2006年01月10日(火) |
「核燃の村 苦悩と選択の記録〜青森県六ヶ所村」NHK教育TV番組 |
1月7日の「核燃の村 苦悩と選択の記録〜青森県六ヶ所村」NHK教育TV番組を観ました。使用済み核燃料再処理工場など「核燃料サイクル」の立地で、かつての「過疎と出稼ぎの村」は、いまや財政力、住民の平均所得ともに青森県一という豊かな村に生まれ変わった六ヶ所村。NHKに残された過去の映像記録を使いながら、また新たな証言を加えて、開発をめぐる激しい村民内の政争の歴史を紹介する事で大開発が貧しい村に何を残したかをドキュメント風にまとめた番組です。 80年代の後半の再処理工場を巡っての村長選で「賛成派」のみならず、反対運動が「反対派」と「凍結派」に分岐し、凍結派が勝利するものの、住民投票を実施しない村長。次の選挙ではその恩讐が乗り越えられず、反対運動のリーダーが、「凍結派」の現職村長を落選させる為に「反対派」擁立でなく、「賛成派」と連携する現実は、闘いの「勝ち負け」の中の人間模様を指し示し、観ていて辛くなりました。本当は誰が悪いのか。 中部電力のプルサーマル計画は、まさに電力事情やウランのリサイくるとかいう美名が全くの虚偽で、プルトニウムの保持を許さない国際的「核不拡散政策」との整合性の中の極めて政治的問題です。また、六ヶ所村の再処理工場は、本来の核燃料サイクルの軸となる高速増殖炉もんじゅとの連携で核燃料サイクルが成立します。しかし、もんじゅの技術的破綻で燃料サイクルはメドもたっていない、そんな中で再処理工場が稼動します。おかしな話です。
プルサーマル問題を安全性と言う観点と更に、日本のエネルギー政策の大きな選択肢としての原子力の核燃料サイクルなのか、自然エネルギーなのかの選択肢としても、市場原理的評価の観点からも厳しくチェックする必要があると思います。六ヶ所村の再処理工場稼動に対する反対運動の歴史ドキュメントは、そのことを訴えているように感じました。それにしても、この番組はNHKの底力でしょうか。
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