帰宅するなり妻がまくしたてる。
「アンタさー、ここにおいてあった音読カード、どこにやったのさ」 「昨日の夜中、ほったらかしてあるなーと思ったけど」 「さすがにダイニングテーブルにのってるから気がつくだろうって」 「わざわざそのままにしておいたのに」 「1番に起きて片付けたねっ」 「おかげでりんごは宿題忘れになったんだよっ」
あー、はいはい。 たしかに移動しましたよ。 だけど、絶対忘れないように眼鏡の下においたんですよ。
「眼鏡?そんなもんあの子が持ってくわけがないでしょうが!!!」
そ、そうなんですか?
「そうだよっ。子供見てりゃわかるでしょ?」
そりゃ、すまなかったねえ。 おとーさんのせいで忘れ物になっちゃったのか…。
いや、でもね。 まずは夜に次の日の支度をしたとき子供が自分で入れればよかったんですよね? アナタが夜中に気づいたときに入れてやってもよかったんですよね? 朝、アナタがちゃんと覚えてれば忘れずにすんだんですよね?
「あのさあ、アンタ私が記憶力がないのも」 「りんごがだらしないのも知ってるでしょう?」 「家族って助け合うものなんだよ?」 「できる人はできない人をフォローするんだよ?」 「それが家族なんだよ」
え? ええ?そうなんですか…。
「そうだよ、とにかく今回の件はアンタの責任だからねっ」
なんだかアナタ普段はもっとムスメに厳しいくせに、いやに寛大ですね。
「ところでさあ、私の消しゴムがないんだけどさあ…」
それは僕じゃありませんよ。
「だってアンタ以外誰が片付けるっていうのよっ」
そういうことか。本題はそれだな。 言ってて恥ずかしくないか、オマエ。
|