労働市場改革:正社員待遇を非正規社員水準へ 八代氏示す経済財政諮問会議の民間メンバーの八代尚宏・国際基督教大教授は18日、内閣府の労働市場改革などに関するシンポジウムで、正社員と非正規社員の格差是正のため正社員の待遇を非正規社員の水準に合わせる方向での検討も必要との認識を示した。 八代氏は、低成長のうえ、国際競争にさらされた企業が総人件費を抑制している中、非正規社員の待遇を正社員に合わせるだけでは、「同一労働・同一賃金」の達成は困難と指摘。正規、非正規の待遇を双方からすり寄せることが必要との考えを示した。 また、八代氏は現在の格差問題が規制緩和の結果生じた、との見方を否定し「既得権を持っている大企業の労働者が、(下請け企業の労働者や 非正規社員など)弱者をだしにしている面がかなりある」と述べた。 八代氏は、労働市場流動化のための制度改革「労働ビッグバン」を提唱しており、近く諮問会議の労働市場改革の専門調査会の会長に就任する予定。(毎日新聞 2006年12月18日 20時31分)-----------------------------(引用終了)----------------------------> 「既得権を持っている大企業の労働者が、(下請け企業の労働者や> 非正規社員など)弱者をだしにしている面がかなりある」と述べた。既得権を持っている大企業の根本は使用者権限の強さにあります。もともとデフレ下では現金の力が強くなり、さらに規制緩和で追い討ちをかけて極端に使用者権限を強くしました。下請けなどの中小企業にとっては大企業が使用者のような立場になり、弱者をだしにしている面があるというのは理解できます。そこで、使用者権限の強さにより高給をもらいながらも実は能力が乏しいのに、そんな自分は弱者を小ばかにしている社員の給料を下げるのではあれば賛成ですが、能力が有ろうが無かろうがすべての人を均一に引き下げるのでは、とても良い案とは思えません。 近年、地方の郊外化もあり、大型ショッピングモールやコンビニ、ディスカウントショップなどの増加によって、それと比例して非正規雇用者も増大しました。職に就けることは生きていく中で大切なことの一つですが、非正規雇用では将来に対しての計画が立てにくく、景気が回復傾向にあっても消費が拡大せず停滞しているのは、非正規雇用者の増大によるものだと主張する経済学者もいます。そんな中で、正社員待遇を非正規社員水準と同じ待遇へ引き下げてしまえば、さらに消費が鈍ってしまうのではないでしょうか。生活水準が下がると、ディスカウントショップのような低価格販売の店は、より一層増えワーキングプアの階層が定着するという悪循環が生まれます。また、非正規雇用者は経済上の理由などで結婚が出来ないという調査結果を国民生活白書が出しているように、正社員の待遇を落とすと、さらに少子化も加速したり、学力や医療面などの格差が拡がる可能性も考えられ、努力しても評価されないことにより労働に対する意欲や生活に対するモチベーションが低下するだけですし、鬱などによる精神的不安定や生活苦による自殺や犯罪の増加、正社員の待遇を非正社員レベルにすれば、正社員がこれだけの賃金で働いているのだから、非正社員はもっと低くでも良いのではないかとなり、今度はまた非正社員の待遇が引き下げられるということも考えられます。このような悪循環は下流化を加速させるだけで、日本にとって望ましいことにはならないのではないでしょうか。労働市場改革には、経済・雇用・消費を促進させるシステムと、鈍化させてしまうシステムの二つがありますが、この改革案は後者ではないかと思います。↓エンピツ投票ボタンです。 今日の日記は良かった思った方は押してくださると嬉しいです。エンピツ時事/社会ランキング エンピツ総合投票ランキングMyエンピツ追加