いい年をして迷子になってしまった。
今日は朝っぱらから読書禄を書いていたらば、家を出るのが遅くなってしまい、最近定番になっている朝のウォーキング「2駅コース」を歩くほどの時間取れずに「1駅コース」でもって出勤した。電車で檀一雄の放浪エッセイを読んでいたらば、ものすごく面白くて、身に沿う感じだった。で。あまりピタリとハマってしまったせいか、心地良くて途中から降車駅まで、うたた寝をしてしまったのだ。
なにげに寝呆け頭だったのに、放浪エッセイを読んだせいか「今朝はいつもと違う道で歩いてみよう」と思い立った。いつもは、わざわざ遠回りをしているのだが、某銀行員さん達が使っている近道コースを歩いてみようかと。そんな訳で駅を降りて、某銀行員さん達の集団の後を、ついて行ったのだけれど、ふと気が付くと某銀行員さん達がいないではないか。すっかり人の波からも外れていて、見慣れない景色が広がっていた。
完全に迷子状態。
なんとなく下町ちっくと言うのか「老人憩いの家」があったり、そろばん塾や、書道教室があったり。集団登校する小学生がゾロゾロ歩いていたりして、空間をいっきに駆け抜けた……という風情なのだ。
そして、斜め45度に顔を上げると、いつも横を通っている某銀行が、はるか遠くに見えていた。
大きな通りを歩いている時は気づかなかったけれど、横道はかなり斜めに走っているらしく、区画整理ができていないせいか大阪市内だというのに、畑の中にある農道のように、ざっくばらんな構造になっていたのだった。
焦ったのなんのって。目印になる銀行を目指して、そりゃぁ、もうスタコラ走ったさ。小学生に道を尋ねるのも心もとない感じだったし、もしかしたら近道があるかも知れなかったが、とりあえず目標目指して全力疾走することにした。どうして銀行員さん達が使っている近道から外れてしまったのか、さっぱり訳が分からなかったけれど、考えている余裕などなかった。
会社には遅刻しないで済んだが、いつもより大幅に遅れての到着だった。
それにしても狐につままれたような気分だ。「神隠し」なんてのは、こういう感じで起こるのかなぁ……などと思ってみたりしたところで、今日の日記はこれにてオシマイ。