山のように積まれたこの板はなんなんでしょうか。
ムスメ達が音楽祭のリハーサルにでかけたのどかな午後。 僕の目の前にはのどかでない光景が。
「だーかーらー」 「台所用のすき間家具だってば」 「鬼の居ぬ間に組み立てるのよっ」
いやあ、これは、鬼の居ぬ間には組み立て上がりませんよ。
「ならいっそう早く取り掛からなきゃ、ねっ」
しかし、この部品の多さ。 どこから手を付けていいのやら。
「だいじょぶ。IQの高い私が振り分けてあげるから」 「アンタは組立だけすればいいから」
むっ。 なんだかちょっと失礼なものいいなんでは。 しかし、始めてみるとくやしいが合理的かつ能率的な分担だった。 ま、アナタは仕事が雑で遅いですからね。
地道に作業を続ける。 途中で帰ってきたムスメ達がまとわりつく。 でも、地道に…。 下のムスメにビニールの緩衝材を捨てたことを泣きながら責められても地道に…。
お、終わらない。
組立時間は四十分と書いてあったそうだが、 2人がかりで2時間以上かかった。
しかも、なんだか引き出しが入らない。
「あっ。アンタ、これ上下逆だよ」 「だから説明するって言ったのに、自分で見たほうがわかるなんて見栄をはるからだよー」 「やりなおしっ」
途中から作業そっちのけで台所でむーむーうなってたくせにその言い草。
「配置を考えてたんだよ」 「さぼってたわけじゃないもん」
ふ。 とにかくなんとか仕上げました。
精も根も尽き果てたので、 「組立代がかからなかったから、いいじゃん」 という妻の甘言に負けて、回る寿司にいっちゃいました。
皿洗いがないって素晴らしいなあと思いました。
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