碧のアニメ感想
アニメ雑感


 ヒカ碁。「裁きの一局!いにしえの華よ咲け!」Part1


感想を書くのは随分久しぶりです。

ホントはSAMURAI7の感想をちょっとやりたかったんですが……。
今更やれなさそうなのでちょこっとだけ。

SAMURAI7。
ご存知黒澤明監督の七人の侍を原作としたアニメ版。ゴンゾー作。
なかなか面白く観ましたが、一言で言うと。
カツシロウがウザイ。
これに尽きます。
原作の勝四郎もウザかったですが、アニメの比ではありません。
原作の彼は分をわきまえたウザさでしたが、アニメは分をわきまえないウザさで見ていて苛々。
特に後半。オリジナルだった弊害です。
何度その辺に激突してそのまま退場して欲しいと願った事か…。
カツと名の付くキャラはウザイ仕様なんでしょうか。
後はヒロインの志乃を脇キャラに押しやってまで作ったオリジナルヒロイン、キララ。
巫女って設定なのに俗っぽすぎてちっとも神秘的な感じがしないところが……普通の子ならまだ良かったのに。
シノがカツではなく某キャラとの絡みが多かったのは面白いところでしたけど。

あとこのアニメ、野伏せりが機械化してMSのようになってます。
そんなおかしな世界観を受け入れられれば、楽しめると思います。
キャラの立てかたといい、すごく引き込まれてとても面白かったです。前半は。
これほどキャラに魅力があって完成度の高いアニメは珍しいのではないでしょうか。前半に限れば。

あのまま1クールで終わっていればさぞ名作になったと思います。
後半のオリジナルはなんと言うか、カツシロウ・ウザ・オンステージや延々と続く子安タイムが目玉です。
どうも製作側は原作否定をしたかったらしいですが、うーん。
世界的な名作を否定するというその心意気は買いますが、心意気だけではどうにもならない溝というものは存在するわけで。
そんなことやってるのにラストは原作のラストに迎合してるのがどうにもこうにも……(遠い目)

「刀では弾には勝てない」というのが一つの設定なんですが。
MSな世界観ですから戦艦も出てくるわけですよ。
で、後半刀で主砲ビームを跳ね返すという力技が出てくるんです。
どうもSAMURAI7の世界では
実弾>>>>>刀>>>>>>>主砲ビーム
という力関係が成り立っているようです。
もちろん笑うところではありません。向こうは大真面目です。
ハッ、これがまさか原作否定!?(違)

まあ、折角前半傑作になりそうだったのに、後半その部分もぶち壊す場面が多々出てきてプラスマイナスゼロで凡作に終わったという印象です。
ただなまじ前半が良かっただけに急降下具合に感想が辛めになってしまいます。
でも前半はお薦めなので、機会があれば観てみてください。
NHK教育で再放送やって欲しいなぁ……。


本題に入ります。
ヒカルの碁特別編。
サブタイからおおよその内容は想像できるという(笑)、これは数年前のジャンプフェスタ用に作られたものです。
当時アニメ放映と同時進行だったので、スタッフもそのままということでなかなか厳しい状況だったと思います。
アニメ版ヒカ碁は都合三度監督が変わっていて、最も好きだった最初の監督である西澤さんの作品ということでとても好きな話です。
これは原案やキャラ原案はほった&小畑氏なので、原案→特別編→更にそれを原作にした佐為の番外編というトリプルコンボが見られた一作でもあります。
いや更にそれをTVアニメにしているのでクワドコンボですか(大間違い)
なので色んな方の腕比べ、という面でも面白い一作でした。
欲を言えば、二番目の監督であったかみや氏による慶長の花器編も観たかったですね。
しかし御器所プロの話がよく似ているのでそれと比べて私は一番に西澤監督、大分離れて二番目に原作とかみや氏が同じくらい、最後にえんどう氏が手がけたアニメ版でしょうか。
なまじえんどう監督版とこの話はもろに比べられるので……ねぇ。
しかもTV版のほうが予算や余裕あったと思うんですけどね。
それに私としてはこの西澤版が気に入っているので、あれは何だかこの話を上書きされたような印象もあって、どうもなぁ。


始まりは夏の香り漂う葉瀬中理科室――囲碁部。

碁盤を囲んでトランプに興じる光るに筒井さん、あかり、三谷。
今見るととても懐かしい光景です。
息抜きにトランプを、とはヒカルの提案らしいですがその提案者は三連敗。
「碁が弱いヤツは何をやっても弱い。そうだろ?」
「何っ!?くそ、もう一回だ!!」
三谷の挑発にアッサリ乗るヒカル(笑)
「ヒカル、私もやりたい」
そんな佐為をお前は引っ込んでろと軽く無視して再勝負。
でも、佐為の方が強そうだ(笑)

しかし……千葉氏の演技、超微妙。

そんなところも、懐かしいんですけどね……。

筒井さん、あかりがあがって残るは三谷とヒカル。
そこでヒカルのとった作戦は……名付けて「佐為にコッソリ三谷のカードを見させて教えて貰おう大作戦」(寒)
ズルい……ズルイよヒカル。
しかしそうは問屋が卸さない。
佐為はワザと反対を教え、ヒカルにババを引かせるのだった(笑)
自業自得とはいえ佐為に騙されるわまた負けるわで苛々が頂点に達したヒカルはトランプはやめて碁で勝負と言い出します。
この頃のヒカルはまだ三谷には一度も勝ったことないのに、威勢良いですね。
「今日の俺は昨日の俺より強い!」
と台詞だけは超カッコイイ(笑)
こういう囲碁部の和気藹々とした雰囲気、懐かしいしとっても楽しそうで微笑ましい。
いや懐かしいってのも変かなぁ……あまりそう思ったことはなかったですしこれはアニメならではかも。

言葉通り絶好調のヒカル。
盤面互角、いや優勢で進んでます。
盤面をじっくり見せるという演出は西澤監督ならではですね、「囲碁アニメ」としては西澤監督の演出が一番良いと思います。
一般向けという意味では2クール目から監督をされたかみやさんの方が良いと思いますけど。
どちらが好きかは個人の好みですね。(えんどうさんは……うーん(^^;)

まあ、そんな感じでヒカル優勢だった所に姉さん、事件です(古)
野球部の打ったボールがお約束のように理科室へと飛び込んできて窓ガラスがガッシャーン。

幸い怪我人は出なかったようですが、全員驚いたようで碁盤ひっくり返してしまいました。
折角勝ってたのに!とヒカルの怒りの矛先は野球部へ。
落ち着いて棋譜、元通りにすれば済みそうな話ですけどね。

そして野球部と言うのがこれまたお決まりのように口が悪く、ヒカルと口論勃発。ただの言い争いか。
しかし野球部の人最低でも二年だよなぁ、ヒカル君、敬語敬語!!
佐為ももうちょっとヒカルにそういう基本的な教育をつけてやって……とも思うけど、宿らせて貰ってる身分でそんなことまで言い出したら鬱陶しいか。

「弱い囲碁部が!」「何だと!お前等こそへたくそじゃねーか、俺ならホームランだぜ!」
そんなやりとりを経て、ヒカルはバッターボックスに立つのでした。

この辺の原画、時矢さんですね。
本橋さんは佐為やアキラは上手いけど、ヒカルは時矢さんのほうが好き。
関係ないですが、時矢作監の回の幽白の作画はとても綺麗でした。

佐為が「この棒きれで何するんですか?」って言ってましたけど、貴方の時代にも打毬があったのでは……大分記憶がボケてるのか。
回想するのは大抵……の事だけだしなぁ(笑)

まあ、そんなこんなでバッターヒカル、振りかぶりまして……勢いよく打ったボールはお約束のように将棋部の部室へ……。

そりゃもう部室は酷い有様になってました。
トロフィは滅茶苦茶になってるし、湯飲みは割れてるし。
どう打ったらあんなに滅茶苦茶になるんだろう(笑)

部室に侵入したヒカル、落ちてた盾やらトロフィやらの名前がほとんど加賀鉄男なのに驚きます。
強いんだね、加賀。
いっそ"鉄男の将棋"なんて新番組始めるのはどうでしょうか、結構人気出そうな気がします。
ヒカルがそれらを眺めていると背後から本人登場。
何か、今観ると今にも「吼えろ蛇尾丸!!」とか言い出しそうです。
髪の色も声も恋次まんまですね。いや恋次が加賀まんまなのか。さすがぴえろ。

取りあえず謝り、掃除もするしガラスも弁償すると言ったヒカルですが、加賀としてはそれは当然としてもう一つ言いたいことがあるらしい。
それは愛用の湯飲みを割られた事。
「魂」と書かれた湯飲みですが、結構な値打ち物らしい(笑)

そんな加賀の湯飲みを弁償する為に、その夜ヒカルはお母さんに一月分お小遣いの前借りをねだるのだった。
子供っぽくて可愛いぞ(笑)

翌日(?)さっそく湯飲みを買いに出かけるヒカル。
「大体湯飲みってどこで売ってんだ?」
取りあえず佐為に訊いてみるも
「私に訊いても分かりませんよ」
そりゃそうだ(笑)

で、デパートに向かう途中一件の骨董店を見つけ中に入ってみる事に。
ちなみに中村骨董店なので、店主は中村さんでしょうね。

「ほう、これが慶長の花器……、150万ですか」
そこで聞こえてきたのはそんな声。
それに佐為が反応。
何だ?と訊いてくるヒカルに
「幕府や公家の方々が好んで用いた陶器です」
と。
虎次郎も好きだったらしい。

一人の年輩の男性客がその花器を買おうとしていた所なんですが、花器を覗き込んだ佐為は首を傾げ、どうも偽物っぽいことをヒカルに説明。
藍の色に冴えがなく釉の塗りにムラがあり、模様に品がない、だそう。
偽物を掴まされそうなオジさんを見かねて、ヒカルはもう一度佐為に確認した上で
「これ、偽物だろう!?」
とその場を一蹴。

この辺がいかにも中学生らしいというか、原作とアニメの違いですね。
原作のヒカルはついつい口を滑らせたって感じでしたけど、アニメのヒカルは意志を持ってああ言ったんですから。

急に子供に怒鳴られて当然反応する店主中村。
そ、そのお声は………!!

師ィィ匠ォォォォオーーー!!!

はい、もう、師匠登場ということで、これだけでアニメ特別編は他の追随を許さずブッチギリでトップです。
ひょっとしてこの骨董店、マスターガンダムが呼べば来るかもしれません(嘘)

店主の恰好はアロハに金のブレスレットなど、いかにも成金風で骨董店自体もちょっと周りと雰囲気が違っていてなかなか良い感じだと思います。

「ふざけた事を言うな!うちの商品はどれも正真正銘の本物だ!」
店主に反論され、先程佐為に教わった事(藍の色が云々)をそのまま口にするヒカル。
これも原作とアニメでは反応が違います。
アニメのヒカルは、よっぽど佐為を信頼してるんだろうなぁ(笑)
それも分かります、アニメの佐為は優しくてとてもステキですから。

ヒカルと店主の言い合いを聞き、買う決意が揺れるオジさん。
そこへ店へ電話がかかってきて、それがまたタイムリーに以前ここで品物を買ったお客さんからの苦情だったもよう。
「人間には二種類いるんだ。目の利く人間と目の利かない間抜け」
そんなことを電話口で口にする店主の声を聞いて、やはり今回はやめておこうと店を出ていこうとするオジさん。
電話を切った店主が慌てて止めようとします。
そこへ、ヒカルよりちょっと年下くらいの一人の、とても可愛い少女が店へ入って来ました。
「あの花器どこへやったの?売っちゃったの?返して、おねがい!」
と。
「あれはおじいちゃんの花器なの!」
そのまま必死で訴える少女に、その様子を見ていた佐為はハッとします。

これが少年であれば「可愛い子だなぁ」と惚れフラグでもOKですがこの歳だとそれはさすがにキツイですね。

冗談です。
少女を見つめて思いつめたように記憶を辿る佐為。
そして呟いた言葉は
「葵の君……」

って幼女見つめて女の名かよ!!!

これが美形じゃなけりゃ犯罪レベルです。

佐為がバックトゥザパストしてる間に少女は中村店主に必死に花器を返せと訴えているわけですが。
何でも花器は盗まれたもので、少女は店頭で偶然その花器を見つけただけで店主は売られてきたのを買っただけらしい。
気の毒ではありますし、先日亡くなったという祖父に花器を返したいという少女の訴えも分かりますが、店主は悪くないですね。
ちなみにこの子はちさとという名前なんですが出てこないので、ここで宣言して今後ちさとと呼びます(笑)

さて佐為。
「葵の君?」
とヒカルに呟いた言葉を鸚鵡返しされて、ええ、と頷きます。
そしてめくるめく回想へと突入。

それは春、平安の都。
(きっと)その中心の御所(多分)

桜舞い散る中に忘れた記憶と、君の声が戻ってくる〜♪

そんな感じで桜舞い散る中、少年と少女とは言いがたい異様な光景がお目見え。

散り始めた満開の桜を眺める少女と青年。
それは在りし日の佐為と葵の君と呼ばれた少女。というか幼女。

遣り水の音がサラサラと流れ、とても良い雰囲気です。
可憐な少女が桜を眺め、美しい、と呟けば佐為もええと相槌を打ち、互いに顔を見合わせ微笑み合う。

この…こんの……ロリコンがあああ!!

検非違使さーん!ここ、ここに不審者がーーー!!!

佐為の君、女房方だけでは飽き足らずこのような童女にまで……!なんとお情けない!

多分裏ではそういう噂も流れていただろうと思います(嘘)

これは怖い。現代なら職務質問は免れません。要注意人物としてマークされることも必至です。

そんな光景を思い浮かべつつも、あくまでヒカルには「葵の君とは宮中で良く遊んだものです」とだけ説明する佐為。
きっと説明されたヒカルの頭に浮かんだ光景と佐為の回想には多大な隔たりがあると思います。

子供と遊んであげてたんだ、佐為、優しいじゃん。←これが健全な感想及び想像される光景。

佐為さん、言葉足りてませんから!!

とまあ、冗談は休み休み。
正直アニメの佐為だとそこまで犯罪の匂いはしません。

「それは花のように美しく、賢い少女でしたよ……ほんとうに」
付け加えて説明する佐為。
名残惜しげな感じがプンプン。
あのまま生きてたら葵の君を光源氏のごとく誘拐しかねない勢いです。

ハッ、そしてそのまま彼女が佐為の室に収まったら呼び名は葵の上に変わるわけで……何、光源氏計画ですか?(違)

いやでも言いかねない。相手はたかが(おそらく後宮のどこかの殿舎に仕える)童女。
私が引き取りますとでもいって家にお持ち帰りすりゃどうしようもないじゃん……あ、でもその場合「上」などと呼ばれずただの女房扱いか。

佐為がいなくなって助かったね、と言いたいところですがこの子悲しんだんじゃないかなぁ。佐為が流されちゃって。
佐為のばーかばーか。

えっと、葵の君ですが。
佐為が美しいというだけあって、とっても可愛い女の子です。
成長すればすごい美人になると思います。
とはいえこの頃と今の美的感覚って違うし……佐為のストライクゾーンはあらゆる意味で広いという結論に至りました。

正直佐為にはもったいないと言いたいですが、佐為もものすごく美形だし……アニメの佐為は性格も良いし。
絵的には葵の君がもっと成長すればお似合いだっただろうなぁ。

でも彼女はこの特別編だけのオリジナルキャラクターなんですよね。
いや原作者が彼女の存在を消した為にオリキャラにならざるを得なかったという方が正しいかも。
佐為に女を近づけたくないという執念みたいなものを感じました。
あの矛盾だらけのキャラブックの数ページ漫画じゃ、不必要としか思えない男の子が登場するのに。
そこまでして消したかったのかなぁ、と。

ま、そこまで葵の君が重要なキャラというわけではありませんが原作で存在が消されたおかげでアニメの西澤監督の描く佐為と原作の佐為の性格の違いが明確に現れるという結果になってしまいました。
いかに原作の佐為の性格がアレかというのが良く分かるので、おいおい説明していきたいと思います。

Part2に続きます。


2005年12月27日(火)
目次 HOME