成メディアに責任を押し付けているのみでしたが、ただ、一人だけ興味深い考察をしておられる方がいました。私自身も同じようなことを考えていたので、今日は頂いたその方のメールを基に私の考えていた事を書いてみます。メール内容を大まかにまとめると、その1・小泉劇場の後遺症。その2・昔の自民党に戻った印象を国民に与えた。その3・国民はもともと自民党嫌いだった。>その1・小泉劇場の後遺症。まず、「変人」と呼ばれた小泉前首相のあとでは、よほどのキャラが立った人物でないと、小泉前首相ほどとは言わないまでも、常に国民をひきつけ、高い支持率を維持することはとても難しいと思います。 小泉前首相は、その言動がストレートで、時にユーモアも交えて見せて、小泉前首相を支持する人も支持しないアンチ派も常に注目させるほど、良い意味でも悪い意味でも国民を飽きさせないところがありました。しかし、安倍首相はお坊ちゃん育ちなところもあり、ほとんどそういったところが無く、メディアも巻き込んだ小泉前首相の一挙手一投足を楽しんだ国民には面白くなく、安倍さんは就任前から就任後しばらくの間の支持率は高かったのですが、その後の後手後手な対応の数々に、多くの国民が勝手に想像していた、小泉前首相のように政治手腕・指導力・決断力・リーダーシップを発揮するような頼もしさを感じさせる人物像ではないことに気づいてしまった。>その2・昔の自民党に戻った印象を国民に与えた。小泉前首相は、ああ見えても何かを実行する前には、事前に新聞の世論調査などの動向を伺い、国民の声を重要視し、その声に極力応じるようにしていました。ところが、安倍首相は国民のほうを見ているようで、実はあまり見ておらず、強引なところとハッキリしないところの両極端。最初に多くの国民が幻滅したのが、明確な理由が分からぬままに郵政造反組を復党させた時ではないでしょうか。(これは、もしかすると安倍首相の意思ではなく、 森元総理などの上からの指示があったのかもしれませんが。) 国民はあの郵政選挙で、郵政改革を賛成する人「善」、郵政改革を反対する人「悪」という感じに、単純な図式を描いて選挙に参加し、「悪」を退治した気持ちになったわけです。 しかし、その退治し追い出した「悪」が復活する。これで国民の多くは裏切られた気持ちになったと思います。 他にも閣僚の辞任の決定の遅さや、政治資金改正法も古巣の政治家と相談し、会期延長で強引に法案を通すもザル法だったなど、 こういう結果をまざまざと見せ付けられ、「小泉以前の密室で決めてしまう古い自民党体質に戻った。」という印象を持たれてしまいました。 >その3・国民はもともと自民党嫌いだった。多くの国民は最初から自民党支持ではなかったというところも、あながち間違いではないと感じる部分があります。小泉さんが総理大臣就任前に街頭演説で行った「自民党をぶっ壊す!宣言」に国民はよろめき経ち拍手喝さいをして、また朝日新聞を筆頭とした大手既成メディアもそれを評価し、圧倒的な支持の中で小泉総理が誕生しました。国民が古い自民党体質(ある意味でこれも“戦後レジーム”の一つ)を無くすことを望んでいた。言葉通りに自民党で影響を与えていた政治家が去って行ったり、また自民党に残りながらも影響力を無くす政治家も居ました。それこそが小泉さんが最後まで根強い支持を生んだ要因の一つでしょう。しかし、安倍さんはその続きを行わなかった。若さゆえ行えなかったというのが正しいのかもしれませんが。 もちろん、自民党の大敗した理由は他にももっと様々な要因を含んでいるので、この紹介した三点だけではないのですが、頂いたメールの考察はなかなか鋭いところを突いておられ、自民党の大敗した理由の中に確実にこの三点も含まれているとは思います。 ところで、小泉前首相がこの選挙を終えて、「参院選は負けたほうが面白い」と安倍さんに言ったそうですが、今回の選挙で、片山虎之助氏が落選、青木幹雄氏が参議院議員会長を辞任し、青木氏の参議院での影響力が低下。中川秀直氏も幹事長を辞任。 これにより、新たに古い自民党体質の政治家の影響力が消滅したことにより、自民党崩壊はまた一歩近づいたわけで、実のところ、小泉前首相の「自民党をぶっ壊す」は、自分の手を汚さずとも続いているのかもしれませんよ。