このお正月休みは、たいした理由もなく
「映画に浸かろう」と思っていて
年末年始の慌しい時期にコソッと映画を観に行っていた。
日付は随分とズレているけれど年末30日は
『アメリ』 ジャン・ピエール・ジュネ監督 を観たので、その感想など。
↑元旦に観た『ムーランルージュ』はどうした?とかツッコまないでね。
雑誌などでは、かなり評判の高い作品のようだけれど
実際に「いい映画」だと思った。
ヒロインのアメリはフランス人の若い女性。
年齢的には、もう立派な「大人の女性」なのだけれど
いまいち「現実世界」との折り合いが付けることが苦手で
自分をコントロールできていない不安定な女性だ。
彼女の両親は2人とも、悪い人ではなかったのだけれど
彼ら自身が「現実世界」との折り合いをつけるのが下手なタイプで
アメリは、その影響を多分に受けて大人になった。
ネタバレのない程度にストーリーを書こうと思うと
「あえて書くほどのものはないかも」という曖昧な物語だが
言葉のセンスが楽しくて、映像がピカイチに良かった。
どのシーンを切り取っても、そのままポストカードにできそうなほど
映像として完成されていたように思う。
ようするに映画そのものが「小粋」な感じだったのだ。
そして『アメリ』の1番の良かったなぁ…と思ったところは
曖昧な物語がゆっくりと進んでいく中で
噛みあわなかった世界(アメリを含む)の歯車が、あるべき位置に定まって
ゆっくりと回りだしていくところだと思う。
噛みあった歯車が奏でた音楽は
オーケストラでも、ロックでも、ポップスでもなく
古いオルゴールの音色のように素朴で、しかし確かな音楽だった。
最上の音楽である必要はない。
ただ「そこに音楽がある」という事実が何よりも重要である
……そう感じられるような旋律だった。
女性に観てもらいたいなぁ…と思う1作だった。
男性が観ると、どんな反応がかえってくるのだろう。
「映画的年末年始」を目論んだ私としてはムフフな1作だった。