2005年12月29日(木) |
映画『アイランド』を観る |
韓国でヒトのクローン胚から胚性幹細胞(ES細胞)を作りだしたとする黄兎錫(ファン・ウソク)ソウル大学教授の科学雑誌『サイエンス』掲載論文を巡って大変な問題となっています。今年の初めに世界で初と国家的プロジェクトとして始まっていただけに、論文の科学的根拠が虚偽とするとまさにこれは大スキャンダルです。
私は、この科学技術を生命倫理との関係でこのような国家プロジェクトする事に極めて懐疑的でした。静岡県でもクローン牛が研究されており、既にクローン牛が生まれています。人でなく牛ならいいのか、という問題をどうクリアするか、昨年の農業水産部での常任委員会では毎回議論を重ねていました。
この映画『アイランド』は、クローン人間をテーマにした映画です。最初の「夢の楽園に抽選で選ばれる」という話から始まるのですが、途中でそれが、臓器としての単なる販売商品になることである事が少しずつ明らかになります。そこから、SF的趣向で観客はドラマにのめりこんでいきます。
ただ、最後に主人公2人が多くのクローン人間を解放するのですが、そこは何かしらら救世主的舞台になってしまいます。『アイロボット』の最後のシーンと重なります。クローン人間を商品として求める人間社会をもう少し突っ込んでもらいたかった映画です。でも、それでも十分に面白い映画です。映画評論でB級扱いですが、韓国の事件が頭にあって観たのでとてもリアルで緊張感溢れました。
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