まつや清の日記

2005年05月03日(火) 今日は憲法記念日ー7大新聞の社説を読む

 今日は、藤枝で開催されている中山千夏さんの「憲法が好き」というテーマでの講演会が開催されておりそちらに行きたかったのですが、諸事情でかなわず。全新聞社は当然に社説で憲法問題を取り上げています。1面に自社アンケート結果とあわせて1面トップ扱いは、朝日新聞と中日新聞、他の社はいずれも尼崎脱線事故が1面トップ。

 各社の社説見出しを追ってみるとそれぞれに立場が見えてきます。
朝日新聞社ー世直し気分と歴史の重さ―改憲論議を考える
中日新聞社ー見過ごせぬ”戦後”否定―いま 憲法を考える
毎日新聞社ー改憲の原則3点を確認する―まず集団的自衛権に決着を
日本経済新聞社ー成熟した民主国家にふさわしい憲法に
静岡新聞社ー58回目の誕生日とその先―改憲たたき台からあとずさりするな
読売新聞社ー新憲法へと向かう歴史の流れ
産経新聞社ー「不磨の大典」に風穴を―まず9条と改正条件の緩和を

 朝日新聞の世論調査によると、自衛隊を憲法に規定すると答えている人が、普通の軍隊にする12%を合わせて70%、しかし、9条の改正をすべきかと聞くと反対51%、賛成36%、この矛盾を「国民が自衛隊と9条のどちらとも受け入れている点」としています。

 中日新聞は、設問が若干違うわけですが、改憲は69%、そのうち9条改正は7割で48%、その中で集団的自衛権の行使を容認する人は6割、28%、少しずつズレはありますが傾向としては朝日新聞社と同じような結果です。

 こうした中で毎日新聞が、各社の分析を行い憲法調査会によって「論点は絞られてきたが、当初の憲法改正への情熱はどうみてもしぼんでしまい、このままなら実際には改正できない、政治にそのエネルギーはないとみている」と分析し、改憲の前提条件を常任国入りする前提は国連憲章の平和主義であり、集団的自衛権行使の是非、国民の権利と義務の関係について明確にすべきと主張しています。

 朝日新聞も同じような認識を示し、更に韓国、中国からの日本の歴史認識への批判があり、ドイツのように徹底した謝罪と再軍備の経緯とアメリカ頼みの外交レベルで、ましてや過去の歴史の正当化では近隣諸国の不信を招くだけ、「平和ブランド」資産を捨てるのかと説いています。

 中日新聞は、今日の改憲議論のレベルの低さを明治憲法制定時の議論を紹介しながら指摘し、それが自民党だけでなく民主党のレベルにも危うさがあることを述べます。読売新聞は、改憲の世論を創ってきたのは我が社とする経緯を縷々のべ、もはや改憲の流れはかえられないとしています。日本経済新聞は、衆議院・参議院の憲法調査会の内容に踏みこみ見解を述べています。産経新聞は、憲法調査会の内容を国家像と9条問題に絞って改憲への好機を逃すなと主張します。静岡新聞は、憲法調査会の結果を受けて論憲を訴えます。今日の社説が<上>とあるので具体的主張は明日になると思われます。

 マスコミ全体としては憲法調査会の報告のレベルでは憲法改正にそう簡単に行きつけないし、問題点も多い、とする潮流と、問題点は確かにあるがここまできた成果をもとに自衛隊の憲法規定をまず行うべしという潮流に分かれるようです。さて、私はどうか。

 私は、非暴力主義の立場ですので、自衛隊という軍隊をどのようにゼロにしていくのか、と。その戦略は、「国際的協力隊」、「自衛力行使の範囲」、「国内災害救助隊」という3分割論で、既に村山首相の時代に提唱されています。そのことを前提に、アジアレベルでの軍縮とアメリカ軍の撤退、非核地帯構想の中で、軍事力ゼロにしていくためのプログラムを策定すること、と認識しています。つまり、9条を改正する必要はないし、集団的自衛権は断じて認めないとするものです。

 この具体化には外交力がもろに問われます。イラクを除いて海外に軍隊を派遣しなかった60年(厳密に言うと湾岸戦争以降での米軍協力はありましたが)海外で「一人も殺していない」そのことの60年、それは過去の侵略戦争への強い国民的反省から作り出しえた日本の財産であることを明確に認識しての外交であること、です。

その時、忘れてはならないことは「ひとりも殺していない」私たちの成果は、アメリカのアジア駐留戦略の中で、逆にいえば朝鮮半島の分断、ベトナムの分断の中で「ぬくぬくと経済成長できた」ことの裏返しであること、その壁を打ち破ってすすんできた韓国の民主化勢力、そのもとでノ・ムヒョン大統領の「過去より未来志向」という外交があったのであり、そのことの意味を歴史的経緯においてきちんと認識もせず、靖国参拝の継続や歴史「教科書」問題を正当化することは、アジアの人々の感情を傷つけているということです。

 私たちが、今、どのような地平でアジアの人々と向き合っているのか、特に日韓、日中、これはアジアのみならず世界の平和にかかわる関係として外交戦略を打ち立てる必要があるのです。このような文脈の中に憲法9条問題を位置付けていきたいと考えています。

 

 

 


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K.matsuya

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