白い木蓮の花の下で  

    〜逝くときは白い木蓮の花の下で〜

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2002年01月15日(火) 『鱗姫』〜嶽本野ばらの世界〜

『鱗姫』嶽本野ばら 小学館 を読んだ。

嶽本野ばらの作品は『カフェー小品集』を読んで
あまりの「乙女光線」にクラクラしたので
もう彼の作品を読むことはないだろうと思っていたのに
某所で「他の作品も読んでみます」と宣言しちまったので
なんとなく読むことになってしまった。
日記に感想を書こうか、どうしようかと迷ったけれど
やっぱり書いてみることにする。

『鱗姫』は正直なところ「誰にでもオススメ」できる作品ではない。
ロマンチック・ホラーと呼ぶのが、しっくりくるような
耽美だが、グロテスクで、醜悪なものが溢れている作品だった。

ヒロインは完璧な「乙女」であり「お嬢様」なのだが
「鱗病」という奇妙な病に罹患した女子高生である。
物語は「鱗病」という病を軸にとして
「美とはなにか」「愛とはなにか」「プライドとはなにか」
……といったナルシスティックな命題が展開されていく。

『鱗姫』という作品をあえて分類するなら
三島由紀夫や谷崎潤一郎から派生した一派の作家さんが書いた作品
…と言っても良いと思う。
が。いま一歩届かず…と言った印象。

天使は美しく、悪魔は醜く描かれるのが根本原理である
……というような話が作品の中で展開されていた。
が。
私はちょっと首をかしげてしまった。
それも一理あるが、果たして、本当にそうなのだろうか?
物の見方、とらえ方には無限の可能性があるのではなかろうか?

嶽本野ばらは文章も美しく、力のある作家さんだと思う。
だが「何か」が足りないような気がしてならない。
作者自身が「乙女のカリスマ」と称される存在となって
活字離れが激しい時代に、多くの読者を惹きつけているのは
本好き人間の私としては拍手を送りたいところではあるのだけれど。

闇に惹かれるのも人間だが、光に惹かれるのも人間だ。
『鱗姫』が魅力的な作品であるのは事実なのだが
両手を上げて賛成できない1冊だと思った。

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今日は「書きたいこと」を書いただけの読書日記なので
「オススメ本」ではありません。
なんて書かれれちゃったらマスマス気になるなぁ
……って方は心の元気な時、余裕のある時にトライしてください。
引き込まれたり、落ち込んぢゃう可能性大です。
↑うんにゃ。慣れてるし平気…って方もおられると思いますが(笑)


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