友人から誕生日プレゼントに貰ったチケットで芝居を観に行ってきた。
ご贔屓の役者さんがゲスト出演しているお芝居。思えば、その役者さんを好きになってかれこれ15年になる。1度好きになったものは、ずっと好きみたいだ。今までの人生で、生人間(芸能人系)で、本気に好きになったのはオペラ歌手のホセ・カレーラスとも、役者の粟根まことの2人きり。案外純情一途だったりするから、お笑い草。
京橋の円形劇場で芝居を堪能して環状線にて帰路についた。芝居自体は微妙だったが、役者を見るという点においては12O点の舞台を観たせいか、非常に気持ちが高揚していて「そうだ。今日は途中下車して、美味しいチーズケーキでも買って帰ろう」と思い立ち、天王寺駅で降りようと思ったらば……定期券が見当たらない。
「また、やってしまった…」と目の前が真っ暗になった。
私は今までの人生で、かれこれ10回以上定期券を紛失している。高校で電車通学を始めてからのカウントとしても、いささか多過ぎる回数だろう。定期券を落とすシュチュエーションはどこか似ている。ふと気が付くと神隠しにあったように、忽然と消えているのだ。あまりしょっちゅう落とすものだから、100均で買ったラミネートケースに定期券を入れていた時期もあったが、今使っている定期入れは友人から贈られた品。定期のお金を払い戻ししてもらったとしても、定期入れが戻らなければ……とて、暗澹として気持ちで落し物センターへ行った。
落とした(であろう)その足で駆け込んだのだが、定期入れは届いていなかった。書類に名前だの、携帯番号だのを書いて「お願いします」と頭を下げ、その場を辞した。もう……チーズケーキを買う気力などなく、しょぼくれて切符を購入した瞬間、携帯が鳴った。
「さきほどの定期が見つかりました」とのこと。
そりゃあ、もう張り切って取りに行ったさ。係員の人に「助かりました。ありがとうございました」と卑屈なまでに頭を下げた。嬉しかった。と、同時に解せなかった。いったい、いつ定期券を落としたのだろう。悪戯な小人が鞄から定期券を放り出したとしか思えなかった。しかしながら見つかって良かった。ちなみに……いままで落とした定期券は8割方戻ってきている。世の中に親切な人が存外、多いんだなぁ……と思う。ありがとう。定期を拾ってくれた駅員さん!
吃驚して疲れてしまったらしく、定期券が見つかった後も、チーズケーキを買いに行く元気はなくて、駅の構内でフルーツの入ったロールケーキを買って帰った。ロールケーキはとても美味しかった。定期券が見つかって良かったなぁ…助かったなぁ……って事で今日の日記はこれにてオシマイ。