白い木蓮の花の下で  

    〜逝くときは白い木蓮の花の下で〜

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2007年03月31日(土) 土地の食べ物

近所の八百屋で『若ごぼう最終!』という文字を見かけた。若ごぼう(全国的には葉ごぼうと言うのかも)は私の住んでいる地域の特産品で、早春の頃に出始める春野菜。「ごぼう」と名乗っているけれど、ごぼうと言うよりも蕗のイメージに近い。私は若ごぼうが大好物で、もしも地元で暮らしていなかったとしても、郵パックの故郷小包で取り寄せても年に1度は食べているだろうと思う。

そんなに好物の野菜なのに今年は若ごぼう1度も口にしていなかった。若ごぼうは美味なのだけど、恐ろしく下ごしらえに手間暇が掛かるのだ。その上、葉の部分から根っこまでを食べつくそうとすると調理時間だって掛かる。しかも日持ちがしないので、買ったら速攻で下拵えをして、調理なり冷凍処理をしなくてはならない。若ごぼうシーズンに突入してから、体調がグダグダだったので「食べたいなぁ」と横目で見つつ、購入する勇気が出なかったのだ。

が……今日は久しぶりに気分が良かったので、今年最後の若ごぼうを買ってみることにした。葉と茎と根を切り分けて、それぞれ掃除をして、たっぷりのお湯で湯掻いて……茎と根は厚揚げと煮浸しに。葉の部分はちりめんじゃこと胡麻とでフリカケに。たかが若ごぼうの調理で、気力体力をすっかり消耗してしまったけれど、面倒臭いがゆえに達成感もひとしお。

今年は若ごぼうを食べないまま春が過ぎていくのかも……と思っていたので、嬉しくって仕方がない。兵庫県の瀬戸内側に住む女達が「きびなごの佃煮を作らないと春が来ない」と思っているように、私の地域では若ごぼうを食べないと春が来ないのだ。駆け込みではあったけれど、春を実感出来て大満足。

それにしても「土地の食べ物」って不思議だなぁ…と思う。そこに住む人にとっては当たり前のものだったり「無くてはならない物」だったりするのに、他所の土地へ行けば名前さえ知られていなかったりするのだ。だからこそ故郷の味だったりするのかも知れない。

そんなこんなで今日は、若ごぼうを調理して地味ながらも満足の出来る1日を過ごすことが出来た。明日も良い日になるといいなぁ……って事で今日の日記はこれにてオシマイ。


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【同月同日の過去日記】
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2002年03月31日(日) 櫻。さくら。桜。

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