まつや清の日記

2005年04月18日(月) 映画『コンスタンティン』を観る

 キアヌ・リーブスの主演映画『コンスタンティン』。『マトリックス』を何回も観てしまった人間にとってこの映画を見逃す事は出来ません。封きり映画をどうして観たいと映画館に駆けつけましたが、意外やガラ空きとはいいませんが、満員ではありませんでした。

 極めてわかりやすい大人向けSFファンタジー。キリスト教的神、地獄、天国という絶対的に崩れないはずの境界線を舞台にそこにうごめく地獄の悪魔、人間、天国の天使たちの正義をめぐる闘いが展開されます。

 最初、主人公のコンスタンティンがタバコをやたらと吸うシーンに違和感を感じさせます。アメリカであれだけ喫煙者の社会的悪を非難している社会風土の中でどうしてこれだけタバコを吸うシーンを強烈に印象づけようとするのか。しかも肺ガンでいつ死んでもおかしくない病状。しかし、それが最後に明解にこの物語の一つの仕掛けであることが示されます。

 霊力をもつ選ばれし者コンスタンティン、悪魔に棲み込まれた人間から悪魔を地獄に追い戻す仕事を続ける、その霊力故に自殺をはかり2分間だけ死ぬことで地獄を垣間見る。霊力を持つ双子の姉妹のイザベラが自殺を図る、生きているもう一人の霊力を持つ刑事アンジェラス、彼女が妹の死をめぐってコンスタンティンとの出会いが始まる。地獄界の悪魔の息子が天国界の天使と結託して人間界に踊り出ようとする、そこに「運命の剣」が登場。といった具合のストーリー。

 最後は、キリスト教では自殺は悪。コンスタンティンが自殺したアンジェラスの妹イザベラを救う為にもう一度自殺をし、地獄界の悪魔サターンを呼び出し彼女を救う、そしてコンスタンティンがサターンに地獄に連れていかれるシーン、この自己犠牲に神がノーの姿勢をしめし天国に送ろうとする、これに怒ったサターン、それならコンスタンティンを生かす、とタバコで汚染された肺がんのがん巣を抉り取り最後はハッピー。

 自己犠牲。人間の普遍的価値に向う最高の行為。このことを考えさせるファンタジー。大人になっても失ってならない人間の原点を指し示すという点で『マトリックス』に通じる映画力。キアヌ・リーブス、続編が観たいものです。


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K.matsuya

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