妻が呼んでいる。
無視しちゃおーかなーなんてちょっと思ったけど、 これがあなた、無視できるような音量じゃないんですってば。
「ねーねー、このページ見てよ」
はー、どれどれ。 いや、こりゃまた目が痛いページですね。
「そうじゃなくて、動いてるでしょっ」 「すごいよねえ」
は? 何が動いているんですか。
「え」 「動いてるでしょ」
は。 模様が動いてるんですか。
「え」 「いや、動いてないけど動いてるでしょ」
うーむ。 なにをおっしゃてるのかわからないのですが。
「えーっ」 「動いてるじゃん、動いてるよね」 「てか、動いて見えるでしょ」
ムスメ達までよってきて、 「うごいてるー。きもちわるいー」 などと大騒ぎだ。
動いてませんよ。 動いてないんだから。 僕の目は真実しかうつさないんですよ。
「あんたって…。目まで融通がきかないんだね…」 「人生半分くらい損してるよ…」
損してもいい。 僕は人としてまともでありたいんだ。
「まとも通り越して変人だって」 「人間の目にはちゃんと動いて見えるんだって」
人間の目って。
「もしかして、鳥か魚みたいにもの見てるんじゃないの」
そ、そうなんでしょうか。 鳥とか魚みたいに…?
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