若年認知症「ピック病」で万引き 厚労省が調査「ピック病」と呼ばれる認知症になった公務員らが、症状の一つである万引きをして社会的地位を失うケースが相次いでいる。脳の前頭葉の萎縮(いしゅく)で感情の抑制を失って事件を起こしてしまうためで、犯行時の記憶がないのが特徴だ。しかし、正確に病気を診断できる医療機関は少なく、厚生労働省の若年認知症の研究班も、初めてピック病の実態調査に乗り出した。専門医は「まじめに仕事をしていた働き盛りの人が万引きをして『なぜ』ということがあれば、ぜひ専門の医療機関を受診してほしい」と話している。 脳の前頭葉と側頭葉の血流低下と萎縮で起きる認知症は「前頭側頭型」といわれ、うち8割が「ピック病」とされる。 アルツハイマー病のような記憶障害が、初期はあまりみられないものの、時に、周囲の状況を気遣わない行動や万引きが症状として出る人もいる。ただ、本人は善悪の判断がつかず、厚労省の若年認知症の研究班メンバーの宮永和夫・群馬県こころの健康センター所長によると、欧米でも万引きなどの軽犯罪がピック病の症状の一つとして報告されているという。 宮永医師が診断したケースでは、万引きの疑いで逮捕され、懲戒免職となった神奈川県茅ケ崎市の元文化推進課長、中村成信さん(57)がいる。 中村さんは、昨年2月、自宅近くのスーパーマーケットでチョコレートとカップめんなど計7点(計3300円相当)を盗んだとして逮捕された。しかし、釈放後、話のつじつまが合わないなど家族が「おかしい」と気づき、大学病院を受診。「認知症の疑い」の診断が出た。このため、4月末、市の公平委員会に処分取り消しを求める不服申し立てをした。 昨年末には、別の病院で脳の血流検査を受け、前頭葉と両側の側頭葉に明らかな血流低下がみられたため、「ピック病」の可能性が高いとされた。前頭葉の機能を調べる心理検査の結果なども合わせ、宮永医師がピック病の「軽度と中等度の間」で、発症は「04年1月以前と考えられる」と診断した。 このほかに、会計事務所に勤める東京都内の50歳代の男性も、近所の文具店でボールペンや消しゴムなどを万引きする症状が出た。ひと月もしないうちに、同じものを盗んだ。しかし、本人に盗んだ意識はなく、外出時に家族が付き添ってトラブルを防いでいる。 また、奈良県内の50歳代の放射線技師の男性は「仕事が難しい」と勤務先の病院を休職した。散歩帰りに近所の家の畑から、野菜を毎日のように持ち帰るようになり、苦情が来た。入院先でピック病と分かり、職場を辞めている。 宮永医師は「万引き後に、ピック病と診断される人は少なくない」と指摘。「病気が原因でやった行為なのに、社会的な名誉を失い、その後の人生が大きく変わってしまうのは非常に残念だ」と話している。 〈若年認知症〉 若年期(18〜39歳)と初老期(40〜64歳)に発症した認知症の総称で、アルツハイマー型のほか、脳血管性、前頭側頭型などがある。「ピック病」は、1898年、精神医学者アーノルド・ピックが初めて症例を報告したことから名づけられた。ただ、画像診断技術の向上などで、正しく診断できるようになってきたのはこの10年。うつ病や統合失調症と誤診されているケースも多い。 若年認知症の患者数の調査は、旧厚生省の研究班が96年に推計した2万5千〜3万7千人があるだけで、現在、ピック病を含め、10年ぶりの実態調査が進められている。(朝日新聞 2007年02月26日06時05分)ピック病(初期〜中期)のチェックリスト� ‐�況に合わない行動 場所や状況に不適切と思われる悪ふざけや配慮を欠いた行動をする。 周囲の人に対して無遠慮な行為や身勝手な行為をする。�◆^嬪澹座� 引きこもりや何もしないなどの状態が持続し、改善しない。 思い当たる原因は特になく本人の葛藤もない。�� 無関心 身だしなみに無関心になり、不潔になる。周囲の出来事にも無関心になる。�ぁ^鐫�行動 万引きなどの軽犯罪を犯すが、反省したり説明したりできず、 同じ違法行為を繰り返す場合が多い。�ァ〇�刻表的行動 散歩や食事、入浴など日常生活の様々な行為を 時刻表のように毎日決まった時間に行う。 この際、やめさせたり待たせたりすると怒る。�Α/�べ物へのこだわり 毎日同じもの(特に甘いもの)しか食べない。際限なく食べる場合もある。�А仝斥佞侶�り返し 同じ言葉を繰り返したり他人の言葉をオウム返ししたりする。�─々イ澆諒儔� 突然甘いものが好きになるなど、食べ物の好みが大きく変わる。 アルコールやたばこなどは毎日大量に摂取するようになる。�� 発語、意味の障害 無口になったり語彙(ごい)が少なくなったりする。 物の意味が分からなくなる。�� 短期記憶の維持 最近の出来事など、短期記憶は保たれる。また日時も間違えない。 外出しても道に迷わない。(40歳以降に当てはまる症状が3項目以上出ると、疑いがある。 4、5、7、9は1項目でも可能性がある。)参考リンク:Pick' disease(ピック病)とは(一部引用)アルツハイマー病は記銘力・記憶力低下などの知的機能低下が初発症状であるが、ピック病では、人格変化(人格障害はPick病でもっとも著しく、アルツハイマー病ではPick病より軽く、脳血管性痴呆ではさらに少ない)、情緒障害などが初発症状である。 すなわち、自制力低下(粗暴、短絡、相手の話は聞かずに一方的にしゃべる)、感情鈍麻、異常行動(浪費、過食・異食、何でも口に入れる、収集、窃盗、徘徊、他人の家に勝手にあがる)などがあり、人格は変わり(無欲・無関心)、感情の荒廃が高度で、特に対人的態度が特異である。たとえば、人を無視した態度、診察に対して非協力、不真面目な態度、ひねくれた態度、人を馬鹿にした態度などで、病識はない。その他、会話中に同じ内容の言葉を繰り返す滞続言語(滞続言語とは、特有な反復言語で、質問の内容とは無関係に、何を聞いても同じ話を繰り返すもので、他動的に誘発され、持続的で制止不能である)も特有である。 (ピック病は初期は記憶・見当識・計算力は保たれる)ということと、語間代(例:ナゴヤエキ、エキ、エキ)が認められことが多いという特徴で鑑別されます。精神分裂病とはCT(MRI)を撮ることにより鑑別可能です。 経過は2〜8年(衰弱し死亡することが多い)であり、アルツハイマー病よりも短い傾向がある。 アルツハイマー病がかなりその病因が解明されつつあるのに対し、ピック病は病因解明の糸口となるような特徴的病理像が無く、そのことがピック病研究の立ち後れの原因となっており、治療法は今のところなく介護が中心となっているのが現状です。-----------------------------(引用終了)----------------------------ピック病の存在は知っていましたが、ピック病の症状によって、万引きなどの軽犯罪を犯してしまうケースがあるというのは、始めて知りました。この記事に出ている中村さんのケースは、懲戒免職の扱いは酷いと感じます。どの道、仕事を続けられるのかは難しいとは思いますが、ピック病と診断されたからには、今後の医療費などの面を考えてみれば、懲戒免職は取り消し、退職金は出すべきではないでしょうか。 この記事を読んで幾つか疑問に感じたことがあります。症状の一つである万引きをしてしまい社会的地位を失っているのは、何も公務員だけではないと思われるのですが、なぜこの記事で取り上げたケースは公務員だけなのでしょうか。 ピック病について記事として扱うからには、この病気になってしまった場合に、患者本人が無意識のうちに万引きをしてしまい、それによって信頼や信用を失い社会的失墜に陥らないように、周囲はどのような対策を心がけるべきかというような、事前に防ぐ方法を言及するべきだったのではなかったのかと思いますし、そして、ピック病の症状一つに万引きなどの軽犯罪を無意識に引き起こすというのがあるだけで、この記事では「ピック病患者は全て万引きなどの軽犯罪を犯す」という誤解を与えかねず、ピック病患者に対して偏見を生むだけなので、患者全てが当てはまらないというフォローも付け加えるべきだったと思います。せっかく病気に対しての認知を広めるための記事であって、特に患者や家族の人権に大きく関わる症状がある場合は、出来る限り決め細やかな配慮を心がけるべきではないかと感じます。 また、素人では客観的に判断ができないので、病気と無関係な犯罪者が言い訳のために、この病名を使う恐れがあるという懸念も出てきます。これでは、本当にこの病気で苦しむ本人にも、その家族にも社会全体にも大きな不利益になるだけです。 ピック病が発見されて、すでに100年以上が経過しているわけですが、厚生労働省の研究班などの力によって、日本でも正確な診断が下せる医療機関や医師が充実することを願います。↓エンピツ投票ボタンです。 押してくださると日記を書く励みになります。エンピツ時事/社会ランキング エンピツ総合投票ランキングMyエンピツ追加