<バイオガソリン>試験販売が首都圏50カ所でスタートトウモロコシやサトウキビなどから作られる燃料、バイオエタノールを混ぜた「バイオガソリン」の試験販売が27日、首都圏50カ所のガソリンスタンドで始まった。バイオエタノールは原料となる植物が生育過程で大気中の二酸化炭素を吸収することから、地球温暖化の防止に役立つとして、環境省や農水省が積極導入を目指している。 今回、販売されるのはバイオエタノールと液化石油ガス(LPG)を合成した「ETBE」をレギュラーガソリンに7%混入(バイオエタノール分は3%)したバイオガソリンで、価格はレギュラーガソリンと同じ。1リットルあたり10円程度のコスト増額分は国と石油業界が折半で負担する。 東京都杉並区南荻窪の「JOMO Value5 荻窪店」では同日未明から販売を始め、店員が訪れた客にチラシを配って新燃料をPRした。給油に訪れた世田谷区の会社員、小田島泰純さん(29)は「環境に良い方がいいので、1リットルあたり数円高い程度なら選んででも使いたい」と話していた。 販売開始に立ち合った石油連盟の山田信夫部長は、「新しいガソリンなので受け入れるか心配していたが、お客様の声も好意的だった。環境意識が急に高まっているようだ」と一安心の様子だった。石油業界は来年4月には試験対象の給油所を100カ所に増やし、本格的な普及に向けた取り組みを急ぐ。 (毎日新聞 4月27日11時46分)-----------------------------(引用終了)----------------------------ガソリンにたったの3%エタノールを混合しただけで、「バイオガソリン」とするのは看板に偽りありと感じてしまうのですが、まぁ、細かいことは置いておきましょう。 今月、光文社から発売された新書松永和紀 著 『メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学』に、バイオ燃料について分かりやすく解説されていますので、それを参考にして本文を書きます。 地球温暖化防止にも役立つとして環境省、農水省が積極導入しようとしているバイオエタノールですが、その原材料は、主にトウモロコシやサトウキビです。アメリカでは、世界的なバイオエタノールブームに乗って、バイオ燃料の生産量が年々うなぎ上りしています。アメリカ産トウモロコシは世界の年間生産量の4割を占めますが、今年だけで、その全生産量の2割がエタノール製造に回される見込みだそうです。トウモロコシは依然として食品や飼料の用途も増加しているので、トウモロコシ不足から、トウモロコシの取り合いが起こってたり、現在、アメリカの多くの農家が、トウモロコシと大豆の栽培を行っているそうですが、バイオエタノールの注目、需要がさらに高まれば、大豆栽培を止めトウモロコシのみの栽培にシフトチェンジする農家が増えることが考えられるので、そうなってしまった場合には、世界の大豆の作付け面積が大幅に減少し、シカゴ商品取引所で大豆の穀物取引価格が高騰し、豆腐や納豆などの日本の食生活に係わりの深い大豆製品や、トウモロコシなど穀物を家畜飼料として食べさせている牛などの肉類や大豆や肉類を使った加工食品の小売価格が上昇して、私達の家計や食生活に影響を与えます。ただ、ブラジルの大豆生産と輸出量が年々増えているので、大豆に関しては影響が無いという識者もいます。しかしながら、ブラジルは大豆生産用の畑作りのために広大な森林を伐採しているので、環境悪化の懸念もあります。 また、トウモロコシを燃料用に売ったほうが儲かると、別の農作物を栽培していた農家が畑で作ってるその作物を止めれば、輸入穀物に依存して、尚且つ食物自給率40%の日本としては、かなりの痛手となります。 アメリカはバイオ燃料を環境保護のためとアピールしていますが、実際には、バイオ燃料の販売による利益拡大と、食料用穀物販売においての貿易関係で有利な立場となる国際関係の強化に、食料や飼料の穀物価格を釣り上げるための経済戦略であり、環境保護を本気で考えているわけではなさそうです。 そして、我が国でもバイオ燃料の生産拡大に向けて整備を整えようと躍起になっているようですが、日本は食料自給比率が非常に低い上に、穀物の90%をアメリカなどに依存しているため、高い食料、飼料を買い続ければ、国内で生産した農産物でバイオエタノール燃料を抽出しても採算は合わないのではないでしょうか。 エコロジーの名の元に世界中でバイオ燃料の使用料が増加すればするほど、「世界的穀物価格高騰と穀物の奪い合いと食糧危機」がオマケとして付いてくる時代が待っているのかもしれません。↓エンピツ投票ボタンです。 押してくださると日記を書く励みになります。エンピツ時事/社会ランキング エンピツ総合投票ランキングMyエンピツ追加「どの、おやつにするか迷うワン。」