白い木蓮の花の下で  

    〜逝くときは白い木蓮の花の下で〜

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2003年06月23日(月) 『ニューヨーク・ニューヨーク』

久しぶりに骨のある漫画を読んだので感想などを。
HPの読書禄に書いてもいいのだけれど、あちらは活字限定にする予定。
本も漫画も私の中では同列だけど、漫画の感想まで手をつけだしたら
収拾がつかなくなりそうなので、基本的には「漫画の感想は書かない」
……と思っているのだけど、何かの形で感想を書きたいと思うほど面白かったのだ。

私がハマったのは『ニューヨーク・ニューヨーク』って作品。
白泉社の漫画文庫から最近発売されたもので作者は羅川真里茂。
ニューヨークで暮らすゲイのカップルが主人公の物語で
いわゆるオタク腐女子が好きな「やおい」でもなく
中山可穂の描くセクシャリティ問題に関しては最初から吹っ切れている人でもなく
比較的、リアリティのあるゲイが主人公で、ストーリーも良かったのだ。
少女漫画なので夢見がちな部分が濃ゆいのは否定しないけれど
主人公達が受けた理不尽な扱いに対して、握りこぶしを固めることも多くて
ゲイをテーマにした作品の中では、かなり高品質ではないかと思われる。

主人公が自分の両親にカミングアウトして、恋人を紹介するくだりは
切ないやら、痛いやら……そして感動的でもあったのだ。
母親がどうしても息子を受け入れられずに苦悩する場面や
父が息子に「長い間辛かっただろう(中略)おまえは私達の息子だ」と言って
主人公を抱きしめる場面は、不覚にも目頭を熱くしてしまったのだ。

そして恋人同士、色々な問題を乗り越えつつ成長していくところもツボだった。
傷つけあったりするけれど、最終的には互いを高めあう関係……って言うのか。
「乗り越えていく恋人同士」ってのはイイね。
バリバリの恋愛小説や、恋愛漫画って、そんなに好きではないのだけれど
この作品には頭の先から足の先までドップリとハマってしまったなぁ。
「ああ。私も恋愛したいなぁ」とか「添い遂げるって憧れちゃう」とか思ったりして。
主人公達は、恋愛して、結婚して(異性間のそれとは形が違うが)
子供を引き取って育てて、見事に「添い遂げた」のだ。
1人の人を好きになって、ずっとその気持ちを大事にして生きていけるなら
これ以上に幸せなことはないだろう……と思ったり。
現実は漫画みたいに上手くいかないだろうけど理想の形には違いない。

私は馬鹿みたいにストレートな恋愛物には無条件で降伏する傾向にあるらしい。
この作品の主人公達は、お互いに「彼が好き」だったものなぁ。
派手濃い愛ぢゃなくてもいから「一途」ってとろこがツボなんだな。うむ。
AとBの間で揺れる主人公とか、不倫とか、そういうのが嫌いで
あまりにもシュチュエーションだけで引っ張るタイプの話が苦手なだけで
ぢつは恋愛物って、けっこう好きなのかも知れないなぁ……こっ恥ずかしいけど。

ほんと、いい作品を読ませてもらったなぁ。
久しぶりに、いい夢見せてもらった……って感じなのだ。
けっこう重たいネタ満載だけど、それでも「いいなぁ」って思ったんである。
良い漫画に出会えた幸せを噛み締めつつ、今日の日記はこれにてオシマイ。

<私信>
ありがとう。ありがとう。ありがとう。


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