仲の良い友人のマダムSが遠くへ引越しすることになった。
しかも転勤のような一時的な引越しではなくて、永住しに行くのだ。
私としても、彼女と気安く会えないかと思うと淋しいが
それより、なにより、大阪生まれの大阪育ちである彼女が
見知らぬ土地で暮らすのは、大変だろうと思ったりする。
マダムSは友人の中でも、際立って聡明な女性で
回転寿司屋勤務フリーターの同志Fや、凹み体質のN嬢や、うっかり者の私とは
ひと味違うぜ! 輝いているぜ! 気配り上手だぜ!
……と言うような、よく出来た女性なので
友人と話をしていても「彼女なら大丈夫だよ」ってな話になってしまうし
私自身、彼女なら上手くやっていけるだろうと思っているのだが
昨日マダムSと電話で話をしていて、ふと思った。
「彼女なら大丈夫」って思われるのって本人にとってはキツイかも……と。
世の中には、ごく稀に「たいして努力しなくても、よく出来る人」も存在するが
たいていの場合「よく出来る人」ってのは努力の人であることが多い。
往年のアニメ『巨人の星』の花形満も言っていたではないか。
白鳥は優雅に見えるが、水中では必死で水をかいているのだ……と。
電話越しに聞こえるマダムSの声が
どことなく不安そうに聞こえたのは、私の取り越し苦労だろうか?
何某か大変な出来事が起こった場合
N嬢になら「ダメならダメで、いいぢゃない」てな具合で話をするのに
マダムSには「ダメな訳ないぢゃん。大丈夫だって」てな調子でもって
「彼女なら大丈夫」と決め込んでしまうことが多いのだけれど
それぢゃぁ、ちっとも気が安まらないよなぁ……と思ったりした。
大丈夫そうに見える人を粗略に扱ってはいけない。
大丈夫そうに見える人だからって、いつも大丈夫だとは限らないのだから。
もちろん「見た感じそのまま」ってな人もいるだろうけれど。
そんなに気を使わなくてもいいよ。マダムS。
大変な時くらい、思いっきり我ままに振舞ったらいいのだ。
我ままに振舞うのも生きる技術ぢゃなかろうか。
貴女はもっと我ままに振舞ってもいいと思う。
来週、マダムSに会う時は色々な話を聞いてこよう。
そして、盛大に別れ惜しんでこよう……
ちなみにマダムSの永住先は徳島県である。
「徳島って大阪からだと日帰りできるし」てな突っ込みは受け付けない方向で
今日の日記は、これにてオシマイ。