しまった。 僕としたことが。 今日は,月にたった一回のバドミントンで遅くなる日だというのに, サッカーの特集番組の録画予約を忘れたぞ。
しかたない。
気が進まないが,ここはあの人に頼むしかない。
るるる,るるる,るるる…。
なかなか出ないな。 これは…。
「もしもしぃ」
うっ。 あきらかに不機嫌な声。
あのー,お忙しいところ申し訳ないんですがね。
「はいはい」
録画していただきたいものがあるんで, ちょっとメモしていただきたいんですけど。
「は?今筆持ってるからメモはできません」
ああ,じゃあ覚えてくれればいいですから。 7時か7時半から確かNHKでサッカーの特集が…。
「サッカー?私の嫌いなサッカーがなんですって」
またそんな大勢の人から反感を買うような発言を。 まあ,いいです。キライでもなんでもいいですからね, その番組を録画してください。
「それだけ?それだけなのに,この私にメモをとれと」
え? ああ,そこがツボでしたか。それは失礼しました。 それだけなんでね,ちゃちゃっとやって…
「高くつくよ」
は?
「私がめずらしく乗って絵付けをしているところを邪魔して」 「しかもサッカーを録画させるなんて」 「た・か・く・つ・く・よ・お・お・お」
そそ,そんな区切らなくても。
「何にしようかなあ〜」 「あ,そうだ,あのさ」
あ,あ,お忙しいところあんまりお邪魔しても何ですからね,切らせてもらいますよ。
「ちょっとアンタ,まちなさい…」
ぴっ。
はぁぁぁ。 危なかった。いつもの会話もこういう風にスイッチが切れればいいのにな。
あっ。 こんなことしちゃって,録画してもらえるんだろうか。 でも,もう一度かけることによるリスクははかりしれない…。
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